清水宏監督の映画「家庭日記」を観賞。

公開は、昭和13年(1938)。

 

 

 

 

さて、昨日、観賞した佐々木康監督の映画「新女性問答」と比べて、清水宏監督の映画は、何が違うのか。

意識しながら見ていると、いくつかのことが分かりました。

 

まず、一つ一つのシーンが、短い。

非常にテンポ良く、次々と、シーンが、先に、先にと移って行く。

つまり、展開が、とても速い。

 

次ぎに、常に、画面が、動いている。

静止をしているシーンが、あまり無く、常に、画面そのもの、また、画面に映る人物が、動いている印象。

これが、恐らく、見ている人を、飽きさせない。

 

この二つが、恐らく、この二つの要素が、清水宏監督の映画は、どの映画も、退屈をすることなく、最初から最後まで、面白く見ていられる理由の一つではないでしょうかね。

 

さて、冒頭。

佐分利信演じる「生方」が、三宅邦子演じる「紀久枝」と、別れ話をしているところから始ります。

なぜ、二人が、別れなければならないのか。

それは、生方が、別の裕福な家の女性、高杉早苗演じる「品子」との結婚が決まったため。

 

次ぎに、上原謙演じる「辻」に、桑野通子演じる「卯女(うめ)」が、結婚を迫っているシーンに変わる。

そこに、生方が入って来て、卯女は、部屋を出て行く。

生方と辻は、同郷の親友。

生方は、辻と卯女との結婚に反対をしていた。

理由は、卯女が、カフェーの女給のため。

この「カフェー」が、今の喫茶店のようなものではなく、お酒を提供し、女性が、今のホステスのように、客の接待をする場所だったということは、以前、このブログにも書いたところ。

 

そして、生方は、裕福な家の品子と結婚し、安定した生活を送る。

一方、辻は、卯女の熱心な求婚で、結婚をして、自信のあるカメラの仕事をするため、中国の大連に渡る。

 

数年後、辻は、卯女と共に、日本に帰ってくる

生方に、借家を探すことを依頼し、生方は、辻と卯女のために、家の近くに、借家を見付け、そこで、辻と卯女は、生活をすることになる。

生方は、卯女のことを、カフェーで女給をしていたということで、あまり、良く思っていない。

自分の妻が、卯女に、感化されるのではないかという心配もあった。

 

そして、生方と品子、辻と卯女の、ご近所での生活が始る。

品子は、卯女の「モダン」な趣味、そして、活発な性格に、気後れのようなものと同時に、憧れのようなものを感じる。

一方、卯女は、古風で、しとやかな品子と、自分のことを、辻が、比べてみているのではないかと疑うようになる。

しかし、品子と卯女は、なかなか、仲良く、交際をするようになった。

 

ある日、生方と辻が、仕事に行っている時に、品子は、卯女に誘われて、モダンにオシャレをして、銀座に出かけて行く。

そして、活動(映画)を見ようとしていたところ、そこで、卯女は、大連で、親しくしていた紀久枝と再会した。

紀久枝は、大連から日本に戻り、美容師として店を構えていると言う。

一緒に、どこかに行こうと盛り上がるが、品子は、夫のことを考え、一人、家に戻ることに。

当然、紀久枝が、夫の元恋人であることを、品子は知らない。

 

生方が、仕事から家に帰ると、品子は、卯女と一緒に、銀座に行ったことを話す。

そこで、品子は、紀久枝から貰った名刺を、生方に見せた。

生方は、その名刺の名前を見て、驚く。

昔の知り合いだということは伝えたが、かつての恋人だということは、もちろん、品子には伝えない。

 

生方は、紀久枝の美容院に出かけて行った。

紀久枝は、生方を見て、驚く。

生方は、出来るだけ、紀久枝の力になりたいと申し出る。

そして、紀久枝に、銀座で、薬局を経営している久保という知り合いが持っている建物の二階に、美容院を出さないかと、誘う。

 

