桑野通子さんの映画を、何か、見たいと思い、ネットで検索をすると、映画「新女性問答」という作品が、面白そうだったので、観賞してみました。

公開は、昭和14年(1939)。

 

 

 

 

 

冒頭、7人の若い女性たちが、部屋に集まっている場面からはじまる。

この7人は、ある大学に通い、法律の勉強をしている、仲良し7人組。

 

その中で、路子が、結婚をすることになったと仲間たちに報告をする。

どのような男が相手なのか、興味深々な仲間たち。

路子は、その結婚相手の男性の写真を取り出し、仲間に見せた。

その写真を見た、桑野通子演じる「時代(トキヨ)」は、驚く。

 

その写真に写っていたのが「村川」という男性。

この村川は、時代の姉、「お葉」の幼なじみで、お葉が、将来の結婚相手と、心の中で決めていた男性だった。

 

一方、村川は、お葉に、別れを告げていた。

 

「自分は、お前のことを好きだった訳でもないし、結婚相手として考えてた訳でもない。ただの幼なじみだ」

 

と、お葉のことを、冷たく、あしらう。

 

お葉と、時代は、父親を亡くし、母親も無く、お葉は、芸者をすることで、時代を、法律を学ぶため、大学に通わせていた。

時代の仲良しの友達は、お金に不自由の無い、良いところの家の娘ばかり。

そして、芸者という職業を軽蔑していて、時代は、姉を、美容師として仕事をして、自分に仕送りをしてくれていると嘘をついていた。

姉が、実は、芸者であること、そして、それを、仲間たちに隠していることに、後ろめたさも感じていた。

 

自分を、大学を卒業させ、弁護士となるという、亡き父親との約束を守るために、芸者として、経済的に支えてくれている姉を、尊敬している時代。

そんな姉の最愛の人だった村川と結婚をするという路子のことを許せず、時代は、路子のところに、結婚を止めるように、談判に行くが、当然、路子は、承知しない。

そして、路子は、結婚をするが、時代は、路子の結婚式にも行かず、新婚旅行の見送りにも行かなかった。

 

村川という男。

実は、いわゆる「クズ男」で、路子との結婚は、財産目当てだった。

路子は、実業家の一人娘。

そして、父親は、もう病気で、長くはない。

 

が、父親が亡くなったとたん、路子の家には、大きな借金があったことが分かる。

家をはじめ、財産の全てが、差し押さえの対象となってしまった。

こんなところには居られないと、村川は、家を出て、姿を消す。

しかし、その直後、路子が、村川の子供を、妊娠していることが分かる。

 

路子は、家で働いてくれていた青年の助けを得て、その青年の住んでいる下宿先で、世話になることに。

その青年は、昔から、ずっと、路子のことが好きで、無一文となってしまった路子を、献身的に支えることに。

そして、路子の家で働いてくれていた女中の女性も、青年と一緒に、路子を助けることに。

実は、女中の女性は、その青年のことが好き。

しかし、その青年が、路子のことを好きなことも、知っている。

 

突然、姿を消してしまった路子のことを心配する、仲良しメンバーの女性たち。

時代と、路子が、何か、トラブルがあったことは、知っていたが、その理由は、何も知らない。

そして、その仲良しメンバーの一人が、また、結婚をすることに。

 

その結婚相手の紹介がてら、仲間たちは、二人が参加をするパーティーに呼ばれて、ついて行くことに。

しかし、そのパーティーには、芸者たちも参加をしていて、その中に、時代の姉も居た。

時代は、いたたまれなくなって、仲間たちの前から姿を消す。

が、事情を知らない芸者の一人が、時代の姉が、自分たちと同じところで芸者をしていて、時代とも知り合いだということを話してしまった。

 

時代の姉が、美容師ではなく、芸者だと知った仲間たちは、時代のことを責める。

なぜ、親友である自分たちに、嘘をついていたのか。

そして、仲間の一人は、父親が芸者に騙され、母親が、相当に苦労をしたので、芸者のことを恨んでいた。

そのため、その仲間は、時代のことを強く責め、

 

「姉が芸者をしなければ学校に行けないというのなら、学校を辞めろ」

 

と言う。

 

たまたま、時代に会うために、芸者仲間と一緒に、そこに来ていた姉のお葉は、その仲間たちに責められる時代のことを、全て、聞いてしまっていた。

しかし、芸者を辞め、時代を、学校を辞めさせる訳には行かない。

時代は、仲間たちと一緒に暮らしていた部屋を出て、姉の住む芸者たちの住む家に、引っ越しをする。

 

一方、路子は、自分の家で働いてくれていた青年と、女中の助けを受け、無事、子供を出産する。

が、青年のことが好きな女中が、青年が、路子のことを献身的に支える様子に、不満を漏らすところを見かけて、子供を連れて、世話になっている家を出る決心をする。

そして、路子は、青年が留守の間に、子供を連れて、家を出た。

青年は、どこにも行くあての無いはずの路子を心配し、追いかけるが、見付けることは出来なかった。

 

