需要と供給 5 | 芸能の世界とマネジメント

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芸能界、芸能人のために論じます。

需要と供給を同時に考えていこうとする企画であります。経済学的な視点で考えるのも悪くはないのですが、実際の商売には数字で表現することができない様々な現象がありまして、それ故に物語論的手法で話を進めております。

 

前稿においては古新聞を200円で販売する架空の商売人を登場させ、彼の方法論を吟味してみました。実際に彼のような商売に遭遇したことはありませんか?このほかにも競輪場へ行けば予想屋が実際にいまして、この予想屋がまた説得力あるように見えるのです。なぜそのように見えるのかというと、需要側が迷っているからです。さらに、需要側を迷わせる力もあるわけで、競輪新聞を片手に答えを瞬時に出してゆくあの姿を見ると、多少の金額を支払っても情報を買おうとする人は増えるのではないでしょうか。

 

モノが売れるときの要因は複数あるでしょうけど、もっとも単純なのは需要者を迷わせることではないでしょうか。迷っているところに商売人が現れ、迷いをとり、そして購入に至る。このようなサイクルが生れると商売人の存在意義がはっきりとし、しかも感謝されます。やはり、対面販売の良いところは心と心のぶつかり合いであるところでしょう。商売人は商品を右から左へ流すだけではなく、消費者の心のよりどころとなれば付加価値がつき、そこに信頼が生れることにより売り上げが上がってゆくというスパイラルがうまれると、企業は成長してゆくのではないでしょうか。

 

そう考えると、商売人は老賢者として歩んでゆくとき、非常に消費者から愛される存在となり、同時に、できる商売人として成長してゆくものと思われます。近年はインターネットの通販、それもECサイトが流行しており、しかしながら、問題も多くなってきております。インターネットでのショッピングはその品ぞろえの多さから便利であります。ところが、何を買おうか迷っているときに知恵を貸してくれる人がおらず、本当に迷ってしまう負のスパイラルが発生します。商品のスペックで判断するから問題はない!!という人もいらっしゃいます。しかしながら、そのような人の多くは全てのモノをインターネット通販を利用しているわけではなく、ごく一部の製品を通販に頼っている場合がほとんどであります。

 

便利であるインターネット通販にて、一戸建ての住宅の購入から食料品の購入までの全てをインターネット通販にて購入する人はごくわずかであります。なぜでしょうか?となるのですけど、例えば、家くらいは対人販売にて購入したいと考える人が多いのは、つまり、住宅について迷っているからであり、何の迷いもなければ無人販売で事足ります。家の無人販売はさすがに不安だ!と思う方はやはりどこかに迷いがあるわけで、その悩みを取って気持ちを楽にすることができれば、需給関係は非常に円満な結論へと導かれるものであるかと思われます。

 

この原理を心理学的にいえば、それは象徴なる概念となります。しかしながら、ユング心理学的においての象徴は一般的な象徴とはことなり、一言で表すと「あいだ」となります。一般的には「代表」と翻訳されますから、意味は大きく異なります。ここをまずご理解いただきたいです。ユング心理学的には大きく意味がことなる象徴でありますが、芸術の分野ではユング心理学における象徴の定義で話を進めることが多く、その意味で象徴論を勉強することにより、芸術家的な商売人を目指すことも可能になるのではなかろうかと思います。

 

次回以降は象徴を解説しながら、迷いの原理とその解決方法を吟味し、それを商売人との関連で総合してゆこうと考えております。ご高覧、ありがとうございました。