明日は「2025年の星の軌跡とヴァン・ゴッホ」というワークを行うのですが、今日はクロード・モネについてのお話です。
モネはゴッホよりほんの少し早く生まれた画家で、ゴッホと同じような逆境を体験しながらも、ゴッホとは異なり、生きているうちに巨匠と呼ばれる存在となりました。それはやはり、転んでもタダでは起きぬ蠍座だからでしょうか…。
京都でモネ展が始まったので観に行ってきました。なかなかの人出でしたが、意外とじっくりと作品を眺められる空間もあり、堪能してきました。
庭や光、橋や木々を描いた作品も素晴らしいのですが、やはり心惹かれるのは「睡蓮」です。
彼の描く水のディテールはとても深く、多層的で、見つめていると、さまざまな感情の深みに触れさせられます。作品の水に触れることで、こちらの心のそこかしこから古い記憶が甦って、ノスタルジーに駆られるのです。
作品の水と心の深い部分に共鳴が起こって、心に沈んで忘れていた幼い頃の記憶――家族や故郷の風景などが、呼び起こされる……この画家は水気の強い人、きっと月が特徴的なはずだと思って、チャートを見ると、太陽が蠍座で月が蟹座。なるほど、納得です。
ということで、クロード・モネのチャートです。
クロード・モネはフランス・パリ生まれ。美術教育を受けますが、アカデミックな画風に馴染めず、屋外での制作を始めます。
34歳のとき、第1回印象派展に出品した作品に対して、批評家が「これは単なる“印象”でしかない」と揶揄したことがきっかけで、モネはその言葉を逆手に取り、自らの芸術を「印象派」と名付けました。
この反骨精神は天王星でしょうか。魚座の天王星と水瓶座の海王星がミューチュアル・レセプション。その天王星と火星、そして金星&土星でTスクエアが作られます。
人間関係の複雑さと共に、時代に逆らって、新しい表現を創造しようとする強いエネルギーを感じさせるアスペクトです。
蠍座の太陽を支配する冥王星は牡羊座にあり、Tスクエアの火星にエネルギーを送りこんで、不屈の精神と強い意志と創造の力をもたらしているでしょう。
しかしその内側には、月の蟹座が象徴する、自然との親和性や女性性への深い理解や憧憬も示されています。
月の象徴として母性、母との関係がありますが、モネの芸術的な感性は母親からもたらされたもので、母親もまた彼の芸術への情熱を応援していたようです。
しかし17歳のときに母親を亡くしてしまいます(月と冥王星のスクエア=母の喪失)。
この体験が自然とモネを強烈に結びつけることになったことは想像に難くありません。喪失した母の姿を、母なる自然に見出したのでしょう。熟年に彼は理想の庭を作りますが、月の蟹座は「自分だけの花園」を象徴する配置です。
母の死後は、父との関係も悪化し、パリで活動する際も経済的支援は受けられませんでした。父との対立や葛藤は、金星と土星の合と、そのTスクエアに見られます。
普通なら心が折れてしまいそうですが、極限の状態でこそ本領を発揮するのが蠍座です。
そんな彼を支えたのが、画商ポール・デュラン=リュエル。評価されなかった時代からモネやルノワールらの作品を買い続け、アメリカ市場に展開したことで、一気に印象派の認知度が高まりました。
モネは46歳。木星期に突入した途端に、太陽・木星の合が人生で開花したのでした。
50歳で借家を買い取り、理想の庭作りに励み、同時に絵画制作の幅も広がっていきます。まさに木星期の成熟と実りの季節の訪れです。
蠍座だけに、モネは同じ対象を何度も何度も異なる光や気象のもと、執着的に描き続けます。同じ蠍座族として、この気持ち、とてもよくわかります。一度気になったものを飽きることがないんですよね。
60代後半には、揺るがぬ名声と地位を手にしました。若い頃に彼を拒絶した金星と土星の合が、今度は完全な統合として、彼の人生にやってきたのでしょう。
70歳を過ぎた頃、妻と息子を相次いで亡くし、自身も白内障を患います。それでもなお、苦しみを超えて、再び作品を創ります。70代後半になってなお、国へ寄贈するための大作に取り組むのでした。
強い情熱と、内側にある柔らかで瑞々しい感受性。そして何度も危機を超えていく、蠍座の生命力。作品に心を打たれて、その生き方にもまた強く、心を揺さぶられるモネの日でした。