これまでは戦略と行動に関しての序論を行ってきましたが、今回からは中身に入っていこうと思います。その第一回目はイノベーション戦略とは
にてイノベーション戦略についての図を掲載しましたが、その解説から始めようと思います。
前述のマトリクスは:
1、慣習的イノベーション戦略
2、破壊的イノベーション戦略
3、革新的イノベーション戦略
4、新設計イノベーション戦略
以上の4つに分けられていました。本日は慣習的イノベーション戦略について述べていこうと思います。
この図のX軸とY軸の説明を読みますと、X軸に既存の技術的競争力が活用できる場合、Y軸は在来型のビジネスモデルを活用できる場合となっております。この部分の原文は「Routine(ルーティン)となっておりまして、これはいわゆる「ルーティンワーク」の時のルーティンです。繰り返しの動作のことをいい、原文でもその意味で使用されています。しかしながら、日本語にするとき、ルーティンを日本語として認めるか否かで非常に迷い、しかも、そのほかのマスは全て日本語で表記できるため、統一性を保つためにもこの部分も日本語にしておきました。
「習慣と慣習の違い」についても説明がいるでしょうけど、その違いは組織か個人かで区切っております。少なくとも経営学で慣習といえばそれが組織の問題であり、組織として「常識化」している状況のことを言います。習慣は個人として「常識化」している状況のことです。
このように考えてみるとかなり難解なマスとなっておりますが、具体的にルーティン・イノベーション戦略とはなにかというと、一言でいえば、「持続的イノベーション」のことです。これはクリステンセンの理論を理解しておかなければならないのですが、要は、車の品質を高めていく、ポテトチップスの味を今よりもおいしくする、iphone6が7になるなど、改良を加えて新製品を出していく場合に使われます。マスの中には「次世代BMW3シリーズ」など書かれておりますが、要は、改良を加えるだけで何とかなる状況の場合、ないし、改良する以外に方法がない場合にこのマスの戦略を選択することになります。
アイドル市場で見るならば、X軸上では「アイドルとしての踊りや歌が現在でも時代にマッチしている」状況で、Y軸上では「劇場の入場料収入ではなく、物販での収入で戦うAKB48モデルが現在でも時代にマッチしている」状況となります。このXとYの両方がマッチするとき、より技術を磨き上げ、アイドル市場の「高級化」を図ることが求められます。よって、それ用の行動を起こすことを要求され、例えば、ダンスや歌のレッスンが現在よりも増やしていかなければならないことを意味します。さらに、物販のモノの単価や入場料などもこの「高級化」に伴い上昇させる必要性があり、実は未来ある若者が多い組織体が選ぶべき道ではないことは容易に想像できるでしょう。
今のLinQがこの状況にいるのなら、私はLinQに助言など行いません。なぜなら、「慣習」によって自動的に動くことができ、既に土台が出来上がっているので、他人の助言など必要ないですし、また、新たな成長を望むことはできないからです。人間の年齢に例えると50歳以上の年齢となりますから、助言など必要ないですし、釈迦に説法となります。
本日は慣習的イノベーション戦略についての解説を行いましたが、ご理解いただけたでしょうか。本日はこれにて筆を下ろします。ご高覧、ありがとうございました。