ロシアの大文豪トルストイと世界三大悪妻のソフィアとの愛の物語。
『戦争と平和』や『アンナ・カレーリナ』で有名なトルストイは、個人の自由、平和、非暴力といった崇高な理念を掲げ、神格化されている。
一方、妻のソフィアは傲慢、利己的、かつ封建社会における差別的な発言もあり、一見両者は正反対の人格を持っているように見える。
主義主張が異なる為、二人は何度もぶつかり合い、次第に夫婦の仲にひびが入る。
小さなひびはやがて大きな心の隔たりとなり、離別という結果を招いてしまうという意味では、
二人の愛は完璧なものとは言えなかったかもしれない。
しかしそれらは表層であって、48年間連れ添った二人には、確固として深い愛情が存在していた。
確かに、
理念や理想を啓蒙し社会をより良くしようという思想が賞賛に値することは言うまでもないが、
82歳で息を引き取ったトルストイは、その最期の瞬間も長年共に生きてきたソフィアのことを想っていたし、またソフィアもトルストイのことを想っていた。
崇高な理念や理想を否定するのではなく、一方で不完全なまでも深い愛情を謙虚に肯定しているところが、この映画の面白いところだと思う。
私自身、人や社会のために何か役に立つことをしてこそ生きがいを掴むことができるのではないかと常に考えていた。そのために出来ることならなんでもやろう。躊躇せずやろうと。
でも、きっとそれだけじゃない。
家族や自分の大切なパートナを最期の最期まで愛することができるのならば、
本当に生まれてきて良かったと思えるだろう。
もし「あなたの生きがいはなんですか」と聞かれたとしたら、
「周りの人を愛することが生きがいです」と答えられるような人間になりたい。
人を愛することが生きがいになり得ることを気づかせてくれた作品だった。