2月14日の夜に水星が魚座に入りました。
ここから3月3日までの約3週間は、魚座の水星期です。
現在、木星が双子座にあるため、その時々の水星の動きは非常に重要です。木星が水星に働きかける形で影響を与えるためですね。
水星は魚座にあると「フォール」というアクシデンタル・ディグニティとなります。これは、水星の本来の機能を発揮しにくい配置だということですね
。
ご存知のとおり、水星は知性の象徴であり、そのシンボルとされるヘルメスは伝令神にして知恵の神。神々の間でメッセージを伝える役割を持ち、数や文字、度量衡法などを発明し、楽器を作り出し、数々のいたずらを面白がって仕掛けるトリックスターでもあります。
しかし、その軽やかさや、機転の速さ、賢さ、分析力、語学力等が、魚座に入ると霧がかかったように鈍くなり、曖昧になってしまう傾向があるでしょう。いつものように頭がうまくまわらない……というイメージです。
例えば、話しているときに会話があちこちに飛んでしまったり、同じことを何度も繰り返したり、どこまでやったのかわからなくなったり、「あれ、私、いま、何を言おうとしていたんだっけ?」と会話が迷子になったりするのは、ある意味で「魚座的な水星」といえるでしょう。
水星が魚座に入ることで、誰もがこのようになりやすい時期といえるかもしれません。
自分の行動や決断が間違っているように感じたり、自信がなくなって人の言うことを鵜呑みにしてしまったりすることもあるでしょう。
社会的にも、あちこちで混乱が生じたり、複数の情報が飛び交って何が真実か分からなくなることもあります。フェイクニュースや詐欺が横行して、それに引っかかる人が増える可能性もあるでしょう。
現在、土星と海王星も魚座にあるため、さらに混沌とした状況が生まれやすくなります。海王星は自然の驚異を象徴するので、予想できない急な天候の変動などには、いつも以上に気を付けたい時期です。
また、いつもよりセンシティブになりやすく、精神的にもろく、傷つきやすくもなるでしょう。そのため、人間関係や世界の厳しさに打ちのめされることもあるかもしれません。
しかし、そんなときこそ、魚座が持つ「共感的知性」の出番です。
自分の内に秘められた傷や落ち込み、怒りや悲しみを理解する力。
「つらかったね」「傷ついたね」「悲しいね」と、感じていることを言語化して受け入れる力。
魚座水星は、アートを通して、それらの感情を表現したり、読み解いたりする能力も表します。
東洋でも西洋でも、アートの発展は宗教と深く関わっていますが、文字が読めない人にも神の偉大さや自然の驚異、戦いの虚しさや愛の喜びを伝えるために、アートは絶対的かつ強烈なパワーを持っていました。絵や彫刻、音楽や装飾は、私たちの心に直接訴えかけて、感情を揺さぶる力を持っています。
誰の心にも同じような感情を想起させる、アートやメディアは、魚座水星の得意するところ。有名・無名を問わず、すべてのアーティストが自分の作品を生み出すきっかけは、自身の感情に触れることにあるでしょう。
心を動かすもの、揺らすもの。その喜び、怒り、悲しみ、絶望——どんな感情でも構いません。生きる喜びと、圧倒するような苦しみ。人生は楽しいことばかりじゃない。でも、つらいことばかりでもない。
清濁がいつでも共にある、混沌——それが、この地球で生きるということですね。ひとりの人間の内に宿る、モラルや正義感と、エゴイスティックな欲望。愛情と拒絶。その割り切ることのできない両極性を受け入れる知性こそが、魚座の水星なのかもしれません。
この3週間は、センシティブな知性を活かして、たくさん自分の感情に触れてみると良いでしょう。
考えるのではなく、ハートの声に耳を澄ませてみる。
いま、この瞬間、私は何を感じている?
その思いを、絵や詩、音楽などで表現してみても良いかもしれません。それは自分のための、自己解放のためのアートですから、上手に作る必要はありません。
あなたがあなた自身を救済する、慈愛の知性の時期です。