ペルセポネに続いて、女神パラスの話です。
パラスはゼウスと智慧の女神メティスのあいだにできた子どもですが、自分の地位を子に簒奪されることを恐れたゼウスはメティスの妊娠がわかると、子を産ませないように、メティスを飲みこんでしまいました。
そのためパラスは武装した姿で、ゼウスの頭を内側からかち割って産まれたとされております。他の女神からではなく、みずから子を産んだことによって、ゼウスの地位は守られ、神々の王として揺らがないものとなりました。
ゼウスには数多の子がいますが、最も愛したのが、みずから産んだ(頭をかち割られた)パラスです。そしてパラスもまた、父に忠実な娘でした。
「父の娘」であり、父の強さ、意志、権威をみずからも体現し、独立した処女神。アテネの守護神でもあります。
この「父の娘」はいわば、男性社会において、のびのびと活躍する女性です。父に溺愛されたので自信があり、父の社会性をモデルに、自身も社会へと進出します。そこで世の中のしくみや流れを鋭く分析し、堂々と誰とでも渡り合い、活躍するのですね。
負け知らずというのがパラスの強さの売りですが、それは弟のアレス(火星)が粗暴で力による猪突猛進の攻撃性を象徴するなら、パラスは相手と状況を分析して、なるべく戦いを避ける方法を見つけたり、避けられないなら罠を仕掛けたり、工作したりして、極力傷つかないように防御性を発揮しながら、発展的に解決の道を創り出します。戦いの神アレスも、この姉には勝てません。
現代社会でいうなら、自社にも顧客にも社会にもwin-winの三方よしを実現させて、相手が否を言えないような交渉をするイメージですね。仕事ができる人!!
パラスの武器はそのような解決策を見つけ出す「創造的知性」と、状況を鋭く分析する「パターン認知力」といわれております。
私は自分のなかに、この「父の娘」の原型を強く感じます。私と実際の父親の関係は、物理的には距離があったものの(父親がワーカホリックだったので)、精神的、感情的なつながりが深く、父は私を溺愛し、何も制限せず、怒ったこともなく、何もかも好きにさせてくれました(放任ともいう)。
たまにしか一緒にいないけど、いるときは仲良くて、こないだも東北の秘湯で夜に何時間も語り合ってきました。
私の小惑星パラスは射手座で10ハウスにあり、父親の射手座の太陽とぴったりとコンジャンクションです。私が社会でのびのびと自由に好きなことをして働くことができているのは、この父親の支えと社会性の部分が大きいなと思います。
ホロスコープでは父親が太陽の姿を表すとされますが、パラスのほうは実際の父親との交流の形や、あるいは自分が父親からどんなものを受け取っているのかということとも、関わっているように感じられます。父との関係から得た、社会を渡るための強さや賢さでもありますね。
また実の父親に限らず、自分にとってメンター的な存在となった男性との関係から得るものも象徴しているのがパラスです。
20代のはじめに、これまた私のパラスとコンジャンクションの太陽を持つ男性としばらく関わっていた時期があるのですが、社会人として、どういう姿勢で世界と関わるのか…という部分は、ほとんどこの人の影響で作られたように感じています。
「父の娘」のパラスですが、もちろんこれは男性のチャートにおいても有能に活躍するポイントで、交渉術に長けて、三方よしの最善の平和的解決を導くことを助けてくれるでしょう。
パラスとペルセポネは2人ともゼウスの娘ですが、まったくタイプが違いますね。パラスは母親知らずの「父の娘」で、ペルセポネは完全なる「母の娘」です。
父の娘が、父に支えられて、のびのびと社会で活躍するのに対して、母の娘のほうは愛着問題、依存と自立、隠された反抗心など、愛憎の根の深さを感じます。両方とも、私たちの内側にある力には違いないのですが。
そのあたりの話もしたいと思いますので、17日の夜19:45~ぜひclubhouseに聴きに来てくださいね~!!