【屋上野球Vol.3 ~桃色原稿~】 | 監督のささやき戦術

 もう間もなくやって来てしまう、野球のない長い夜の無聊を慰めるにお勧めの、一風変わった野球雑誌を紹介させて頂く。

 

 

 「屋上野球」という雑誌をご存知だろうか?

 

 2013年に創刊された「屋上野球」を発行しているのは、当スタジアムも「東京野球ブックフェア」などで日頃お世話になっている「編集室屋上」さん。その名の通り「野球」をテーマにしているのだが、アプローチが「野球雑誌」と聞いて思い描くものと全く異なるのが特徴。

 球界の最新情報、チームや選手の批評、技術論や采配論、イケメン選手のピンナップなどは一切ない。取り上げられているのは、「野球と小説」「野球とレコード」「野球とおしゃれ」「野球と原発」などなど、野球に付随する側面、野球を通して眺める事象という、目の付け所がシャープ過ぎで痺れるテーマばかり。文系野球の裾野の広さと果てしない奥行きをこれでもかと見せつけてくる、尖りまくった意欲的な雑誌なのである。

 

 

 そんな「屋上野球」のVol.3が、Vol.2から3年の時を経て、9月20日に発売された。

 メインの特集は「野球は、ラジオで」。唯一の放送メディアであった時代から、TVはもちろんネット中継やCS放送など、メディアが恐ろしいほどの多様化を見せるようになった今日に至るまで、変わらず野球の傍らにあり続ける「ラジオ」の存在に、聞き手と作り手の両面から迫った、非常に興味深く面白い特集である。ぜひご一読頂きたい。

 

 

 何で唐突に野球雑誌の紹介をしているのかというと、実は今回の「屋上野球」Vol.3には…

 何故か不肖桃色野郎が参加させて頂いているのである……。

 

 

 「紙面にバラエティを」という「屋上野球」の意欲とも取れるが、恐らくはどうしても1ページ分の原稿が不足してしまったのであろう。「白紙にするよりはマシ」ということで、「東京野球ブックフェア」などで(衣装の派手さ的に)目についた桃色野郎に埋め草を発注、といったような顛末なのであろうと推測する。

 多少なりともお付き合い頂いている方であればよくご存知であろうが、「冗長・適当・無内容」のトリプルスリーでやっている当ブログ。それを見た上でのお声掛けとのことと聞くに、そんな奴に原稿を依頼せざるを得ないくらい、とんでもなくお困りなのだろうと察し、日頃お世話になっている者として微力ながら協力させて頂いた、という次第である。

 

 

 普段、好きな事を何の制約もなく適当にだらだらと書き綴っている者にとって、依頼を受けて(しかも商業誌の)、様々な制約の中で原稿を書く、という初めての行為は、ただただ不安と緊張あるのみで、何度安請け合いを後悔したことか……。

 が、冷静に考えてみれば所詮は埋め草。開き直って思うままに自由に描かせて頂いたところ、鳥山明とマシリト、あるいは亜城木夢叶と服部さんのような作品作りに対する熱きせめぎ合いも特になく、幾度かの直しですんなりOKを頂く(すぐに諦めたのだろう)。

 

 そんなわけで、錚々たる書き手の皆様や衣笠祥雄さん、板東英二さんと同じ紙面に「誰だよ…?」感丸出しで載ることになった、桃色野郎の原稿。僅か1ページ、1000字ちょっとの軽い内容であるが、暇すぎで爪を噛む以外にすることがないような時にでも、お読み頂けたら幸いである。

 もちろん言わずもがなだが、その1ページを破り捨てても「屋上野球」Vol.3の面白さは全く損なわれないので、そんな原稿のことは関係なしに、ちょっと変わった野球本をお探しの方は、全国の書店、Amazonなどで手に入る本書をぜひお求めいただければ。

 

 貴重な(そして二度とないであろう)経験をさせて頂いた今回。学んだのは「書くより読むほうが向いてるし楽しい」という当たり前の教訓であった。

 

 

 数百冊の野球本ライブラリも名物のひとつである当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。