さて、辻が、大連から東京に帰っていると聞いて、八王子の実家から、母親が、辻に、会いに来た。

この母親は、辻の実の母ではなく、父の再婚相手。

何とか、子供を連れて、父親に会いに来てくれないかと、母親は、辻に頼む。

父親と辻の関係は、辻が、卯女と結婚をしたことで、こじれて、それ以来、一度も、会っていなかった。

辻は、難色を示すが、生方の説得もあって、子供を連れて、八王子に行くことにする。

もちろん、卯女を、同行することは出来ない。

 

生方は、そこで、一計を案じ、八王子に、墓参りに行くということにして、辻と、その子供を連れて、出かけることにした。

そして、卯女の方は、品子に相手をさせることにする。

卯女と、品子は、再び、銀座に出かけ、品子は、紀久枝の美容院で、セットをしてもらうことに。

すでに、紀久枝は、品子が、生方の妻であることを知っている。

卯女は、紀久枝の妹の八重子と共に、その様子を、意地悪く、眺めていた。

 

辻は、子供と一緒に、父親と再会。

父親は、孫を見て、大いに、喜ぶ。

父親は、何とか、卯女を、辻と別れさせる訳には行かないかと考えるが、そんな時、子供が、熱を出して、寝込んでしまった。

母親が、ちゃんと面倒を見ていないからだと、父親は、激怒。

医者である父親は、孫を、ここで診ると言う。

辻は、東京に帰れなくなってしまう。

 

辻と子供が、八王子に、父親に会いに行ったと知った卯女は、自分が、騙されていたことを知る。

激怒した卯女は、紀久枝が、かつて、生方と付き合っていたことを、品子に暴露する。

ショックを受けた品子は、家で、生方に、これは事実なのかと迫り、今でも、紀久枝と付き合いがあるのかと問い詰める。

が、生方は、単なる、知り合いで、特別な付き合いは、何もないと、一貫して、主張する。

 

紀久枝が、二階で、美容院をすることになり、一階で、薬局を営む久保は、紀久枝に好意を持ち、結婚を考えていた。

そこで、生方の家に、相談に来る。

生方は、久保に、紀久枝との結婚を勧め、品子と一緒に、美容院に行くことに。

そこで、四人で話し合いをするが、そこでも、生方と紀久枝は、口裏を合わせ、ただの知り合いであるということを、品子の前で、強調し、事なきを得た。

 

一方、卯女は、家から姿を消していた。

一度、家に戻った辻は、卯女を探すが、どこに行ったのか、分からない。

辻は、子供の着替えを持って、八王子に戻る。

 

八王子の家から、用があって、辻が、子供と女中に見送られ、出かけて行く。

辻の姿が見えなくなると、卯女が、子供の前に、姿を現わした。

 

「迷惑は掛けないから、子供と話をさせて欲しい」

 

と、卯女は頼む。

 

「子供と話すなら、家に入ってくれ」

 

と言われ、卯女は、家に入り、辻の父親と会うことに。

 

父親は、

 

「子供は、絶対に、渡さない。息子と別れろ」

 

と、卯女に迫る。

 

怒りが頂点に達した卯女は、

 

「私は、知っての通り、アバズレ女ですよ。その子が、本当に、一郎さんの子供だと思っているのですか」

 

と、口走ってしまう。

 

そして、また、卯女は、姿を消した。

そして、

 

「その子は、命に掛けて、一郎さんの子供です」

 

と、遺書を残し、自殺を図ったところを、助けられる。

 

さて、物語は、ここまで。

 

古風で、品の良い、典型的な日本女性、典型的な日本の家庭の妻といった感じの「品子」。

そして、自由奔放で、モダンで、活発な「卯女」。

職業婦人として、自立をしている「紀久枝」。

様々なタイプの女性たちが登場する。

 

また、貧しい実家の「生方」は、裕福な家の女性である品子と結婚をするため、紀久枝と別れる。

結婚後も、品子の実家から経済的援助があり、何不自由のない生活。

 

辻は、実家が、八王子で医者をしている、いわゆる名家の家柄の一人息子。

しかし、カフェーで女給をしている卯女と恋仲になり、実家との繋がりは断絶し、一時、中国の大連に渡る。

 

1938年の日本の社会の中にも、当たり前ですが、様々な人生があった訳で、こういった人たちは、その後、過酷な戦争に晒されて、どうなって行ったのでしょうね。

 

 

やはり、良いですね。

桑野通子さん。