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☆惚けるということ☆
先日の監察医朝顔SPでは、アルツハイマーを患って人が変わったようになった父親(つぐみちゃんにとっては祖父)との関り合いが焦点になっていた。
もう亡くなってしまったけど、うちの父親もアルツハイマーを患っていた。
最初は作話から始まり、そのうちに暴言が出だして、食道癌と心臓病を発症してからは、体が思うように動かなくなってイライラするのか、物を投げたり、叩いたりという暴力まで振るうようになった。
とても大柄な人だったので、トイレやお風呂など、小柄な母親の手には負えず、どうしようかと思い悩みだしたときに心臓の発作を起こし、入院することに。
入れられたICUでも、ベッドから下りたり徘徊したりして、看護師さんやお医者さんに随分迷惑をお掛けした。
そのときに、ケースワーカーさんから施設への入所を勧められ、紹介してもらった施設に入れてもらうことができた。
結局、入所から1年後に亡くなってしまったけれど、その間、二、三日に1度は洗濯物の入れ替えをしに車で私が通っていた。
私が行くと、いつも「お帰り」と迎えてくれて、帰るときには「仕事か?気を付けてな」と、状況の認識はできてはなかったけれど、亡くなるまで私のことはきちんと認識できていた。
あるとき、兄と一緒に父親のもとへ行ったとき、父親が兄に向かって「いつも娘がお世話になり、ありがとうございます」と挨拶をした。
そのときの兄の顔は今でも覚えている。
悲しかっただろうな…
母親を連れていったときはもっとひどかった。
母親が誰であるかさえ分からず、無視をして、顔すら見なかった。
寂しかっただろうな…
惚けるというのは、周りの人間が思うことであって、本人に自覚はない。
少なくとも、うちの父親は自分が惚けているとは全く思っていなかった。
元気なときはとても世話焼きで、人の嫌がるお役目でも進んで引き受けるような人だったから、今となっては自覚のなかったことが父親にとっては良いことだったとしみじみ思う。
老いは誰にも訪れてくるもの。
何とか惚けずに過ごせたらいいなと切に思う。
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