【オープン戦ダイジェスト ~桃色行脚′23~】 | 監督のささやき戦術

 開幕してもう1週間以上が経過した今、鮮度としては腐敗レベルに落ちている話題だが、今春のオープン戦の話。

 球春到来に浮かれ、平日日中を中心にわりと精力的に球場へと足を運ぶのが例年のオープン戦時期の過ごし方。だが今年は『WBC2023』のありがたい繁忙の影響で、自軍本拠地神田にこもりっぱなしでほとんど球場に足を運べなかった。

 そんな中で足を運んだ数少ない今春のオープン戦現地観戦の今更の話を、備忘録代わりにさせていただく。

 

 

①3月22日(水)  ○ジャイアンツ 6 - 4 タイガース●

東京ドーム 18:00

 今季のオープン戦初の球場観戦は、もう日程が終盤に差し掛かっていた東京ドームのGT戦

 実はこの日は、午前中に我らが侍ジャパンが『WBC2023』決勝でアメリカを下して世界一奪還を果たした日で、当スタジアムもそれに合わせての午前7時からの早朝営業。午前4時起きに満席御礼の営業でそれなりに疲れてはいたのだが、『WBC2023』全日程終了、そして侍世界一に昂ぶりまくった気がおさまらず、予定していなかったドーム参戦を急遽決定。ゆえに上下ユニフォームなのである。

 

 3年間封じられてきた球場での声出し応援が復活した様を間近で見てみようと、この試合は普段あまり寄り付かない外野席で観戦

 ようやく戻ってきた球場の「日常風景」に脱コロナを実感し、胸が熱くなる。

 

 オープン戦の楽しみのひとつは、やはり新戦力チェック。とはいえもうお試し枠的な選手は少ない終盤の時期だったが、そのお試し期間にしっかり結果を出したことで、この時期まで一軍に残っていてくれたため、わりと早く再会が叶った我がご贔屓イーグルスのかつてのプロスペクト

 昨秋の現役ドラフトで杜の都を去った、オコエ選手

 キャンプ終盤の練習試合から打撃好調を維持し、1番レフトで出場したこの試合でも1安打1得点としっかりアピール。

 仙台での7年間をバネに、ぜひ東京で、セリーグで大暴れしてほしいと願っている。

 

 よくよく存じ上げている新戦力と言えば、長年にわたってパリーグで活躍し続けた彼も。

 17年間主力として支えてきたホークスを退団し、39歳で新天地を求めてやって来た松田選手

 ユニフォームは変わっても、長年見続けた空振り後の「ケンケン」は変わらずで……

 代打で出てきてタイムリーを放つ勝負強さも、ベンチを大いに盛り上げるキャラクターも健在で、なにやら嬉しくなった。

 とても好きな選手のひとりなので、セで巻き起こる「熱男旋風」も楽しみにしている。

 

 名前がコールされて東京ドームが一番沸いたのは、新戦力というよりも「帰還戦力」である彼だった。

 人的補償で移籍したカープで4年を過ごし、トレードで再び東京に帰ってきた長野選手

 カープ時代の「赤長野」もスタイリッシュでカッコよかったが、やはり見慣れたジャイアンツのユニフォームが一番よく似合う。

 

 タイガースの方で目を引いた新戦力は、ピッカピカのドラ1ルーキー

 昨秋のドラフトで繰り広げられた「伝統の一戦(クジ引き編)」に敗れたタイガースから1位指名され、長年鳥谷選手が背負った背番号1を継承した中央大学出身の外野手、森下翔太選手

 オープン戦では17試合で打率.317の3ホーマーと即戦力っぷりをしっかり見せつけ、見事開幕一軍の切符を手にした森下選手。

 そのオープン戦3号がこの試合で出たのだが、たまたま席を外していたため見そびれる……。

 

 

 『WBC2023』期間中の大繁忙が終了した解放感、侍ジャパン世界一の歓喜、そして間もなく始まるプロ野球新シーズンへの高揚感とがないまぜになり、上りに上がったテンションを多少冷却して適正に戻そうとするかのようにしこたまビールを飲みながら(むろんテンションは余計に上がる)、春の夜の野球観戦を大いに満喫したこの日。

 ハイテンションに引きずられて身体的に無理をした結果、翌日の反動は大きかったが……。

 

 

②3月25日(土)  ○ジャイアンツ 5 - 2 イーグルス●

東京ドーム 13:00

 我がご贔屓イーグルスの19年目の観戦始めとして、中2日で足を運んだ東京ドームは、出勤前の時限観戦につきガラガラの2階席で。

 

 変なタイミングで背番号を変更した3年目の我らが指揮官に(遠目から)ご挨拶。

 現役時代にクリムゾンレッドのユニを着ていないので、ファン的にはカープ新井新監督のような感激などは特にはない……。

 

 個人的2023犬鷲開幕戦のオーダーはこちら。

 ちょっと前まで浅村選手と炭谷選手しかいなかったのが嘘みたいに、スイッチの田中和基選手を含め、打線に7人も並ぶ右バッター

 わりと長いことファンをやっているが、こんな右だらけのオーダーをかつて見たことがあっただろうか?

 

 一昨年は涌井投手、昨年は松井友飛投手だった個人的犬鷲開幕投手は、今季は瀧中投手となった。

 コロナ禍真っ只中の2021年に二桁勝利を挙げたあの輝きを、今季ふたたび取り戻してほしい。

 

 開幕前に見ておきたかった期待の新戦力、その1は助っ人スラッガー。

 メジャー通算130発の実績を引っ提げてやって来た、マイケル・フランコ選手

 ここ数年、外国人野手がことごとくフィットせずに厚みを欠き続けている我らが犬鷲打線。とりあえず「新助っ人、公式戦デビューで即怪我」という2年続いた呪いのような事故を回避してくれれば、もはや成功と言ってよい。

 

 もうひとりの期待の新戦力は、みちのく産の右打者

 涌井投手とのトレードでドラゴンズからやって来た、隣県岩手は一関市出身の阿部寿樹選手

 チームが誕生してもう19年目になるが、東北出身者の活躍が少ない我がチーム。銀次選手とともに「TEAM岩手」で東北を盛り上げていってほしい。

 

 3回表までの短い観戦の間で見られた、個人的「今季初」は……

 初回先頭の田中選手による「初安打」に……

 2回の山崎選手の「初タイムリー」、そしてそれに伴う……

 ギッテンス選手による「初得点」。残念ながら初アーチは次戦以降に持ち越しに。

 

 結果は中盤以降にひっくり返されてジャイアンツの勝利だったのだが……

 球場を去った時点ではリードしていたので、個人的には「初勝利(した気分)」も追加しておきたいと思う。

 

 

 この春に球場で観戦できたオープン戦は、いずれも東京ドームのこのわずか2試合のみであった。3月中旬の『WBC2023』の東京ラウンド観戦も含め、今季はまだ東京ドームにしか行っていないことになる。

 新型コロナ禍で負ったダメージを取り戻すべく、今季も当面は日曜営業、月曜休場のスケジュールを継続するので、シーズンに入ってもなかなか観戦試合数は増やせなさそうだが、せっかく球界もほぼ脱コロナを果たしたので、寸暇を惜しまず可能な限りあちこちの球場に足を運んでゆきたいと思う。

 

 直近3年よりも球場に足を運ぶ機会が増える方も多かろうと思うが、行ける試合は現地観戦、観戦後の打ち上げや行けぬ試合は神田でと、状況に応じて当スタジアムでの野球飲み会をお楽しみいただければ。

 2023シーズンも皆様の当スタジアムへのご来場を心よりお待ちしております。