新月に浮かび上がる不安の影 | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

15日の真夜中に新月でしたが、みなさま、いかがお過ごしでしたか?

 

私は4年ぶりの単独ウブドバカンスを満喫中なのですが、今回の新月の前後はタロットカードの月ムーンを色濃く感じて、思いを馳せておりました。

 

 

カードの絵柄の月の背後には、太陽が重なっています。これは新月であるとも、日食であるともされます。今回は日本では見られませんでしたが、金環日食の新月だったので、まさに絵柄の通りといえますね。

 

日食って、実際に体験すると、ちょっと体感的にふわっと怖くなるような感覚がありますよね。私は一度、山中で日食を体験したことがありますが、それまで鳴いていた虫たちが日食が始まった途端に一斉にピタリと鳴きやんで、シーンと静まりかえったことを覚えています。

 

タロットの月のカードは、占星術だと魚座に照応します。

 

月なのに魚座であるとは、これいかに?

 

占星術の月と照応するのは、月ではなく女教皇ですね。月を支配星とする蟹座は戦車です。タロットの占星術照応は星座順なので(惑星はその限りではありませんが)魚座はどうしても後ろのほうにくることになります。

 

このカードの主役はザリガニである、と私は思っています。池からのぼってきたザリガニ。

 

余談ですがザリガニをはじめとする甲殻類は、エレメントでいうと水の象徴ですが、彼らは月の満ち欠けに応じて身体の太さが変わるらしいですね。

 

ちなみに私もです(笑) 太陰体質(月体質?)というらしいですね。このタイプの人がいたら、昼間に太陽の光を存分に浴びることが大切らしいですよ。そして真夜中にちゃんと寝ることも必須です。

 

月を見上げているのは犬とジャッカル。両者ともに死者の国の入り口を守る門番であり、道先案内人でもありますね。

 

死者の国を心理的にいうのであれば、私たちの意識の光が届かない、心の深い領域ということになります。

 

そこからザリガニが這い上がってくる…ということは、普段見過ごしている、あるいは気づかずにいて、心の深いところに沈めているさまざまな感情…特に死の恐怖に通じるような不安や緊張が立ち上ってくる…というわけです。

 

そう考えると、月のカードはとても魚座っぽいですよね。

 

 

満月は人々が興奮して犯罪が増えたりすることが知られていますが、新月もまた人々の精神が不安定になりやすいので古来、大事な儀式などは避けられてきました。

 

魚座は水の三星座の中でも、私たちが忙しい日常生活の中で後回しにして、感じ残してきた感情を扱う星座です。特に眠っている夢の中や、ぼんやりと夢想しているときに、それらを表出させるわけですね。

 

私たちの妄想や夢には、恐れと願望の両方が表出します。

 

時にはぞっとするような恐れを感じることがあるでしょう。小さな子どもは本能的にそれを感じて、暗闇で眠ることを恐れたり、夜に揺れる影にお化けを見たりするかもしれません。

 

本能的に恐怖をキャッチして、泣いて怯えます。そしてさんざん泣くだけ泣くと、恐怖はリリースされて、安らかに眠ることができます。

 

感情はいつでも、私たちを浄化することを助けてくれるでしょう。恐怖の気配を察しているにも関わらず、感じないようにしていると、それは神経症的な症状となって、日常生活の精神上に表出するようになるかもしれません。

 

言葉にならない恐怖や痛みや傷つきを、大人の理性でしっかりと受け止めて、リリースすることが、このカードに描かれた太陽と月のテーマだと感じます。

 

 

現代社会はあらゆる危険を隠して、オブラートをかけているようなところがありますよね。昭和の頃はもっと生々しかったものが、倫理観の発達と共に、規制されるようになってきました。

 

それは個人の尊厳などを守るうえではプラスに働きますが、私は恐怖を感じさせる事実に関しては、もっと生々しく報道してもよいのではと考えるほうです。

 

たとえば戦争の報道では破壊された街や兵器や空などが映し出されますが、実際に亡くなった方々や撃たれた兵士などを出したほうが、ショックと共に「本当に戦争を止めなければ」という思いに至る人か増えるのでは?と感じます。起きている現実をしっかりと認識することも大事ですよね。

 

あらゆる危険を排除してしまうと、生きることへの情熱そのものも欠如して、それは生きることへの恐れを増大させることになると思うのです。

 

変化が怖い。生きていける気がしない。自分には力がない気がする……。

 

月が運んでくる本能的な恐怖を受け止めて、生きる力へと変える夜。

 

みなさまはここ数日どんな風にお過ごしですか?