前回の続きから
佐世保で優勝の可能性は完全に無くなり、肩を落とすRWナイン。
しかし、消化試合になってしまったとはいえ、翌日のホーム北九州市民球場でのデーゲーム・愛媛戦には朝から不思議な空気が漂っていました。
ただの公式戦で、ナインたちも普通に練習しているのに妙な緊張感が流れている。
よくある気の抜けた感じではない。どうしてなんだろう。
この日の先発投手は、元ソフトバンクホークスの山田秋親。
かつてはアマ球界NO.1の名を欲しいままにし、10年とも20年に1度とも言われたほどの投手です。
しかし、怪我で戦力外通告となり2009年はキャンプからRWと練習を行ってきました。
温厚で謙虚。大物と呼ばれていた方にありがちな偉ぶった感じは全く感じられない方です。
9月から選手登録されたため、山田投手をアイランドリーグ選手と呼ぶことに異論を唱える方もいらっしゃるようですが、彼は練習生としてずっとチームと行動を共にしてきています。
登録されたのがシーズン終盤だったというだけのことですから、アイランドリーグ選手として扱われることは正当だと思っています。
彼が選手登録され、チームの遠征に帯同し始めてから、NPBのスカウト陣の動きも俄かに慌ただしくなりました。
特にこの日は10数名のスカウトが球場に詰めかけ、彼への注目の高さが浮き彫りとなりました。
このように特定の選手に注目が集まるということは、ほかのアイランドリーグの選手もプレーを見てもらえるということ。
スカウトがある選手をチェックしに来たら、別の選手が気に入ったということも珍しくありません。
有名選手はアイランドリーグ全体にとってありがたい存在にほかならないのです。
この日の妙な空気を作っていた原因はたぶんほかにもありました。
愛媛の先発投手・浦川大輔。そしてセンターにスタメンの西村悟。
二人ともかつて福岡に所属し、そして福岡を後にした選手です。
浦川は前回9/18に先発しており、なんと中2日での先発。
ここ北九州は彼の地元でもあり、並々ならぬ意欲を燃やしていたことでしょう。
9月上旬に突然福岡を出た西村悟には、試合前にごく一部のRW選手が接触しているところを見かけました。
この妙な空気のまま、試合は開始されました。
久々の先発の山田。そして彼の球を受けるのは前夜・佐世保で悔しい思いをした翔。
初回は3人、内野フライ、ゴロ、内野フライ、わずか6球という上々の立ち上がり。
この日の山田には無駄な球はほとんどなく、2ストライクに追い込んで早いカウントからの勝負球に愛媛打線は完全にきりきり舞いさせられていました。
特に三振を獲った内角のキレのある球には痺れるくらいの感動を覚えました。
吸い込まれるように翔選手のミットに収まる球、これがプロの投球術なのだと強く感じました。
6回にショートの処理がちょっともたついたため内野安打になりましたが、ほぼ無安打と言ってもよい6回までの完ぺきな投球でした。
相手投手の浦川の全力投球も見ていてこちらまで力が入るくらい素晴らしかった。
本当に1000円で見せてもらうのが申し訳ないくらい、いい試合でした。
山田は6回で降板、そのあとを7回頭から大澤亮が継投します。
一人目の3番・檜垣はピッチャーゴロに打ち取ります。
二人目の4番・大島は2ストライクで追い込んだ後、3球目わずかに外れ「ボール」とコールされてしまいます。
そのあと、思わず勝負に行ってしまったのでしょうか、レフトへ高々とボールは運ばれスタンドイン。
このホームランが決勝点となってしまいました。
両軍投手ともこの決勝打以外はお互い譲らず、試合は1-0、愛媛が勝利しました。
先発のことを浦川はヒーローインタビューで「志願登板だったんじゃないですか?」と聞かれ「いや、そういうわけじゃなかったんだけど、地元だったし投げたかったので」と答えていました。
(私はこの返答はちょっと素直じゃないかもと感じました
)
対する大島に一発を浴びた大澤は、後のインタビューでこの日に打たれたホームランが今までで一番悔しいと語っていました。
緊迫した試合だっただけに、滅多打ちされるよりも強烈なインパクトを残したかもしれません。
負けはしましたが、今季ベストと言ってもよいほど山田投手が魅せてくれた試合でした。
翌日に行われた地元最終戦は「福岡レッドワーブラーズ・今季最終戦 対徳島IS戦」
http://ameblo.jp/like89/entry-10348762031.html
に記載していますので、よろしければそちらをご覧ください。
すべての日程は終了し、今年でユニフォームを脱ぐかもしれない選手、来年のことを迷って悩んでる選手、いろんな思いが交錯していました。
その時は漠然とまたみんな逢えたらいいね、そんな気持ちでした。
そして、その日は突如訪れました。
(7)につづきます。