2017年2月26日23:58に魚座の新月です
南半球で金環日食となる新月です。
12星座最後の魚座には、これまでの流れをすべて振り返り、そこから次の新しい流れに持ち越していきたいものだけを選び取る、という働きがあります。
次の12星座に持ち越したくないものは、すべてここで手放して、光に還していくのが魚座の役割。
この魚座に2012年から海王星が滞在しています。
海王星が現在の12星座周期である牡羊座に入ったのは、およそ150年前で、わたしたちはいま、150年分の総決算をするときを迎えているといえるでしょう。
海王星が次の新しい周期に入る2025年までのあいだに、わたしたちは地上に、あるいは見えない領域で溜めこんできた、「さまざまなもの」を一度かき集めて明らかにし、そこから不要な澱を洗い流す作業をしなくてはなりません。
特に海王星と、他の惑星とが重なるタイミングにおいて、無意識下に隠してきたものが浮上するということが自然と起こってくるでしょう。
今回は太陽と月と海王星とが重なる新月です。
日食なので、サウス・ノードもそこに加わり、わたしたちの内側から、この地上から、さまざまな澱を「これでもか」とばかりに浮かび上がらせてくれる好機です。
深い深い沼地の澱を底から攫うように、これからの時代にもう必要のないものを終わらせることを後押ししてくれる魚座の月。
新しい夜明けがすぐ、そこにまでやって来ている予兆を確信しながら、過去からの流れと決別するときです。
愛着あるものと、慣れ親しんだやり方と、別れることはさみしいかもしれないけれど。
もう、次のところへ進む時間がやって来たから、後ろ髪を引かれながらも、通過儀礼の門を確かな足取りで通り抜けていく。
ひとつの時代から、もうひとつの時代へ。
時間の狭間を超えていく、静かで深い新月です。
◆観て、気づいて、超えていく
太陽と月と海王星、サウス・ノードと更に水星まで、まとめて魚座の4ハウスに集結する新月です。
4ハウスというのは、わたしたちが地上の一員としてこの星に帰属していることを、血族とのつながりを通して思い出させてくれる部屋。
幼少期、わたしたちは家族から守られ、愛され、思いやりと配慮をもって育まれながら、成長していきます。
そして同時に人間としての在り方や生き方の基本をすべて、まわりの大人たちを真似し、関わり合うことで習得していきます。
『このようにするのだ』と、わたしたちが日常の中で無意識のうちに行っている数多のものが、そこを由来としているものです。
そして無意識のうちに自分自身と一体化している行動や習慣や反応や感情や考えや価値観には、繰り返されるパターンがあるでしょう。
普段、自分で気づきにくいそれらは、他者との関係を通して、明らかになります。
関係のなかで違和感を感じたり、苛立ったり、不安になったり、心を閉ざしたり、自信がなくなったり、面倒くさくなったり、逃げたくなったり、しがみついたり、嫌な気持ちになったりするとき……それらが起こるとき、わたしたちの内側で、その直前になんらかの判断がなされて、その反応が生じています。
『なにに対して、自分がどのように反応しているのか』を眺めてみることで、いかに自分がパターンにコントロールされているのか、そのときにどのような価値観のジャッジが働いているのか、理解することができるでしょう。
自分自身と向き合い、内観する時間です。
何かが起こったとき、それをジッと観てみること。
『不快な感情』が生じると、それを分析しようとするマインドが出てくるかもしれないし、自分を責め始めるかもしれない。
あるいは相手への批判が始まるかもしれないし、落ちこむかもしれない。
その不快さを感じたくなくて、気を逸らしてごまかし、『もういいや』と早く終わらせてしまおうとするかもしれない。
その一連の流れを観察し続けることで、『ああ、自分にはこのような流れの、こんなパターンがあるのだ』と、理解することができるでしょう。
そしてそれはパッケージのように「相手から失礼なことを言われたら、こう反応する」「すぐれた相手が出現したら、こう反応する」「ないがしろにされたら、こう反応する」と、ある程度の固定化がなされていて、外からの刺激によって、そのいずれかを反射的に引き出しているに過ぎないということも、わかるかもしれません。
この『観る』という作業を通して、わたしたちは自分に目醒めていくことができます。
そして、その反応をしている自分の、本当に求めているものが何なのか、気づくことができます。
相手に失礼なことをされて不快になるのは『大切に扱われたかった』のかもしれないし、すぐれた相手が出現して自信がなくなるのは『わたしも自分の力をもっと発揮したい』のかもしれません。
本当に求めているものに気づけば、感情をぶつけるのではなく、本音を伝えることができるし、嫉妬したりコンプレックスに陥ったりするエネルギーを、もっと自分自身を高めることに使えるかもしれない。
そうして、わたしが自分の本当の望みに気が付いて、そこに適切にエネルギーをそそぐことによって、わたしたちは過去からのパターンと決別して、自分らしい人生を創造していくことができるようになるのでしょう。
これは自立であり、進化の過程です。
◆『自分』を生きる
冥王星が次の春分点までぴったり72度の配置にいる2017年は、時代と共に地上での人の営みや在り様や社会の形式が大きく変容していくときです。
土星は射手座の銀河の中心に向かっていて、わたしたちがそれぞれの人生の目的を思い出し、そこに回帰するときが来ていることを告げています。
いま、そこへ向かわずして、いつ、そこへ行くというのでしょう。
慣れた場所、慣れたやり方、慣れた反応、慣れたパターンのなかにいるのは楽かもしれないけれど……もうそこにはいたくないという自分も、いるかもしれません。
思い立っては揺り戻されて、心は怖いというかもしれないし、マインドは「いまは無理だ、むずかしい」というかもしれない。
だけれども、わたしという存在が、本当にいま心から、この選択を、現実を、望んでいるのでしょうか?
わたしたちの人生における唯一の義務は、自分自身になることだけです。
目を逸らさずに、気を洩らさずに、ジッと心を見つめて、感情と思考と感覚の奥にある、本当の望みに目醒めていくこと。
そして、その『自分』を生きることに、時間とエネルギーを向けること。
わたしたちの存在が花ひらく時間です。
自分自身になることと、眠りのまどろみの心地よさと、どちらを生きたいのでしょうか。