売ることを考える 6 | 芸能の世界とマネジメント

芸能の世界とマネジメント

芸能界、芸能人のために論じます。

芸能人と影の問題について述べておりますが、実のところこの問題が客体の心をとらえるのではなかろうかという仮説で話を進めております。それならば影の問題は問題ではないのでは?という疑問もあるでしょうけど、影は元型ですからこれにかかわると精神的な負担はかなりのものとなります。それ故に、お金の話と精神的な話とを区別して考えなければならないという方向へも話は進んでおります。つまり、影を利用して芸能活動する場合、お金はもうかるかもしれません。しかしながら、精神的な負担はものすごく大きくなり、中には自殺する人もいます。これとは逆にお金はほどほどに活動する場合は影の力を借りる必要はないかもしれませんが、それでは生活が成り立たないのが芸能界では常であります。難しいですね。ではどうするかですが、やはりこれは影を利用するしかないのですが、精神的な負担を少しでも減らすことを考えながら進めるしか方法がありません。影の力を借りる以上、精神的な負担はさけられません。ゆえに、その負担を「軽減」させることを考え、活動していくようにしなくてはならないでしょう。

 

こうなりますと非常に危険な作業となります。というのも、医学的なことを例にしますと、未知の病原菌の研究をするために、実験者自らその病原菌を体内に入れるのとほぼ同じことになるからです。つまり、治療の方法がわかっていないととんでもないことが起こります。ですから、実行はできるだけ心理療法家のカウンセリングを受けながらにしていただきたいです。

 

では、序論的なことから入っていきますが、意識的に「暗い性格」とわかっており、友人たちからもそのような評価である人物、Aという人がいるとします。この人が私の話を聞いて思ったのは、「では、明るい性格」が実は備わっており、やりようによっては自分を180度変えることができると考えたとしましょう。ここまでの話は私が公演すればたいていの人はこのように思っているようです。そしてそれは私としては正しい理解だと思っております。しかしながら、心理学的には実に大きな間違えをしておりまして、では、自分の暗さはどこに由来しているのかを考えなければなりません。ここで役に立つのがタイプ論であります。外向的で暗い人はあまりいません。「あまり」というのは、完全なる外向的な人というのは存在しないからです。誰が見ても暗いと感じる人はまずは自分が内向的であることを疑ってみることでありましょう。ここでも曖昧な表現となるのは、その判断は実際のクライアントを前にしないと何ともいえないからです。つまり、外向的な人でも診療時に内向的な性格を前面に出すときがあり、その見極めはかなり難しいからであります。そこで典型例として、このAは典型的な内向型の性格であるとします。本来ならばこれに4つの心の基本類型が加わるのですが、ここは省きます。まず、内向的であるがゆえに「暗い」と評価され、さらに自覚症状もあるAという人物とします。このAが芸能界で活躍したいという思いで実はいっぱいで、この点からしても外向的な面が見え隠れするのですが・・・そこは気にせず、とにかく、暗い性格なのに人前に立つことはできるのか?について悩んでおります。そして私のところにカウンセリングを受けにきたとします。私は言うでしょう・・・「まずステージに立ちなさい」

 

このような典型的な人が現れれば私は常にこのように言っております。これはステージに立つ前からあれこれ悩んでも解決しないことを別の表現として伝えているわけです。このような場合、「ステージに立つ前に云々・・」といったところでカウンセリングにはなりませんから、Aが実際にステージに立つか否かはどうでもよいとして、まずはそのように言い放ちます。そうしますと今の暗い自分という自我が打ちのめされ、わかりやすくいうと「破壊」されます。そうしますと意識と無意識とが自動的に分裂します。これは理解できますよね?そうならざるをえないわけです。つまり、意識的に意識と無意識とを切り離すのは非常に困難なので、答えがわかっているものを先に壊すと、その逆の部分が出やすくなるという方法であります。この場合はもちろ影の部分を引き出すために自我を一旦は崩し、集合的無意識を出しやすくするというものであります。ところがこの方法は大きな問題がありまして、つまり、元型は影だけではないということです。影を出そうと思って思わずアニマやアニムスがでることもあります。さて、難しいですね。いきなりその人が永遠の少年として活躍しだすとどうなるか?これもまた非常事態であるかと思われます。また、壊れた自我が再生しない場合はどうなるか?など大きな問題が山積しております。ところが、芸能界で活躍するとなると、例えばAが男性だとします。そうしますと、男性が女性として活躍することも芸能界では多々あることでして、それも一つの生き方かもしれません。Aが男性であれば、最初の思いとは違う方向であるかもしれませんが、「逆の生き方」であることには変わりなく、世間が受け入れればその人は有名人となることは必至です。

 

さてこの事例を皆さまはがどのように思うかであります。実際にはこのような典型例に出会うことはまずありません。もっと複雑な心の問題を少しづつ解決していきながら先に進めていくのですが、今回はここで筆を置き、皆様方がどのように考えるかをまずは優先させ、その後にもう少し深い話に入っていこうと考えております。ご高覧、ありがとうございました。