藤巻健史の言(1)。。 | たいくつ親父のひとり言(パートⅡ)

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亭主敬白

「国家は破綻する 日本は例外にはならない」(幻冬舎)発売

いよいよ今週末から「国家は破綻する 日本は例外にはならない」(幻冬舎)発売いたします。よろしくお願いいたします。新著表紙

シリアスな本文+軽いコラムという構成で、書きました。以下が序章とそれに続くコラムです。

「国家は破綻する 日本は例外にはならない」(幻冬舎)

(序章)今後10年に何が起きるか?

今年の夏「International Economy」という世界的権威の雑誌から寄稿依頼がありました。経済・金融に関して、欧米の元職/現職の中央銀行総裁、財務大臣、欧米の著名大学教授などの意見が載っている雑誌で、私も1年か2年に1度くらいの割合で寄稿を頼まれます。「世界でもっとも著名なエキスパート(world’s most distinguished experts)の中から意見を集めている」と豪語する雑誌ですが、まさにその通りなので、寄稿依頼があると光栄に思い、無理してでも寄稿するようにしています。

今回、寄稿を頼まれたのは「10年以内に起こる大事件は何か?」という題目でした。「この10年間で、アラブの春、2008年の金融危機、英国のEU離脱といろいろなことがありました。将来に「確実」なことなど少ないのです。10年前に誰が、マイナス金利、EU崩壊の可能性、米国のエネルギー自給自足、トランプ氏のような人/ドローン/自動運転自動車/ISIS/ジカウイールスの出現などを予想したでしょうか?今、誰も予想していないが、次の10年で起こりうる(よくもあれ、悪くもあれ)ショッキングな出来事を予想してください」という依頼内容だったのです。

私は「日本銀行の倒産」を予想しました。「エッ?」と思われる方も多いと思いますが、中央銀行の倒産は過去にも例があるのです。

戦前のドイツの中央銀行だったライヒスバンクは倒産したのです。彼らは第1次世界大戦の際、異次元の量的緩和を行いハイパーインフレをひき起こしてしまいました。1923年1月に250マルクだったパン1個が12月には3990億マルクにまではねあがってしまったのです。まさにハイパーインフレです。「喫茶店のコーヒー一杯が、飲み始めた時のメニューでは値段が6000マルクだったのに、飲み終わった時点では8000マルクに上昇していた」という笑い話(?)さえありました。

それで十分反省したのかと思いきや、ライヒスバンクはナチス政権の圧力に負けて、再度の「異次元の量的緩和」を行い、またまたハイパーインフレを引き起こしてしまったのです。

その結果、ついに倒産。新しい中央銀行であるブンデスバンクが創設されました。ブンデスバンクはそのような歴史をふまえ、世界で最も政府から独立した中央銀行となったのです。ECB(ヨーロッパ中央銀行)の量的緩和に対してブンデスバンクがはげしく抵抗したのは、そのような歴史があるからです。

日本も、昭和2年と21年にハイパーインフレ、そしてその結果の預金封鎖、新券発行を経験しました。しかし全く反省をせず、日銀はまた同じことを繰りかえしています。まさにライヒスバンクと同じことをしているとしか私には思えません。ですから「日銀倒産があるぞ」と書いたのです。

日銀が倒産すれば、日銀が発行している紙幣は紙くずになります。指をくわえて見ているわけにはいきません。日本は世界の中で最悪の財政状況です。それにもかかわらず、財政破綻が起きていない理由は、一つには「異次元の量的緩和」という禁じ手を「歴史の教え」を無視して、黒田日銀が実行してしまったからだと思います。本来ならば数年前にギリシャと同じ状態になっていたはずです。しかし黒田日銀総裁が禁じ手の処置をしたが故に延命しいている。しかしそれゆえに延命不能になった時のショックはより大きくなると考えています。

日本銀行は「ルビコン河」ならぬ「三途の川」を渡ってしまったのです。Xデーは先に延びましたが、衝撃は非常に大きくなってしまうのです。

私は今回起こるXデーは、明治維新、第二次世界大戦の敗戦に匹敵するぐらいの大激震だと思っています。それに対処し生き延びるための基本中の基本は「事態を的確に理解しておくこと」だと思います。

是非この本を読んでXデーを乗り切っていただきたいと思います。