【野球茶をめぐる冒険・前編 ~桃色行脚'16~】 | 監督のささやき戦術

 球場以外での野球イベントなども、割と積極的にあちこち首を突っ込んで回っているこの「桃色行脚」であるが、そんな中でいまだかつて見た事も聞いた事もないかなり変わった「野球文化祭」的イベントにお邪魔してきた、本日日中の話をさせて頂く。

 

 

 降り立ったのは、地下鉄東西線の落合駅

 その駅名に思考が引きずられて、最近何かと周辺が騒がしい某球団のGMの事などをうすぼんやりと考えながら、手元の案内ハガキの地図を頼りに歩く事およそ5分。その5分間でみるみる募ってゆく不安感。その不安感の理由は、この写真で察して頂けるだろうか?

 こちらが会場真ん前の路地である。

 案内地図のランドマークに「ハイツ落合」とか「第二桜荘」などが並ぶくらい、本当に住宅以外に何もない住宅街のど真ん中の、車が入って来られないような細い路地沿いに、目的の場所はあった。

 

 それがこちら。

 民家と見紛うような、いや実際に見紛って一旦は通り過ぎたのだが、とにかくこちらがこの日の目的の場所。正確に言うと第一の目的の場所

 

 門前の案内の拡大がこちら。

 「色離庵」という名の、詳細はよく分からないがまあ庵なのだろう。後述するが、今回のイベントは「ほとんど何もかも不明」という状態で乗り込んでいる。

 第十六回「初音の会」とあるが、もちろんボーカロイドの愛好家の集いにやって来たわけではなく、桃色行脚の行く先は原則として野球関連。この日ここで行われていたイベントというのが…

 「野球茶席の会」である。

 

 「え、何それ…?」という声が聞こえてきそうだが、それはこちらも知りたいことである。

 頂いた案内状を何度読み返してみても全くイメージが湧いてこない斬新すぎるイベントなのだが、キーワードから推測するに「野球×アート×茶会」の融合、という事の様である。…うん、やっぱり何だかわからない。その正体を知るために、ここにやって来たのである。

 

 

 今回、この「野球茶席の会」のご案内をくださったのは、会席主、つまり主催者で、「Art×Baseball」という活動をされているアーティストの工藤菜央さん

 写真は2014年の「世界の野球展」でのもの。わざわざ説明せずともお分かりかと思うが、右のヤンキースイチロー選手ユニの女性である。

 2013年に神保町のギャラリーで開催された「Art×Baseball展Ⅱ」にお邪魔した際に面識を得て以来折に触れお世話になっており、この手のイベント等のたびにお誘いを頂戴したりしている。

 今回もその流れでお声がけ頂いたのだと推測するが、なんせ今回は全く未知の「茶席」という場であり、いつものノリ(当スタジアム的正装)が許されるのかどうかすら不明。のこのこと桃色装束で出向いてみたら、参加者が皆皇居の園遊会のような格好だったらどうしよう…、としばし逡巡したものの、会席主から直接頂戴した案内状を勝手にお墨付きと解釈し、結局当スタジアム的正装で乗り込んだのだった。

 

 

 前置きが長くなったが、とにかくそんな経緯で足を運ぶ事になった「野球茶席の会」の内部に、超腰が引けながらも勇を鼓して潜入

 

 入ってすぐのところで受付。芳名帳に筆で署名、という段で早くも心を折られそうになるが、グッとこらえつつ御代1000円をお支払いして入場。 

 その際に、こんなものを貰う。

 この「野球茶席の会」は、都合3か所の会場での展示やイベントの総称であり、それらを回るための地図が最初に渡されるのである。

 「なんかRPGっぽい…」と場違いな事を思ったが、後にそれが当たらずとも遠からずであった事を知る。

 

 地図はいったんしまって、ここ「色離庵」内をまずは拝見。

 入って最初の間がこちら。

 

 ここには、昭和初期の東京六大学野球の大スター選手であった、慶應大の宮武三郎氏についての展示がされている。

 神宮球場で500フィート(ざっくり150メートル強)のホームランをかっ飛ばすなど、数々の伝説を残した名選手だそうだが、学生野球、ましてや昭和初期の選手ゆえ、自分は寡聞にして存じ上げなかった。

 なぜこの宮武選手がここでフィーチャーされているのかは、後述する。

 

 静謐な和室での展示物拝見。味わったことのない緊張感に、自ずとこんな感じになる。

 容易に想像がついたが、和室と桃色装束の親和性がゼロである事がよく分かる…。まあ球場にすら溶け込めてないのだから、当たり前である。

 

 

 次なる展示場所は、この狭く急な階段を上った2階に。

 

 8畳の和室がギャラリーとなっていた。

 中央のテーブルややかんは展示ではなく、展示されている作品を生み出したアーティストの方々が座っていた場所なのだが、写真撮影の際に気を使ってどいてくださったのだった。

 

 

 アートを見る審美眼も、それを語る言葉も持ち合わせていないため、展示されていた作品の一部を黙って貼ってゆく。

 様々な切り口、技法で描かれた野球。展示場所の和室、畳とのミスマッチも含めて、非常に新鮮で面白い。

 

 

 ちなみに、訪れた際には1階、2階ともに自分以外に誰一人観覧者がいない状況であったが、幸いな事にどちらにも面識のある方がいらっしゃったため、突然の桃色の闖入者に騒然、というような事態が生じず助かった。

 

 

 「色離庵」での野球アート鑑賞を終え、次なる展示会場に向かおうと腰を上げたところで、渡されたアイテム

 「最後に使うので、お持ちください」これ、A6サイズくらいの紙である。

 ラスボスを倒すのに必要な「ひかりのたま」的アイテムなのだろうか…?、などと馬鹿馬鹿しい事を考えながら向かった次なる目的地、最初の庵とは全く異なる衝撃を色々と受けた「野球茶席の会」第二会場への冒険の話は、また次回に。

 

 

 明日日曜日の当スタジアムはいつも通りの休場日とさせて頂くが、明後日の19日(月・祝)はプロ野球が全試合デイゲームにつき、当スタジアムも14時プレイボールのデイゲーム営業とさせて頂く。

 

 シルバーウィーク中の祝日は真昼間から、引き続き皆様の当スタジアムへのご来場を心よりお待ちしております。