若い頃、占いの館に所属していて、そこが提携している各地の占いブースに派遣されて行っていました。いきなり電話がきて「来週あそこに行ける?」と言われるんですよ。
いまはどうか知りませんが、当時の占い師稼業は交通費自腹で、ギャラはその日に稼いだ分の半分。自分で勘定して納めるので、ちょろまかす人がいないか、スタッフが覗きにきたり、売れっ子だったお姉さんの不正がバレて急にクビになったりもしていました。
派遣されて楽しかったのは遊園地。後楽園やコスモワールドでやっていると、来てくれるのは若いカップルや友人同士の女の子で、深刻な悩みもなく、相性とか、片思いの恋の行方とか、出会いはどこにあるかなど、キャッキャと喜んでもらえて微笑ましいものでした。
同じ片思いや出会いでも、電話占いだとグッとヘビーになります。当時はダイヤルQ2でしたが(懐かしい…笑)「どうにかして20代の内に結婚しなくてはならない」という強迫的なお姉さまたちの相談(何月何日何時にどこに行って何をすれば出会えるのかを占えとか……)に、地味にメンタルが削られたものです。
25年前のことですが、一緒に勉強していたのに、これで占い師をやめてしまう人は何人もいました。占いをやろうという人は感受性が強めの傾向があるので、人の感情的な影響を受けてしまうのですね。なので館で働いているのは、おばちゃん~おばあちゃんが多めでした。年をとるって素晴らしい(笑)
デパートのレストラン街の占いブースには、老若男女さまざまなタイプの人がやってきて、いろいろと勉強になりました。いろんな立場の人がやってくるのですが、当時の私に難しかったのは「特に何も起きていないし、何かしたいこともないけれど、見てほしい」という年配の方。
いまだったら「どうぞ、どうぞ」といくらでも話を引き出せる気がしますが、20代前半の頃には、解決したいことも、やりたいこともないという人に、どこから何を話せばよいのか、よくわからなかったのでした。
何も起きていないし、特に何もしたくはないという方が、けっこういることがやがてわかっていくのですが、そんな月と土星の法則が貫かれている人生にも、否応なしに、さまざまな波がやってくるわけで、いろいろな流れを読むのは面白いな~と感じます。