先回のXL-Z531様
と並び、いま手元にある機材の中で、
最古参になるこのすぴ~か~は、今を去ること20年前、
近所にあった電気屋の裏で、寿命の尽きた家具調テレビや、
エアコンの群れに混じってたのです。
※いうなれば「捨てニッパー」(笑)だったわけですなぁ
当時の無知なわたくしが、その生い立ちなど知る由もなく、
されどCDS-999様
の、無骨なお顔のすぴーかーとは、
随分異なる明るい白木の、優しいお顔に品良く並ぶ、
つぶらな瞳のごとき「ゆにっと」が、濡れていたように見えたから、
「おっちゃん、裏のすぴーかー、
持ってっても、え・ぇ・か・の・ぉ?」
と、
顔馴染み (=兄の同級生のお父様) だった店主に 「一応」、
身請けの許しを請うたのです。
※以降は永代許可(だったはず(^_^;))
されど自宅に持ち帰り、いざセッティングと息巻いた、
そのときになってようやくのこと、このわたくしめは気がついたのです。
なんか。。。おかしな顔じゃのぉ。。.
電気屋の裏にあったときには、片方後ろを向いており、
だから気付かなかったけど、すぴーかーなら左右対称が、
当たり前だと決め込んでいた、わたくしにとってその光景は、
受け入れ難いものでした。
捨てようとしてたくらいなんだから、実は「紛いもの」じゃなろうか?
ただより高いものはない!!
あの食わせ物の
電気屋め!!!
好意で名機を譲ってもらった、そんな僥倖と知らぬばかりか、
この落とし前どうしてくれる\(*`∧´)/
と、どす黒いものも覚える始末。
。。。でも気の小さいわたくしが、だからいまさら戻せる訳なく、
せめて如何ほどの音なのだろか?と、気を取り直して鳴らしたところ、
最初の恨みはどこへやら、
すっかり虜になってしまったのです。
そもそも、
ラジカセだったりテレビなんかの、プラスチッキーな音の世界しか、
知らずに育ったわたくしにとって、「すてれお」という名前の機械は、
「でっかい音を鳴らすもの」 であり、
だからそのとき唯一知ってた、CDS-999様の、
それは、しゃっきり伸びた高域と、ドスを効かせた低域の、
うぶな素人がそれだけ聴いたら、これぞ「はいふぁい」と思うであろう、
これ見よがしな「すぴーかー」でさえ、じゅうぶん満足できていたのです。
※ 実際「うぶ」だったわたくしは、そう思ったわけでございます。
でも、このひとが奏でた音は、
家電の延長にある機械からは、決して聞こえることのなかった、
丸みを帯びた柔らかい艶と、深いビロードの襞を持ち、
これほどまでに綿密で、潤い豊かな声の襞やら、
中域あたりの温かみなど、聞いてしまった後となっては、
999さまのすぴーかの音は、それこそ「シャ●」でも決めたかのような、
それで悪ければ水気を吸って、シャッキリとした歯ごたえを得るも、
すっかり旨みを吐き出し切った、千切りキャベツと思えたのです。
まぁ最初のころこそ低域が、ちょっとばっかり篭っておって、
それは小型の密閉箱に、ぎゅうぎゅうに詰めた吸音材(うーる100%)が、
何かの拍子にうーふぁーを、圧迫しすぎたからなのでしょう。
そこがだんだんこなれるにつれ、999様のすぴーかが唯一、
勝って聞こえた低域の、重心も実はこのひとの方が、
低かったことに気付くにいたり、
音はいいのに、何だってこうも、
「ち・ぐ・は・ぐ」 な、レイアウトかのぉ。。。
と、
最初の嘆きが改めて、頭をもたげてしまったのです。
※ 元々かような構成と知って、恨みが晴れたはその半年後(笑)
。。。ともあれ、
メインの地位にいた期間こそ、最初の数年だけだったけど、
いずれにしてもこのひとの声が、以降わたくしの音の好みに、
強く影響したことは、否定できない事実であって、
このひと自身もすんでのところを、永らえたことを考えたとき、
お前、いい子だのぉ
(&いい飼い主に拾われたのぉ)。。。
と、自意識過剰なコメント付きで、
頭を撫でずには、いられないのです。