世代天体と個人の関係 | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

「2021年の運勢」といったような年運やある時期の運勢を読むとき、占星術では10天体のうち、木星より遠い、いわゆる「世代天体」の動きを中心に見ていきます。昨年であれば木星・土星・冥王星の山羊座トリプル・コンジャンクションが、今年であれば水瓶座のグレコン&土星-天王星のスクエアが特徴的で、現在の社会における特色・雰囲気・傾向を創り出すわけですね。

 

天にある星たちの動きが、地上の私たちの営みに表れて、そこで生きる個人にもさまざまな刺激と影響がもたらされます。

 

「わたし」という、さまざまな可能性を秘めて生まれた個人は、生まれ育った環境・時代・文化の背景によって、どの部分がどのように引き出されていくのか変化し、また社会のなかで経験する出来事によって、また変遷していきます。

 

幼少期の環境が個人の人格形成に非常に重要であることは明らかですが、赤ちゃんは母体にいるときから母親の心理的・精神的・肉体的な影響を受け取って、人格の構造を形成する際の材料としていきます。親と家族の態度が、自我構造に大きく関わるでしょう。

 

親や家族に何が起きていて、家庭内がどんな雰囲気であったのか。それは個々の家族の個性や関係性にもよるものですが、その時代の社会背景も大きいですよね。景気が良くて羽振りがいい時期だったのか。あるいは厳しく、パッとしない時代だったのか。はたまた国際関係で緊張が満ちている時期だったのか、新しい希望に満ちた発明やイベントで盛り上がっている時期か。

 

コロナ禍において、社会が閉塞的なムードに包まれるのは、外惑星の土星-冥王星との関係から見ることができますが、そういうときは個人もなんとなくパッとしないものです。もちろん、ほとんど影響を受けない人もいますし、そこには個体差があります。

 

そのとき、お母さんがどんな気持ちでいたのか。家族との関係、あるいは時代背景のなかで、母親が悠々と気楽に過ごしていたのか、どことなくナーバスでいたのか。受精してから出産まで、だいたい9カ月ぐらいの期間がありますが、そのあいだや産前産後の母を取り巻く環境や時代背景が、出生チャートの世代天体の特徴に色濃く記されているはずです。

 

そのことに思いを至らせながら、チャートの世代天体の特徴を探求してみると、なぜ自身の人格に「そのような雰囲気や傾向」が組み込まれているのか、見えてくるものがあるかもしれません。

 

 

クローバー   クローバー   クローバー   クローバー   クローバー

 

 

たとえば、わたしは1973年11月2日生まれなのですが、この時期の大きな特徴として土星と冥王星がものすごくタイトなスクエアになっているんですね。しかも土星が蟹座にあるので、生活の安全や基盤が著しく脅かされるような恐怖が社会にあったかもしれないと予想できるわけです。

 

で、わたしの中にも当然この星に刺激されるような「自身の心の安定をかき乱すものに対する異常なまでのナーバスさ」みたいなものがあるのですが、その出所を探ってみると、どうも「オイルショック」が怪しい気がするのですね。ちょうど全国的にトイレットペーパーの買い占めが怪我人が出るほど過熱していた頃で、この秋から翌年まで戦後初のマイナス成長、狂乱的なインフレが起きるなどが、この星と関係しているような気がするのです。

 

冥王星は天秤座ですが、だいたいナーバスの引き金になるのが、他者による予想外の行動であり、ほとんど無意識のうちに作用するこの内なる特性と、土星と冥王星のアスペクト、当時の社会情勢と、それらに対して当時の母親が無意識のうちに受けた影響などが、連動しているのではないかと思うのです。

 

 

ここのところ、続けて2020年生まれの子どものチャートを読む機会があったのですが、共通するのは木星・土星・冥王星の山羊座のコンジャンクションが、何かしらの緊張や葛藤を生み出している雰囲気なんですね。それは、そのような社会情勢下において妊娠・出産されていることと連動していることは明らかで、その影響が子どもが成長したあとで、何かしらの形で示されるのではないかと感じています。

 

これまで体験したことのないような緊張感とステイホームの日々があり、その後も断続的に緊急事態が発令されています。そのため出産を控えた妊婦さんが里帰りもできず、感染したら危険だと普通以上の注意を必要とし、気晴らしに出かける機会も激減、とても孤独な状況におかれていることがあるということでもあるでしょう。

 

出産しても家族や友人に気軽に会いに来てもらうこともままならず、産後も孤独な環境での子育てが続くこともあるでしょう。歩き始める頃から子どもは外の世界を体験し始めて、お散歩したり、公園へ出かけ始めたりしますが、出会う人たちはみんなマスクをしていて、触れ合うこともできません。

 

母子というのはやわらかく、温かく、触れ合い、守られ、周囲の人たちからやさしく育まれる蟹座の象徴ですが、その対面の山羊座に星が集まることで、冷たく、高い山の頂上にひとりで立つような厳しい孤独の世界がそこにあるのかもしれません。山羊座は私たちが成熟したあとで、自立し、更なる高みを目指していく様相の象徴です。

 

そういった環境に否応なくおかれた母親の孤独が、子ども自身の対外的な世界に対する印象と、人格形成に強く影響をもたらすだろう……という思いと共に、去年から今年、来年頃まで妊娠・出産している人を見かけたら、いつもより少しだけ強く、そのことに心を寄せていたいなと思う、今日この頃です。