魚座とタイタニックと太陽の目覚め | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

先日たまたま魚座新月の翌日に3Dリマスター版のタイタニックを観たのですが、大型船沈没ラブロマンスって、めっちゃ魚座的テーマだなあと、泣きながらしみじみ感じておりました。

 

初上映が1997年なので、ほぼ土星周期でのリバイバルですね。平日朝回で満席御礼、客層はほぼミレニアルでした。

 

タイタニックの語源はタイタン族(巨人族)で、これはガイアとウラヌスの子どもたち……ということで、代表はクロノス(土星)です。

 

ということは、これは土星の名を冠した船が、海に沈んで(海王星)、死の淵から生還した女性が自分の人生を取り戻す物語ということになります。

 

タイタニックはDVDも持っていて5~6回は観ているから、内容も場面もあらかた覚えているのですが、それでも船が沈むよりずっと前から泣き始めるという……(笑)

 

 

上流階級の娘ローズは、自分のおかれている境遇にうんざりしている17歳の少女。家名と借金を残して死んだ父の代わりに、母親に利用されようとしています。実業家の婚約者は家名と従順な妻を求めていて、母から夫へと、理想の人格を押し付けられるばかりで、自分として生きることができず、死のうと試みるローズ。

 

そこで出会ったのが、何も持たないけれど、ただの自分として生きている、貧乏青年ジャック。


これはローズの8ハウスですよね。親から受け継いだもの、与えられた環境、求められるペルソナといったものにうんざりしていて、そこから死ぬことで離脱しようと試みたとき、すなわち冥王星の淵に立ったときに、太陽の申し子のようなジャックがやってきたのでした。

 

15歳で親を亡くして、兄弟も親戚もないジャックは、身体ひとつとスケッチブックだけを持って世界を放浪しています。定職も定宿もないジャックを上流階級の人々は奇異なものを見るように蔑みますが、何にもとらわれず、その日その瞬間の命の煌めきと共に生きるジャックは太陽そのもの。

 

潜在的に自分を解放したがっていたローズはその生き方に憧れ、強く惹かれていきます。

 

母親や婚約者に諭されて、元のしがらみ生活に一度は戻ろうとしたものの、ジャックの情熱にほだされてノックダウン。本物の自分の選択としてジャックを選んだローズ。

 

しかしローズが本物の太陽になるためには、これまでの生き方を精算するために、船が沈み、婚約者の復讐劇、群衆パニックといったカオス(魚座)が必要なのでした。

 

最終的に生き延びたローズは「ローズ・ドーソン」とジャックの姓を名乗り、みずから太陽ジャックとひとつになったことが示されます。そしてその後、イキイキとした生命力を放ち、やりたいことをやり尽くし(男のように跨って馬に乗るなど)100歳まで生きるのでした。

 

土星タイタニックにとらわれたひとりの少女が、内なる錬金を果たして、太陽になる物語ですね。鉛(土星)が金(太陽)になるのが錬金術ですが、ここでいう金(太陽)とは、完全に条件付けから放たれた光の象徴です。

 

条件付けしかなかった土星の少女が、なにひとつの条件も持っていなかった太陽ジャックと出会い、自分を縛っていた過去の因縁、しがらみ、執着といったものを沈没する船と共に魚座という集合体の海の中へ沈めて、手放したのでしょう。

 

海から上がったローズは、何者でもない、太陽ローズであり、自分だけの人生を歩み始めます。

 

 

監督のジェームズ・キャメロンは獅子座の太陽が冥王星と合。土星が蠍座。ターミネーターなどの派手なアクションが多いですが、どの作品においても主人公が「自分が何者であるのか」を考え抜いて、旧体制、古い固定化されたイメージから、死の淵に立ちながら変容していきますね。

 

アバターでは古い容れ物である肉体が死んで、文字通り、まったく新しい自分になったりですね。

 

ロマンス、戦争、混沌とファンタジーといったスパイスを散りばめながら、主人公が自分になっていくから、みんな彼の作品に惹かれるのでしょうね~。