今回の新月が12ハウスで起こり、魚座の木星期の最後の時期であることも重なって「12ハウス感」が、強調されている時期です。
12ハウスは人間にとって最も難しい経験の場。それは祈ることであり、自我を手放すこと。自分と世界のために、溜めこまれたものを終わらせていく経験をする領域です。
何かを始めたり、成果をあげたり、誰かとの関係を築いたり、コツコツと毎日作り続けたりすることのほうが、ずっと簡単にできるでしょう。
しかし、そういった日々の行いの中では、さまざまなストレスが溜まります。人間関係も、なかなか思うようにままならない現実も、心地よくない環境も、私たちにとっては小さなストレスの連続です。
そんな日々において、物理的な側面を整えるのが6ハウス。掃除して、洗濯して、健康的な食事をして、お風呂に入って整えて、フカフカに干した布団でゆっくりと眠ること。そうすることで家と身体の健やかで清潔な状態が保たれます。
その向かいにある12ハウスでは、目には見えない心の領域を整えます。毎日お風呂に入って、身体を洗い、歯みがきをするように、心の澱を掃除して、いつも健やかでピカピカの状態にしているでしょうか?
見えるものであっても、見過ごしてしまう箇所があるぐらいですから、見えないものは尚のこと、難しいわけです。
自分の心を見つめる時間。他の活動を止めて、ただ何もせず、内観すること。それも12ハウスの活動ですね。
ひとつのハウスや惑星は、相反する極を持っていますから、ハートを感じないように回避することも12ハウスであれば、ハートの中にあるものにゆだねて、自分を手放していくことも12ハウスです。
意識的に自分を観じようとするか、無意識のうちに「何もしたくない」という形で非生産的な時間を作るかの極ともいえますね。
12ハウスを支配する海王星のテーマは「明け渡すこと」ですが、それは流されることでも、あきらめることでも、無視することでもなく、信頼して意識的に「世界に託すこと」といえるでしょう。
自分ではどうしようもできないことは、すべて天に委ねること。でもそれは「もう知らない」という投げやりではなく「きっと良きようになるだろう」と信じて、やってくるものに任せるということでもあります。
天の神さまの言うとおり。
昔からくじ引きは、天の意志を反映しているものとして、重要な儀式こそ、くじや形代の偶然による変化によって、どのようにするのかを決めたのでした。卜占の結果に意識して委ねるということでもありますね。
そして同時にそこには、それに託した結果も含めて期待を手放していくということが必要になります。世界が良くなるように、祈って、委ねて、その成り行きさえも「そのようになるものだ」と受け入れていく。
信頼して、明け渡すということ。どうしても、そこに「こうなってほしい」という気持ちを持ち続けてしまうことが、12ハウスの難しさだと思います。
あきらめずに、しかし明け渡すという矛盾。そんな最も難しい経験を学ぶ部屋ですね。