大河ドラマ「べらぼう」。

いよいよ、個人的に、待ちに待った「東洲斎写楽」が登場しましたね。

しかし、「登場」といっても、写楽個人は、存在しない。

今回の大河ドラマでは、いわゆる「写楽・工房説」と言われるものを取り入れている。

現在、定説となりつつある「写楽=斉藤十郎兵衛」説を取らなかった。

これは、やはり、物語展開の都合上、と、言うことになるのですかね。

 

ドラマの中では、複数の人が描いた絵を、まるで「モンタージュ」のように、喜多川歌麿が、まとめるという手法で、絵を描いていましたね。

大勢の人たちで、歌舞伎役者の稽古を見ながら、役者のスケッチをしていた。

このシーンを見て、思いついたこと。

 

 

この写楽の絵ですが、他の浮世絵に比べて、異常に、リアルなのが特徴ですよね。

もしかすると、写楽は、役者を、前に立たせて、顔のスケッチをしていたのではないかと思うところ。

 

ちなみに、東洲斎写楽と同時期に活躍し、写楽が、人気が出ず、短期で消えてしまった一方、大人気を博したのが「歌川豊国」です。

 

 

 

 

これらの絵が、歌川豊国の役者絵。

明らかに、写楽の役者絵とは違う。

何だか、顔は、のっぺりとしていて、現代の僕から見ると、印象が薄い。

どうも、役者の顔を、しっかりと見て、スケッチをしたものとは思えない。

しかし、当時は、こちらの方が、庶民に、人気だった。

 

芸術性、インパクトという点では、明らかに、写楽の方が、上ですよね。

言わば「真に迫る」「役者の内面を写す」と言った雰囲気が、写楽の絵には、あるような気がする。

 

ちなみに、当時、役者絵の分野では、歌川派、勝川派が、人気だったそうです。

下の絵は、勝川春英の役者絵。

 

 

 

蔦屋重三郎は、東洲斎写楽で、この役者絵の分野に、割って入ろうとしたようですが、それは、無駄に終わった。

やはり、不思議なのは、東洲斎写楽の絵の特異性ですが、なぜ、これまで、多くのヒット作を手がけた蔦屋重三郎が、このような絵にゴーサインを出したのか。

当時の浮世絵は、何と言っても、「売れる」というのが、第一条件で、「芸術性」は、重要ではなかったはず。

何とも、不思議なところ。

 

さて、物語は、突然、ミステリードラマのような展開に。

残りは、あと二回ということのようで、次回の予告も、何だか、不思議なもののようですね。

一体、どういう展開になるのでしょう。