司法書士渡邉親(ちかし)のブログ -2ページ目

こう着状態

最近は、取締役会を設けないで株式会社を設立するところが

多いです。

取締役会を設けない場合、結果として、株主総会の権限が

強くなります。

ところで、株主が2名で、50パーセントと50パーセント

の株式保有割合であった場合に、株主間が仲が悪くなった場合

どうなるか?

会社の大事なことは、株主総会の決議がないと先に進みません。

決議は過半数(51パーセント)ないと成立しないので、

何も決められない状態になります。

ではどうやって打開するか?

株式を発行して割合を変える方法も考えられるかもしれませんが、

これも株主総会の決議がないと出来ません。

株主さん同志の話し合いで決着するしかないのかもしれません。

住宅用家屋証明書による登録免許税軽減

住宅用家屋証明書(専用住宅証明書)を取得して、

建物保存登記や抵当権設定登記を申請すると、

登録免許税がかなり軽減されます。


ところで住宅家屋証明書は、建物の所有者が、居住用に使用する場合に

取得できます。

では、親子で建物を新築(Aさん持分2分の1、Bさん持分2分の1)

した場合で、子供のAさんのみ居住し、父であるBさんが居住しない場合、

住宅用家屋証明書は取得できるのでしょうか?


答えは、AとBでは、住所が違う以上、Aさんだけが住宅用家屋証明書

を取得できます。

なので、

①建物保存登記は、2分の1の割合だけ、登録免許税の軽減を受けること

になります。

②次に抵当権設定登記ですが、債務者(ローン借入者)がAさんであるなら、

債務全額につき、登録免許税の軽減があります。

逆に、債務者がBさん(居住しない父)の場合、一切、登録免許税の軽減

がありません。

最後に債務者がAとBの連帯債務であった場合ですが、

これは、全額につき登録免許税の軽減があります。

債務の半額ではありません。

ここが注意点かもしれませんね。

中間省略登記と利益相反

新年あけましておめでとうございます。

新年初めてのブログは、非常に実務色の強い話題となってしまいました。

まず、中間省略登記とは、通常AからB、BからCと不動産の所有権が移転

した場合、AからBに名義変更し(所有権移転登記)、BからCに

名義変更(所有権移転登記)をしなければならないところ(2段階)、

中間を省略して、AからCに直接名義変更(所有権移転登記)する

ことをいいます。

これは、中間の登記を省略することにより、登録免許税や不動産取得税

を節税しようとするものです。

ただし、中間省略登記は、①第三者の為にする契約か②買主の地位の譲渡

の形式しか認められておりません。

なんでもかんでも省略できるのであれば、登記によって権利変動を公示し、

取引の安全をはかろうとする登記制度の趣旨に反してしまうからです。


次に、利益相反とは、A社からB社に名義変更するに当たり、A社、B社

ともに社長(代表取締役)が同一人の場合、名義変更に一定の規制が

係るというものです。

これは、例えばA社がB社に土地を売買する場合、社長が1億の土地を、

1円で売買するというような不利益を一方の会社に与えるのを防止する

ためのものです。


ここで、問題なんですが、

①第三者の為にする契約の場合、いかなる場合に利益相反規制が

かかるのでしょうか?


・AとBの社長が同一人の場合、これは、第一の契約当事者が

 同一人と言えるので利益相反規制が及びます。登記原因証明情報を

 提供する関係で、登記原因につき第三者の許可等を要する場合と

 いえるからです。議事録等の添付が必要になります。


・BとCの社長が同一の場合も、第二の契約当事者が同一人となるので

 上と同じです。


・AとCの社長が同じ場合、これは難しいですが、実体上AとC

 の契約はないので、登記原因に付き第三者の許可は不要と言え、

 利益相反規制は及ばないと考えます。

 ただ、いわゆる藁人形を中間者とすることで、利益相反規制を

 潜脱するおそれもないとはいえません。

 私だったら、念のため、登記をAからCに移すことについての、

 許可等を頂くかもしれませんが・・・


②買主の地位の譲渡の場合はどうでしょうか?


・AとBが同一社長の場合、買主の地位の譲渡により、Bは最終的な

 契約当事者から外れることになりますが、AとCの契約は、

 AとBの契約に乗っかっており、AとB間の契約が無効になれば、AとCの

 契約も無効になるので、利益相反規制から外れることはありません。

 
・BとCが同一社長の場合、買主の地位を譲渡する契約当事者であるので、

 同じく規制を受けます。


・AとCが同一社長の場合、最終的には、CはBから買主の地位を譲受、

 Aと契約することになるので、やはり利益相反規制を受けます。


以上、登記研究の741号を参照いたしました。