◎京都学生演劇祭2018『Aブロック』京都大学吉田寮食堂


2018年8月28日(火)14時半~(約158分)


【説明】

今年で8回目を迎える京都学生演劇祭は、「今、京都で最も面白い舞台をつくる学生劇団はどこか」という問いに答えを出すべく、2010年に始まりました。演劇の面白さは一概には言えないため、「観客」と「審査員」という2つの視点から賞を決めます。学生演劇を盛り上げるための交流・刺激の場として、演じる側も見る側も「楽しかった」と思えるお祭りのようなイベントを目指しています。

(「https://stage.corich.jp/stage/93010」よりフライヤーや説明を引用)

 

○エイリアンズ[立命館大学]『オールドブルー』(約41分)

 

 

(「https://twitter.com/4_aliens_/status/1018349586002243592」よりフライヤーを引用)

 

【団体情報】
「京都外生命体」として同じ高校演劇部出身の4人 が集まり結成された演劇ユニット。SF作品の創作を 目指し日々稽古に励むが実力が伴わず上手くいかな い。

 

 

【説明】

少し先の未来、エイリアンが襲来した地球は急速な発展を遂げ、人類はめまぐるしいスピードを手に入れた。そんな世界を走り続ける男が一人。彼は何から逃げ、何を追いかけ走るのか。記憶の色は重なり、加法混色で白い光となり彼を包む。極めて近く限りなく遠い人と人の話。

 

【キャスト】

髪の短い女性:掛橋浩美
髪の長い女性:今野愛恵
髭のない男:五藤慎也
髭のある男:ミワチヒロ

 

【あらすじ】

カワイヨウヘイがエイリアンに追われているところから舞台は始まる。身体にチューブをつけられるなど何か実験されているみたい。

 

ヨウヘイが生まれるための精子が卵子に着床するところが表現される。

 

ヨウヘイは小学校の時にバンノ(だったかな?)とウサギ小屋の動物を逃がしたり,中学生の時(だったかな?)にミユキという女の子に恋をしたり,大学生の時には就職活動で後れを取ったりして24歳で就職するも一年でクビといったようにヨウヘイの人生が描かれる。

 

ヨウヘイはついに七十代になるが本人は三十代と思っている場面が最後にある。娘のマナエをミユキと間違えたり孫娘のヒロミ(だったかな?)が誰かわからなかったり。認知症を患っている様子のヨウヘイ。病気にもなっているのか治療のためにチューブを身体につけられることもあったようだ。ヨウヘイは治療室から逃げ出す。追う病院関係者。そしてラストは。。ドスンという音が。。

 

【感想】

出演者四人全員が紺色のつなぎ作業服姿なのは関西小劇場の人気劇団テノヒラサイズを想起させる。出だし一人女性役者が出て来ての口上から作品が始まるのは今年三月のおうさか学生演劇祭で演じられたふわふわ中毒『すくすくのびのびしくしくよぼよぼ』を思い出しました。エイリアン襲来が何を指すのか。。カワイヨウヘイは特定の出演者が演じるのではなくヨウヘイの年齢に応じて四人の出演者が代わる代わる演じる。ヨウヘイが生まれる場面の精子が卵子に着床するところでミクロの世界の住人達(細菌やウィルスetc.)を「エイリアン」と表現するのかと思ったが違うみたい。ここは下ネタに行くのかと警戒しましたが違いましたね(苦笑)違って良かったです。就職活動で後れを取っているとこらへんの「自分の色は何色か?」という言葉が印象に残っていますね。
 
男性役者ミワチヒロさんと五藤慎也さん御二人の声がよく通る。テンポも良く勢いも学生らしい。良い意味でお馬鹿な場面もあり退屈はあまりしない。女性役者掛橋浩美さんと今野愛恵さん御二人の声質も好きだったかな(笑)

 

未だに私が理解できていない所もあると思うのですが。。

 

 

 

 

 

○劇団洗濯氣[京都橘大学]『桜散る頃、蝶は舞う。』(約49分)

 

     

(「https://twitter.com/sentakuki_ta/status/1032521204433707008」よりフライヤーを引用)

 

【団体情報】

京都橘大学演劇部「劇団洗濯氣」です!お客様の心が洗われるような舞台を目指して頑張ります。一応、1990年創立。京都市は山科の山奥にてひっそりと活動しております。今回は前回出場した際のものとは大幅に異なる趣向の演劇となっています。乞うご期待!

 

 

【説明】

人は愛を追い、愛を愛し、愛を渇望し、愛に溺れ、愛に依存し、愛に焦がれ、愛 に苦しみ、愛に生き、愛に死ぬ

くだらないとは思わないかい?

