前回よりタイプ論を元にしてコンプレックスを論じております。そもそもコンプレックスとは何かについて解説を加える必要はないかと思いますし、これまでの私のブログのアーカイブスを参照していただきたいです。しかしながら、アーカイブスを参照すること自体が面倒だと考える人のために少しだけ解説しますと、「イラッ!」とくることがコンプレックスです。そしてなにより、「複雑な状況」のことをそもそもコンプレックスとユングは表現しました。イラッとくる原因が複雑だからコンプレックスと換言することも可能かと思いますが、厳密にいうと違います。やはり、複雑な状況のことが正しいかと考えられます。「イラッ!」は、複雑な状況が転じてこのようになると考えてただければ結構です。
さて、日ごろ生活していると、自分と合わない人に多く出会うと思います。そして、生きにくい世の中であると考える人も多いことでしょう。なぜあの人はあれほど怒るのだろうか?とか、なぜあれほどまでに矛盾点が多いのだろうか?とか、なぜあの人は自慢ばかりするのだろうか?などと思いうことは多々あるかと思います。これらの人が全て主体に対して「心の健康状態が健全な人」と思うからこそこのように思い悩むことがあるかもしれません。また、自分自身のコンプレックスに気づかず、全て相手の性格が原因だと考える人も実のところ多いです。このようなことから、心理学を学ぶ場合、ご自分の心理状態を正しく理解されていなければならないというのは前回の最後にお伝えしておきました。例えば、職場の人が、「私は昨日のディナーに高級ホテルのレストランへ行ったけど、そのせいで今週は厳しいわ・・・」といったとします。それに「イラッ!」とくる人は自分自身のコンプレックスに由来するものなのか、それとも、相手の性格と根本的に異なることが由来するからなのかについて客観的な診断が下せないと真実は見抜けません。
イラッとくる原因に本人由来なのか、それとも客体由来なのかについてですけど、前述の例を本人由来で考えてみると、高級ホテルの食事ができない、ないし、できたとしても年に1~2回の経済状況だとすると、イラッ!とくる可能性が高く、所得の問題があるにせよ、これは本人由来の原因だといえます。これとは逆に、客体由来のものだとすると、心的タイプの違いがイラッ!とさせると仮定できます。まあしかし、いずれにせよ、人間が二人集まれば十分にコンプレックスですから、組織という概念はそもそもコンプレックスだと仮定すると、とにかく、「世の中は複雑だ」とこころより納得させるほかありません。
ここでもう少し掘り下げて考えてみたいのですが、高級レストランで食事をした話を自虐的に話をする人に「イラッ!」とくる方、その状況をまずはよく考えていただきたい。そのように言っている人は社交のために自腹を切り、自分自身として非常に頑張った結果として、家計が苦しくなったといえるかもしれません。それを第三者的にみて「イラッ!」とくるようであれば、それはあなたのコンプレックスとしか言いようがありません。しかしながら、客体が相手に自慢しようと思いそのようなことを言っている場合、それは基本的な性格の違いが由来するものです。この点を十分に考慮していただきたいのです。ここで自分のコンプレックスに気づくか、それとも気づかづに自分の思いを通すかで大きな違いが出ることが出てくることは容易に想像できるかと思います。自分に原因があるのか、それとも客体に原因があるのか・・・とても難しい問題です。しかし、これが理解できない限りにおいて、心理学をマスターしたとはいえないのです。
この問題を企業の組織の問題に当てはめると、例えば、職場に「自分はできる人間だ」と信じる部下を抱える課長がいるとします。しかしながら実際のその部下の働きや実績は散々なもので、どのように接していけばよいのか非常に悩む人物がいるとします。その人物は高学歴かつ、有資格であり、独立して士業で生きていくことができる能力がある場合、この人物をどのように判断するかですが、近年ではこのような人物にはアスペルガー症候群と病名がついておりますが、実際にそのような人物を目の当たりにした時に、その課長はどこまで対応できるかが腕の見せ所となります。課長さん、あなたはアスペルガー症候群と正面から向き合えることができますか?そして、その症状を見抜けますか?という根本的な問題が発生します。これとは逆に自分がアスペルガー症候群であり、自分の意見と対立する意見をする人物を常に排除しようとしている現場の課長さんはいませんか?
次回より、主体と異なる人間とどのように接していけばよいのかについて論じていこうかと思います。最近は忙しくしておりましてブログの更新も不定期になっておりますができる限り更新をしていこうと思いますので、お付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。