野球の独立リーグ・四国九州アイランドリーグをご存知ですか?
NPBとは違う組織の育成を目的とし、メジャーやNPBを目指すためのプロ野球リーグです。
選手たちは最低限(月10万)の給与、寮と食事を与えられ、野球に打ち込んでいます。
契約は1ヶ月ごとに見直され、いわゆる戦力外の場合はロッカーに赤紙が・・・という厳しい世界です。
今年はこのリーグに加入した福岡レッドワーブラーズをよく観にいきました。
おそらくホームの30試合くらいは見ていると思います。
中江信投手はこの福岡レッドワーブラーズで「3」という番号を背負った20歳の若者です。
140キロ台の力のある球を投げる、無名ながら非常に魅力的な投手でした。
少ない給与を家族に仕送りしながら、1年をめどにプロ入りを目指すという姿がテレビで番組になったこともあります。
しかしシーズン序盤は制球に苦しみ、暴投・危険球退場などもありました。
6月の終わりのWヘッダー対愛媛戦に登板したときの彼のヒーローインタビューでのコメントはしっかりしていて、成長を感じさせるもので、これはもしかしたらいけるかもしれないと淡い期待を抱いたものでした。
その日の5回まではまさにパーフェクトピッチング。あわやノーヒットノーランかと思わせる内容だったのです。
「僕はいつもノーヒットノーランをするつもりで投げていますから」
その後その期待通り、7月度月間MVPを受賞。見事な活躍ぶりだったのですが・・・
8月に入ってからどういうわけか一発病に苦しみ始めました。
先発を外れ、セットアッパーとしての登板が多くなりました。
1年を通して野球をするのは初めてだったでしょうし、明らかにスクランブル登板とも言える登場もあり、中江投手には厳しいものでした。
素直で明るい彼の表情にいつしか苦悩が浮かぶようになりました。
「中江君、もう今季限りらしいよ」荷物を片付けているらしい。9月にそんな噂を聞きながら、なんとか立ち直ってどこかに指名されてもらいたいと思っていました。
しかし、シーズン序盤に多く訪れていたスカウトも少なくなり、投手・中江信は10月の終わりにレッドワーブラーズを退団しました。
家庭の事情もあり、就職するとのことでした。
間近でカメラを向けるといつもVサインをしていた明るい彼は、きっと別の世界でも皆に愛されるでしょう。
いつも真面目で手を抜くということをあまり見たことがありませんでした。
プロ野球選手として生きていくというのはどんなに難しいことなのかということを改めて感じました。
