3ハウスは自分を拡張する実践の場 | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

いくつかのクラスで、じっくりとひとつずつのハウスについて検証していく講座をやっています。

 

基礎講座では、ざっとおおまかに見ていくのですが、一通り学んで、占星術に慣れてから、ハウスをじっくりと掘り下げていくのは、人生の棚卸しをしていくようで、とても興味深く、面白い作業です。

 

こないだは大阪のクラスで3ハウスをやったのですが、私はこの3ハウスについて考えるのが妙に好きなんですね。

 

3ハウスは思考する部屋であり、賢さを伴うこのハウスは、実に水星の元型らしい「うまく立ちまわって、欲しいものを手にいれ、やりたいことを実現させるための経験の場」を表しています。


3ハウスの能力が長けていると世渡り上手。近所や職場や学校で「あの人、うまいことやってるな~」と感じられる人がいるとしたら、それは3ハウスを活かしているといえるかもしれません。


通常3ハウスはコミュニケーション、情報、流通、短距離の移動、初等教育、近所、友人、兄弟という感じで知られていますし、私も基礎講座ではそんな感じで紹介しますが、実際にもうちょっと突っ込んでみると、それは2ハウスを実践強化する場。

 

身につけた知識や技術を実際に使いながら、更に価値あるものを獲得するための経験の場なんですね。

 

学校や職場や近所という、いろんな人が、さまざまな思惑を持って過ごしている場において、いかにみんなに嫌われずに立ち回りながら、それを獲得できるか。そのための知恵や戦略というのが、3ハウスで身につけるべきものでもあります。

 

 

その経験における最初のライバルは兄弟です。兄弟は手ごわいですね。家庭という環境のなかで、やりたいことが邪魔される。そして子どもにとって絶対的な親の愛を勝ち取ることを競い合う相手であり、時に大人からの攻撃に対して防波堤を作り合う関係でもあるわけです。

 

私には2歳上の兄がいるのですが、この兄は家庭というフィールドにおける私との競争のなかで、歳上であるアドバンテージを存分に活かしてテレビのチャンネル権、おもちゃの使用権、祖父に可愛がられる権利等を独占し、代わりに家のお手伝いといった面倒なことはすべて私に押し付けて、更に気にくわないことがあるときは私をぶん殴って発散するという、天国状態でした。

 

兄のチャートを見ると3ハウスが射手座で太陽・水星・木星とやりたい放題であることがわかります。一方、私にとってはさんざんな3ハウスなわけですが、チャートを見ると逆行の牡羊座火星が入宮していて、人生初期のバイオレンスに満ちた兄弟の対比がとてもよく示されていると思います。

 

しかし3ハウスのカスプサインやルーラー、入宮惑星は何も状況ばかりを示すのではなく、問題解決法をも示しているのですね。

 

私は牡羊座の火星ですから「戦え」であり、実際にたまに戦って、それはそれは仁義なき戦いを繰り広げたものですが、そのうちに賢くなってきて牡羊座の別の戦略「自立する・ひとりで遊ぶ・兄は無視」というやり方をとるようになり、期待せず、頼りにもせず、関わらずで過ごすことで、自己拡張に努めることにしました。

 

このあたり、兄弟がいると大変な思いをするけれど、お互いが出し抜くために賢くもなるので、一人っ子よりも将来的には有利になるのではと思われます。

 

 

兄弟というフィールドで人生の厳しさを体験した次は、初等教育という小学校・中学校という場において、3ハウスが揉まれていくことになります。

 

学校へ行くと、そこにはいい子も意地悪な子も個性的な子もいます。その環境の中で、いかに欲しいものを手に入れて、やりたいことを実現していくのか。そのためには誰と仲良くするのがいいのか?意地悪な子とはどうやって距離をとるか?好きなことを言い過ぎると嫌われる?目立ち過ぎるのもダメ?

 

自身も含めた未熟で個性的な面々のなかで、どうしたら彼らに味方になってもらうか、あるいは最低限邪魔されない形で、したいことを実現できるのか?

 

そのことを試行錯誤を繰り返して、時に手痛い失敗もしながら、この複雑な社会を渡り歩く練習をするのが初期教育でもあるわけですね。

 

ここで学びたいことは「みんなと仲良くしましょう」なんていう道徳精神ではなく「ウマの合わない子や、自分を好ましく思わない子と、どうしたら適当にうまくやっていくことができるのか」という実践的な知恵。

 

どれくらい主張したらそれが通り、どんな言い方をしたら嫌われるのか、という実際的な会話を何度もやり直し、練習させてくれるチャンスが欲しいわけです。

 

3ハウスは7-11ハウスと続く、風の星座が支配するリレーションシップ・ハウスの基礎となる重要な場所。

 

それは多様な人々がいる世間というフィールドで、いかに生き延びて、自己拡張するのかということを司る部屋です。

 

いまひとたび、普段このハウスをどんな風に表現しているのか、自分なりの戦略を増やすとしたら、どんな選択肢があるのか、思い返してみると面白いと思います。