香港で『M +』という美術館に行ってきました。コロナ禍の2021年11月にオープンした、ヴィジュアル・カルチャー美術館とのことで、とても興味深く、面白い場所です。
アジアに特化した近代アートやデザインに焦点を当てていて、絵画のみならず、インスタレーション、ビデオ、ポスター、建築等、多様なメディアとスタイルで「視覚のご馳走」みたいなところでした。日本の作品も結構あります。
企画展では広東アートカルチャーの歴史をやっていて、20世紀から21世紀にかけて、アートシーンがどのように進化してきたのか、時代背景も含めて、知的好奇心が満たされました。
ちょうどいま、木星が蟹座22〜23度あたりを通過しているのですが、サビアンワードでいうと「文学仲間の集まり」なんですね。
蟹座のサビアンを最初から追いかけてみると、とても興味深いのですが、まず初期の度数では、生まれた環境に馴染むところから始まります。そこで個人の自我は破壊され、環境に同化することが求められるのですね。
そうすることで私たちは生まれた国や地方の言語や習慣や食生活、ふるまいなどに馴染むことになります。
個々の性格とは関係のないところで身につけていく「国民性」や「地域性」ですね。
中盤の度数になると、心の柔らかな感受性に触れていきます。内向性が高まって、どんどん自分の内に潜るんですね。「ハートを通してルーツに触れる」のですが、親や先祖を超えて、人類のルーツや宇宙の起源にまで遡ります。
「生命の起源」すなわち「命のはじまり」に触れることで、自分の持っているさざまなパワーや可能性に気づいていきます。
自己共感による、レジリエンス(自己回復力)を得る過程といえるでしょう。これを内に備えていることで、多少嫌なことがあったり、ストレスにさらされたときでも、立ち直りが早くなります。
後半の度数になると、ローカル社会に自身の力や可能性を還元して、より豊かに発展するように盛り上げます。
蟹座は「人気」「一般大衆」と関係しますが、それは前半でしっかりとローカル社会に馴染んでいるため。そしてまた中盤で自身のパワーと可能性に触れたため、後半になると、ローカル社会に共感される、伝統や国民性にフィットする、新しい文化を作っていくことになるのです。
「文学仲間の集まり」は、ちょうどそのあたりの度数で「今の世の中で、こんなことやったら面白いよね~」という思いつきや、内輪ノリから始まります。それが周辺でウケて、みんなが真似したり、真似されたりしながら、流行となるのですね。
いまだったらTikTokとかXとかで、急に祭りや大喜利が始まって、ノリでみんなが真似し始めるみたいな風潮がありますが、それがまさに「文学仲間の集まり」です。
部活でふざけて始めたことを、ウケたので文化祭でやったら、近隣の学校でもやり始めて、なんか今年の秋のブームになってる……みたいな。
大阪の生國魂神社に「上方落語の発祥の地」の石碑があるのですが、なんでも江戸時代、境内で多くの若者たちが路上パフォーマンスで「歌ってみた」「噺してみた」みたいなことを、面白がってやっていたのが始まりなんですね。
「24時間、喋ってみた」なんていうのもあったらしく、そういう仲間内で盛り上がっていって、それが文化になっていくというわけです。
かくして、文化は作られる。アート・カルチャーはその最たるものだなと、M+で思ったのでした。
最初の一歩はまず、内輪から。それが名物となり、流行りとなって、文化となっていくのでしょう。