さて、芸者のお葉は、一人の男性から、その人柄を見込まれて、結婚を申し込まれた。

その男性は、馴染みの客であった弁護士の男性で、妻を亡くし、一人の娘が居る。

娘の母親になって欲しいと頼まれたが、お葉の心の中には、まだ、村川のことが残っていた。

自分には好きな人が居る。

その人のことを考えると、まだ、結婚をすることは出来ないと、結婚を、断ることに。

しかし、その男性は、お葉の心の整理がつくまで、結婚を待つという。

そして、妹の時代が、弁護士になるための手助けをするということも約束する。

 

時代は、学校を、トップの成績で卒業し、弁護士の男性の事務所で、働きながら、勉強をすることに。

 

一方、路子は、あるアパートの部屋に落ち着き、子供の面倒を隣人に見てもらいながら、仕事を探していた。

その隣人の妻は、子供を抱えた一人身の路子のことを心配し、夫に、何か、路子に良い仕事はないかと相談する。

夫は、自分が働いている弁護士事務所の先生に、聞いてみると約束。

その弁護士の先生というのは、お葉に、結婚を申し込んだ先生だった。

当然、その夫も、弁護士の先生も、お葉と、路子の関係を、知るはずもない。

 

弁護士の先生は、「女性の目で、女性を見て欲しい」と、路子の面接に、お葉を同席させた。

お葉は、路子が、村川の夫だということは、すぐに分かったが、路子は、お葉のことを知らない。

そして、路子は、弁護士先生の娘の家庭教師として雇われることになる。

その直後、お葉は、一人で、路子の部屋を訪れ、村川のことを打ち明ける。

 

時代は、弁護士試験に合格し、見事、弁護士となった。

芸者たちによって、その合格祝いの会が、盛大に開かれる。

そこに、姉が芸者をしているということで、仲違いをしていた仲間たちも訪れ、謝罪をし、一緒に、時代の合格を祝うことに。

 

そして、村川が、お葉に会うために、帰って来た。

お葉は、村川に、きっぱりと、別れを告げ、妻の路子のところに行ってやれと、住所の書かれた紙を渡す。

 

路子が、仕事から帰って来ると、部屋には、村川が居た。

村川は、全く、姿を消したことを悪いとは思っておらず、路子に謝罪をする様子も無い。

路子は、苦しい時に、姿を消した村川のことを許すことが出来ず、子供にも触らせることなく、部屋から出て行けと、村川に言う。

怒った村川は、子供を連れて、部屋を出て行こうとした。

そこに、お葉が、姿を現わす。

 

子供を連れて、部屋から出て行こうとする村川。

混乱を収めようとする、お葉。

その時、床に落ちた、村川の鞄が開き、その中には、拳銃が。

路子は、その拳銃を手に、村川を撃ってしまう。

 

が、弾が当たったのは、村川をかばった、お葉だった。

お葉は、そのまま、命を落としてしまう。

 

自分を経済的に支えてくれていた姉、お葉を失い、悲しみに暮れる時代。

そこに、弁護士として、路子の弁護をしてくれないかと、仲間たちが、時代に頼みに来る。

当然、そのようなことを、引き受けることは出来ないと、時代は、断る。

が、果たして、お姉さんは、それを望んでいるだろうかと、仲間たち、そして、弁護士の先生は、時代を説得。

時代は、路子の弁護のために、法廷に立つことに。

 

なかなか、面白い映画でした。

まさか、この時代に、弁護士となる女性を主人公にした映画があったとは。

しかし、芸者という職業は、当時、あまり、良く思われていなかったようですね。

今の時代で、解釈をするならば、ホステス、または、キャバ嬢として、お金を稼ぎ、妹を学校に行かせ、勉強させるということになるのでしょうかね。

 

さて、桑野通子さんが素晴しいのは、もちろんですが、お葉を演じた「川崎弘子」という女優さん。

とても、上品な様相、立ち振る舞いをする方ですね。

このような人は、女優に限らず、もう、どこにも、居ないのではないでしょうかね。

 

 

また、路子を演じる「三宅邦子」という女優さん。

当時、20歳だそうですが、とても、その年齢には見えない。

昔の人って、なぜ、これほど、大人びているのでしょう。

 

 

さて、この映画「新女性問答」を監督しているのは、「佐々木康」という人。

 

最近、清水宏監督の映画ばかりを見ていたので、やはり、他の映画と見比べてみると、清水宏監督の映画の独特さが、よく分かります。

やはり、「何気ない物語を、飽きさせることなく、見続けさせる」というテクニックは、清水宏監督に、独得なもののような気がする。

その点、この映画は、物語は、とても面白いのですが、映画のテクニックとしては、「普通の映画」という感じでした。