エルサと土星と、統合の道 | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

先日、劇団四季の『アナと雪の女王』を観劇しました。過去にも観ていますが、四季ミュージカルの中でも、とてもゴージャスです。名曲も多く、オーケストラ生演奏、見どころ満載の舞台です。

 

『アナと雪の女王』のあらすじはご存じの方が多いと思いますが、舞台を観ながら「これは土星の物語…かな?」と考えていました。

 

アレンデールの王女エルサは、生まれつき、雪や氷を作り出し、触れたものを凍らせる魔法の力を持っています。妹のアナとは仲良しですが、ある日、せがまれて一緒に遊んでいたとき、誤って魔法でアナの頭を凍らせそうになりました。エルサが8歳のときの事件です。

 

誰もが7歳半の頃、出生図の土星に対して、トランジットの土星がスクエアの位置にやってきます。このタイミングで多くの人が、人生で初めての失敗や責任を強く体験して「ありのままの自分ではダメだ」と思い込むでしょう。

 

言いたいことを言って友人を傷つけたり、笑われたり、嫌われたり。親や先生に怒られて「これは恥ずべきことなのだ」と自分を罰したり。

 

言いたいことを我慢していたり、やりたいことを抑えたりしている人の多くが、尋ねると「小学校のときに失敗して以来」と答えます。

 

エルサも、制御できない自分のパワーに傷ついて、アナの前から姿を隠します。そして魔法が暴走しないように手袋をはめて「感じないで、心を閉ざして…」と繰り返すフレーズは、まさに土星の「防衛」の働きですね。

 

 

私たちは失敗すると、心を閉ざします。「もう黙っていよう」「もうあの人には期待しないでおこう」「深く関わらなければ傷つかない」──土星は「ありのままのパワー」や「本能的な欲求」を隠すことで、周囲に順応するように促します。

 

そして、それは一時的にうまくいきますが、やがてそのままでは発展できなくなるときがきて、心の一部を閉ざしていることで、孤独感も増していきます。

 

仕方なく土星の封印を解くことになりますが、遠慮してなかなかパワーを発揮できないか、気負い過ぎてパワーが暴走してしまうかのどちらかに偏りやすいですね。

 

エルサが「レリゴー」と歌いながら氷の宮殿を築いて、いい気分になっていたら、王国を冬の世界に閉じ込めてしまっていたときの状態です。

 

失言しないように黙っていた人が、話し始めると今度は気を使い過ぎる、相手に合わせ過ぎる、喋りすぎる──といった極端な行動に出ることがあります。

 

物語では終盤、アナの無条件の愛によってエルサの心が開かれ、制御する能力を手に入れます。

 

この無条件の愛──失敗をゆるし、認め、それでも愛していると受け入れる寛容さが、土星を統合するカギなのでしょう。

 

このとき、エルサは21歳。2度目の土星スクエアの年齢です。土星のパワーをモノにするには、それくらいの時間がかかるのだと思います。

 

失敗したことを克服して、自分なりの技術を手に入れる。技を成熟させる。良い関係を育てる──うまくいかなくて心を閉じてしまった物事にこそ、寛大な愛をもって、じっくりと時間をかけて取り組むことが大切なのでしょう。