『夢見る小学校』と未来への投資 | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

すこし前に『夢見る小学校』というドキュメンタリー映画を観てきました。


舞台となっているのは、南アルプス子どもの村小学校。教科書を使った授業がなく、代わりにプロジェクトと呼ばれる「大工仕事」「工作」「料理」「演劇」「
地域文化」という5つのクラスのいずれかに所属して、そこでの活動を通して総合学習をしていきます。

 

現在、大学生となったうちの息子は小・中・高等専修学校まで、この姉妹校であり、最初に創立された和歌山のきのくに子どもの村学園にお世話になっておりました。

 

なので映画の舞台は南アルプス校ですが、やっていることも、子どもたちの様子も同じような雰囲気で、親近感を覚えながら観ていました。

 

映画ではこの学校の特徴である前述のプロジェクトをはじめ、宿題やテストやチャイムがないこと、先生はおらず大人と子どもが同じ1票の権利をもって付き合うこと、大人はあだ名で呼ばれること、甘えたい子は大人に抱っこしてもらったり、肩車してもらったり、髭を引っ張ったりしてもいいこと(授業中であっても)、行事では整列しないこと、運動会や卒業・入学を祝う会などはすべて子どもたちが主体で運営すること、修学旅行は行き先の決定から予約の電話まで全部子どもたちがおこなうこと、中学へ進学するときは自分が使う机と椅子を好きなデザインで各自作ることなど、きのくニズムが一通り、網羅されていました。

 

改めて映画で観ると、楽しい学校だったなあと感じます。

 

 

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「まず、子どもをしあわせにしよう」というのがこの学校のキャッチコピー。学校を創始した学園長の堀さんが映画でも、いつも同じことをおっしゃいます。

 

「子どもたちには『自由に好きにやっていいよ。責任は大人がとるからね』と言っています。たまに『好きにやるなら責任は自分でとれ』なんていう人がいるけど、あれはダメです。子どもが本当に好きなことをするには、大人が責任をとらなきゃ、本当にのびのびできないでしょ」


ほんと、その通りですよね。「好きにやれ。でも結果には責任をとれ」って、ダブル・バインドだと思います。

 

まず、なんでもいいから好きなことを見つけてみる。そしてそれを夢中になってやってみる。そうすると、自分のことが好きになる。
 

それを見つけるための学校なんですね。だから「夢見る小学校」というわけです。

 

 

占星術で初等教育は3ハウスが象徴します。水星の部屋。主に小・中学生ぐらいですね。

 

3ハウスには、ひとつ前の2ハウスを拡張させる役割があります。2ハウスは所有の部屋ですが、私たちが生まれ持った最初の持ち物である「身体とそれに含まれるすべて」を、更に豊かにすることを3ハウスではやっていきます。

 

なので初等教育において、私たちは技術を身につけ、知識を増やし、得意なこと・できること・好きなことを作り出し、その得たものを使いこなして、更に快適な日常を作り出すための経験値を増やすことをしていきます。

 

そのためにはたくさん失敗することが大切です。実際にやってみて、失敗して、工夫して、失敗して、工夫して、成功する。

 

その体験を通して、私たちの中に「試行錯誤する回路」が作られます。これは何が起こるかわからない人生を生き抜くための、とても心強い味方。失敗してもやり直せばいいとわかっていれば、進んでいろいろとチャレンジすることがたやすいでしょう。

 

 

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息子が小学生のとき、工作系のプロジェクトに入っていたことがあります。そのときは1年かけて「陶器作り」をやっていたのですが、2学期に「土鍋」がテーマだったんですね。

 

クリスマスに鍋パーティーをすることが最終目標だったのですが、そのための「土鍋を作ること」から始まります。
 

信楽の専門家に土鍋作りのコツを聴きに行き、良い土がとれる川で陶器用の土を採集し、小皿やカップなどで手慣らしをして、いざ、ひとりひとつずつ土鍋を作成!!

 

そして本番の鍋パーティー当日は、具材を入れて、火にかけた途端、あちこちで鍋がバカッと割れて、大惨事だったらしいです(笑)

 

「どうにか生き残った鍋を、みんなで分けて食べた~」という話を聴いて、いい経験値を積んでるな~と思いました。

 

 

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3ハウスの向かいには9ハウスがあります。こちらは高等教育を司る木星の部屋。法や道徳をもって、3ハウスを見守り、導くのは、この木星の役割ですね。

 

『夢見る小学校』には世田谷区桜丘中学校で10年校長を務められた西郷前校長も出演されていました。

 

彼がしたことは校則を3つまで減らして、遅刻と­いうシステムをなくしたこと。生徒総会で挙げられた子どもたちの要望を実現させること。

 

あるとき「定期テストをやめてほしい」という要望が生徒から出たとき「やった」と思ったそうです。彼も定期テストをやめたいと思っていたから。その結果として、桜丘中学校は地区で一番の成積になったといいます。

 

いかに子供を信頼して、その力を引き出すことができるのか。そして何よりも「自分のことが好きだ」といえる子どもを増やすことができるのか。

 

これって、ものすごく未来に対する、私たちの投資なんじゃないかなと思うのです。