今回はマルチタスク(同時並列処理)は本当に可能なのか、という記事です。
結論から言うと「もちろん可能」 です。
シングルタスクしか我々はできない、と考えてしまっているコーチの方が以前いて、誤解があったので今回解説してみようと思いました。
【脳は複数同時に処理できるのか】
なぜシングルタスク(シリアル処理)しかできないと考えてしまうかというと、下記だからです。
意識:シングルタスク(シリアル処理)
無意識:マルチタスク(パラレル処理)
つまり我々は意識的には一つのことしかできないが、無意識的には同時にいくつものことができるということになります。
無意識の処理、自動化された処理を考えずに意識的な行為だけを前提にするならば「シングルタスクしかできない」と考えても間違いではないです。ただし、現実問題として我々は無意識の処理を非常に多くこなしているので、その前提自体あまり意味がないです。
例えば今私はこの記事をタイピングして書いていますが、いちいちキーボードを見て意識的に文字を打っていません。つまり何を書くかというコンテンツに関する思考をしながら、物理的にタイピングをするという行為も同時にしていることになります。マルチタスクができているわけです。
他にも例えば英語学習についても、初めは文法や発音、単語に関して一つ一つ意識しながら発話しますが、慣れてくると相手の会話を聞きながら、それに対してどう答えるかを考え、話を組み立てながら発話することができるようになります。
*ちなみに英会話のプロセスは下記です。
〜リスニング〜
音声知覚(音をキャッチ)
→内容理解(音の意味理解)
→短期記憶保存
〜スピーキング〜
概念化(何を言うか)
→言語化(どう言うか)
→調音化(どう発音するか)
上記は上から順にシリアルで行われているというよりは、英語を習得した状態での英会話場面では同時並列的に複数の処理が行われます。
他にも楽器の演奏、運転、スポーツなどあらゆることにあてはまるのが「無意識化」です。
つまり、知的な作業であっても我々は無意識化(自動化)させることができますし、それこそがスキル学習の本質ともいえます。
【意識とは何か?】
次にそもそも「意識」「無意識」とは何かですが、単純な定義としては下記です。
意識:自分の内面や外界で起きていることに対して「気づいている」状態。
無意識:自分の中で処理されているが、「気づいていない」状態の情報やプロセス。
*「潜在意識」というワードを耳にすることも多いと思いますが、潜在意識は学術用語ではなく自己啓発やスピリチュアルの文脈でのみ登場するものです。博士も潜在意識というワードは使っていないと思います。
そしてよく意識と無意識は氷山に例えられますが、現在ではあまり良い例えではないとも言われています。実際は無意識の部分が意識になることもある という動的な部分が表現できていないですし、意識は1〜5%程度 と考える研究者も多いので実際の氷山は20〜30%も海上に出ていることからこのモデルは比率のスケール感でも例えとして微妙です。
単純に暗い部屋で懐中電灯で照らした場所が意識、それ以外の暗闇が無意識、みたいな考えが良いかと思います^_^
→例:バーナード・バーズのグローバルワークスペース理論の「舞台と観客」モデル
正直アカデミックな部分は私もまだまだ勉強中なので専門家ではないのですが、普段活動する上で上記程度の最低限の知識はあったほうがよいと思うので解説しました。前提知識があった上で博士の動画とかも観ると分かりやすいです。
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【無意識に頼って良いのか?】
もう少し解説すると、「無意識は正確じゃないのでは?」という疑問も出てきます。
なんとなくの印象として意識すると正確、無意識は不正確で危ない みたいなイメージもありますが、実際は無意識はかなり正確です 。
例えば、また英語学習の例を出すと、第二言語習得研究では「習得した言語ではミステイクは起こるがエラーは起こらない」 とされています。
ミステイク:意識的な処理の失敗(一時的な選択ミス、言い間違い)
エラー:無意識的な知識の誤り(誤った知識やルールの適用)
逆に言うと、
「エラー(error)が起きない状態」=「言語が習得された状態」
となります。
下記の動画は無意識化の一例です。
身体性を伴った行為は無意識で速く、正確です。
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こういった点から、無意識は非常に高効率・高精度な処理システム と言えるので、言語に限らずあらゆる点において「無意識に任せる」のが重要になります。
「努力は夢中に勝てない」という言葉がありますが、努力と感じている時点で意識的にやっていることになるので、無意識でやっている夢中には勝てないわけですね^_^
終わりに
今回は意識と無意識について軽く解説してみました。
よくビジネスの文脈で「言語化が重要」みたいなことが強調されますが、それはそれで重要である一方で「概念化、言語化、調音化」のプロセスでも解説したとおり言語というのは抽象度が低い領域です。
*抽象度の順に情報→物理、概念化→言語化→調音化。
抽象度が低いと言うことは具体性が高まるので良い一方で、それは切り取られたある側面にしかすぎない という点や、ビジネスでは重要であっても、そもそもビジネス自体人生の一つの側面 に過ぎません。
無意識のほんの一部が意識であるように、全体のバランスホイールから観るとビジネスは一部なわけです。
全て意識に任せても限界があるわけですので、無意識に任せるという視点も一つあると色々変わってきます。コーチングなんかはまさにこの点も重視しています。
ぜひ全部意識で頑張らないで過ごしてみてください^_^
また記事を書きますね!