この物語はそんな下らない連中のくだらない物語なのさ。一緒に笑ってやろうじゃないか。

 

【キャスト】

帰蝶:折紙
雅:伊吹要
小野篁:皆本黄泉
直樹:和
陽子:ゴルゴンゾーラ 
春子:瀬名かたひら 
清十郎:2代目スタイリッシュK

 

【あらすじ】

昔々帰蝶という女が男にフラれ堕胎した。帰蝶は男を恨んで(だったかな?)鬼となった。堕胎した娘は親から愛情を得られなかったことから生まれながら鬼となり母親の帰蝶を殺そうとする。これが雅。


帰蝶は長い年月を経た後,清十郎という男に優しくされ一緒に住むようになる。清十郎は帰蝶の昔の話を聞き小説として発表して儲けようとする。清十郎が帰蝶を利用しているだけで愛していないことを知った雅は清十郎を殺害する。


そしてまた時は経ち現代。帰蝶は小説家志望の直樹に出会う。直樹の祖父も小説家だったらしく直樹の祖母は直樹の志望を応援している。しかし母親は文具会社を営んでおり社業を息子の直樹に継がせたい様子。直樹は帰蝶から帰蝶の過去を聞き小説にして発表し見事賞を獲得する。母親も小説家になることを認めるのだが。。最終的に雅は帰蝶を殺害する。

 

【感想】

『桜散る頃、蝶は舞う』という題名が関西小劇場の人気劇団STAR☆JACKSの作品『桜舞う夜、君想ふ』を想起する。当日パンフレットに脚本が誰か書いていない。こういう基本情報は記載しないといけませんよね。これはマイナス。検索しても出てこないのでオリジナル作品と考えてよさそうです。小野篁が出てくるので冥官説話を元にしているのかとも思いましたが関係は無いみたい。

 

篁が帰蝶や雅を唆しているような場面があるのだが篁は何がしたかったんだろう?というのがイマイチよく分からず。帰蝶役折紙さんが中々華がある方。小野篁役皆本黄泉さんは台詞回しがとても好きだったのですが声が聞き取りにくいところがあったのが勿体なかったな。。

 

 

 

 

 

○ポゴラジオ9%[同志社大学]『えらび』

 

【団体情報】
同志社小劇場出身の和田見慎太郎、大塚広輝が結成。仲良し。

 

普段は同志社小劇場という劇団でお芝居をしています、よろしくおねがいします。

 

【説明】

いままでの人生の中で選んできた行動にはどれだけの意味があったのだろう。


【キャスト】

男:和田見慎太郎

 

【あらすじ】

家族の物語。シミズテツヤ(だったかな?)役和多見慎太郎さんの一人芝居。前半と後半の一部分を除いて大部分は娘のカムロハル(だったかな?)へ送るビデオレターを撮っているという設定になっている。


最初の方に誰かと話している場面が。「家族に戻りたいわけでは無い」という台詞が出てくる。その後電話で父親と電話をしている場面があり母親が亡くなったことがわかる。


ここから娘のハルへテツヤが独白する場面になるのだがまず自分が本当の父親であることを明かす。町の旧家で未だに有力者であるカムロ家は自分とハルの母親であるエリカの結婚を喜ばなかった、と。※


そしてテツヤは自分の今までの人生を語り始める。子供の頃引っ込み思案だったため母親に家から閉め出されたこと。母親が不倫をしていたこと。不倫相手の子供のコバヤシという男の子と仲良くなったこと。父親が新しい母親を連れて来てこの女性こそテツヤが唯一心から母親と呼べる女性であること。最後にハルの名前の由来にも触れハルに旧態依然のこの町を離れて外の世界に出るように勧めるような終わり方でビデオレターは終わる。


最後に最初に話していた相手が産みの母親であることが分かる。テツヤはビデオレターをまだハルに送ってないことやハルの母親エリカと離婚して町から出て行きコバヤシと日本全国を回りながら写真を撮り二度と町に帰ってくるつもりが無いことを話す。

 

【感想】

和田見さんが一回生だった時に演出をされた『銀河旋律』を観劇。その後もM.S.Pに参加されたり伊丹想流劇塾マスターコース二期生となられたりして芝居の勉強をされているということもあり期待している学生劇団の役者・演出家です。ちょうど私が学生劇団を観劇し始めたのが2016年くらいということもあり現在四回生や三回生の方が私にとってはよく拝見している学生劇団の役者一期生・二期生という感じですね。

舞台に出てくるのは和多見さん以外はパイプ椅子とカメラのみのシンプルなもの。カムロ家や産みの母親と話す時とビデオレターを撮る時とはパイプ椅子の位置や向きを変えている。脚本そのものは起伏にとんでいたが語りが最後に謝る産みの母親に「謝るなよ!」と一瞬激する以外は基本淡々とした語りで進んでいくのでエンタメ好きな観客などにとっては退屈だったかもしれません。観客賞は取りにくい作品でしょうね。ただ私は脚本自体は好みでしたね。Aブロックの三作品の中では一番話がわかりやすかったのでは無いかと思います。一人芝居は和田見さんの挑戦ですね!


※この時点では上に書いた「家族に戻りたいわけでは無い」という台詞の場面はカムロ家とテツヤが話し合っているので無いかと思わせられました。

 

執筆者【観劇妖怪】自己紹介
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