書籍「座右の寓話」をご紹介
久しぶりに書籍についてご紹介致します。
書籍名:ものの見方が変わる 座右の寓話
著者名:戸田智弘
発行年:2017年12月15日
結論
おすすめ度:★★★★★
何度でも読み返したい、人にもオススメしたい内容です。
自分自身に対する内省をすることのみならず、
家庭内・友人に披露したくなるような寓話が多く載っています。
古今東西、生きる上で先人達は色々な例え話を用いて
自分や他者を励ましてきたのだと感じ入りました。
いくつか寓話をご紹介!
人の数だけ響く内容は異なると思いますので、
自分にぴったりの話は本編から見つけていただくとして、
こちらでは私に響いた話をご紹介したいと思います。
寓話+感想を記します
オアシスの老人
二つの大きな町に挟まれたオアシスに、一人の老人が座っていた。
通りかかった男が老人に尋ねた。
「これから隣の町に行くのですが、この先の町はどんな町ですか?」
老人はこれに答えずに聞いた。
「今までいた町は、お前にとってどんな町だった?」
男はしかめっ面をして言う。
「たちの悪い人間が多くて、汚い町ですよ。だから、隣の町に行ってみようと思ったんです」
老人はこう答えた。
「お前がそう思っているなら、隣の町も、たちの悪い人間が多い、汚い町だろうよ」
しばらくすると、さっきの男が来たのと同じ町から、別の男がやってきた。
その男はさっきの男と同じように老人に尋ねた。
「これから隣の町に行くのですが、この先の町はどんな町ですか?」
老人はこれに答えずに聞いた。
「今までいた町は、お前にとってどんな町だった?」
男はにこやかに答えた。
「親切な人が多くて、きれいな町です」
老人はこれを聞いてこう言った。
「なるほど、お前がそう思うなら、隣の町も親切な人が多い、きれいな町だよ」
感想:他者と自分は合わせ鏡とよく言います。斜めに世の中を見ていると
世の中の良くない部分ばかりが目についてしまう非常に良くない
カクテルパーティー効果*が起こってしまうことがよく表れているお話です。
二人目の男のように物事を見られると世界を見る目が変わりそうです。
*多くの音の中から、自分が必要としている情報や重要な情報を無意識に
選択することができる脳の働きのこと
二人の商人
昔、江州の商人と他国の商人が、二人で一緒に碓氷の峠道を登っていた。
焼け付くような暑さの中、重い商品を山ほど背負って険しい坂を登っていくのは、
本当に苦しいことだった。
途中、木陰に荷物を下ろして休んでいると、他国の商人が汗を拭きながら嘆いた。
「本当にこの山がもう少し低いといいんですがね。世渡りの稼業に楽なことはございません。
だけど、こうも険しい坂を登るんでは、いっそ行商をやめて、帰ってしまいたくなりますよ」
これを聞いた江州の商人はにっこりと笑って、こう言った。
「同じ坂を、同じぐらいの荷物を背負って登るんです。あなたがつらいのも、
私がつらいのも同じことです。このとおり、息もはずめば、汗も流れます。
だけど、私は碓氷の山が、もっともっと、いや十倍も高くなってくれれば
有難いと思います。そうすれば、たいていの商人は皆、中途で帰るでしょう。
そのときこそ私は一人で山の彼方へ行って、思うさま商売をしてみたいと思います。
碓氷の山がまだまだ高くないのが、私には残念ですよ」
感想:つらいことを乗り越えられると、周囲と差がついて成功する考え方が見て取れます。
つらい・しんどいことは誰もが嫌がる、それを押し通せる人は重宝されますね。
ただ、気構えはいいとして、自分の許容範囲を超えてまで体を酷使することは
命を擦り減らすことにつながるので、その見極めには注意したいものです。
ロバと親子
町にある市場でロバを売るため、親子とロバが田舎道を歩いていた。
すると、道ばたで井戸水を汲んでいた女の子たちがそれを見て言った。
「なんて馬鹿な人たちでしょう。どっちか一人がロバに乗ればいいのにさあ。
二人ともほこりをかぶってとぼとぼ歩いているのに、ロバはあんなに気楽に
歩いているわ」
親父さんはその通りだと思い、息子をロバの背中に乗せた。
しばらく行くと、老人たちがたき火をしているところに来た。
老人の一人がこう言った。
「今時の若い者は年寄りを大切にしない。ごらんよ、
年をとった親父さんが疲れた様子で歩いているのに、
あの子はロバに乗って平気な様子じゃないか」
親父さんはこれを聞いて「それもそうだな」と思った。
そして、息子を下ろして、自分がロバに乗った。
しばらく行くと、子どもを抱いた三人の女たちに会った。
一人の女がこう言った。
「まったく恥ずかしいことだよ。子どもがあんなに疲れた様子なのに、
どうして歩かせておけるんだよ。自分は王様みたいにロバに乗ってさ」
そこで親父さんは、息子を鞍の上に引き上げて自分の前に乗せた。
しばらく行くと、数人の若者たちに出くわした。
一人の若者がこう言った。
「君たちはどうかしているんじゃないか。
その小さなロバに二人が乗るなんていうのは無慈悲だよ。
動物虐待だと言われても仕方がない」
その通りだと思った二人は、ロバから下りた。
そして、親父さんは言った。
「こうなったら、二人でロバを担いでいくしかない」
二人はロバの後足と前足をそれぞれ綱で縛って、
道ばたにあった丈夫そうな棒をその間に通した。
子どもが棒の片方を、親父さんが棒のもう片方を持って、
えんやえんやと担いで歩いて言った。
町の人たちはこの様子を見て、手をたたいて笑った。
感想:世の中には本当に色々な人がいる。そもそも誰一人として同じ人間はいない。
相手や周囲に合わせることは大事な生きる術だが、全ての人に合わせられない。
つまり全ての人に好かれることは出来ないと心した方がいい。
自分がどうしたいか、という自由が奪われてしまいます。
他にも、三人のレンガ職人や人間万事塞翁が馬、などの
有名かつ普遍的なお話が著者の解説とともに書かれており、
家の本棚に常に置いて読み返したいと思える作品だと思います。
2023年の始まりのお供にいかがでしょうか。