2023年ハロウィンナイト。
パーティーの準備をしている間、夫に息子を外へ連れ出してもらった。
その間私はホーンテッドマンションの案内人にふんし、二人が帰ってきた後、パチパチキャンディーを食べるよう指示した。
夫と息子は、何の警戒もせずにパチパチキャンディーを食した。
「ふふふっ。食べてしまいましたね。そのキャンディーを食べると、たちまち包み紙に描かれているモンスターへ少しずつ変貌してしまうのですよ…。」
などと言って、恐怖を煽り、ハロウィンの世界へ誘う。
「……。」
夫は私のコンセプトを察したようで、少しずつゾンビのようになる演技をし始めた。
「よし、おまえ、料理を運べ!」
「…はい。」
夫は気味悪い表情を浮かべながら、ゆったりとした足取りで食卓に向かう。
息子は怪訝そうな顔で、夫を覗き込んでいる。
夫は料理を並べた後、ふいにぶらさがっているハロウィンの装飾に何度も頭をぶつけるという奇行を繰り返す。
「…はい…はい…はい…田中さん…。」
「…はい。」の後の「田中さん。」発言が意味不明だが、とりあえず気持ちが悪い。
あまりの馬鹿らしさで、私は笑いをこらえるのに必死で、顔がゆがむ。
息子は、ゾンビ化した父親と、顔がゆがんだ母親の間で、半信半疑の恐怖を感じて不安そうにしていた。
めちゃくちゃな両親を持ったことが一番の恐怖なのかもしれないと感じる、息子のハロウィンナイトであった。
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