
天に出現している大きな十字と三角が、わたしたちを見果てぬ領域へいざなう新月。
柔軟宮のグランドクロスと、地のグランドトライン。
大きな星の配列がふたつ重なる、とても貴重な時期。
どれだけ身軽になれるのか……執着とパターンと思いこみと身体のあちこちに滞留している重さと。
かつて必要だったけれど、いまはもう使われていないものが手放されていくほどに、いまこの瞬間に必要なものだけがやってくる。
その法則を、そして世界を信頼して、生まれたばかりのようなまっさらな裸に還っていくときです。
■ノイジーな荒波のなかで、厳選し、絞りこむ
双子座の14度に太陽と月と金星とがぴたりと寄り添う新月です。
神智学者のシュタイナーによると、双子座は[言語感覚]を司る星座だそうです。
わたしたちの内側にある体験や感覚や感情を、どこかで聞いたような借り物のフレーズではなく、それらを表すのにもっともふさわしい言葉をとことん突き詰めていく行為。
内にあるものを注意深く、意識的に厳選した言葉で表現すると、そこには、その人の精神が立ち昇ります。
その「事象」「概念」を、選び抜いた「言葉」を使って表現する。
ですから、わたしたちは他者の言葉を聞いたり読んだりするときに、情報と同時にその人の「在り様」と「精神性」を受け取ります。
これが双子座の司る[言語感覚]
抽象的な概念をぴったりと表す言葉を言語界から慎重に注意深く招き寄せて、そしてまた他者の言葉に宿る精神を読み解く力。
文字や言葉が際限なく無数に飛び交う情報社会のなかで、本当に必要なことを受け取り、発信すること……。
ノイジーな言語の荒波のなかで、厳選して、吟味して、きりきりと絞りこむ。
俳人が、とっておきのフレーズがやって来る、その瞬間をいまかいまかと目をこらして待ちわびるように。
あなたがいま、本当に伝えたいことは、いったい、なんでしょうか?
そしてあなたは今日、誰の言葉からなにを受け取り、それはどのように内側で波紋を広げたのでしょう?
■瞬きする間も惜しむように、自分自身と隅々まで向き合う
わたしたちは今回の柔軟宮グランドクロスと地のグランドトラインが輝く新月において、なにかを達成し、やり遂げる可能性があります。
それはあたかも、今日ここまでやって来た自分と、これから先へ進む自分とのあいだに見えない境界線が引かれ、それを乗り越えていくような行為かもしれません。
これまでわたしたちが体験し、観てきたものによって結晶化された、生きる知恵。
それが発露しようとしています。
それはわたしたちが得た結果のみに由来するため、正しいとか、正しくないとか、他者にどう思われるかとか、評価されるか否かといったことは関係ありません。
自分にただ起きた事実にのみ基づいた知恵が発露して、そこから新しい道が拓かれるときです。
ジャッジメントのマインドパターンを超えて、深淵から精神が解放されるとき。
[こうあるべき]と一律の教育を受けて社会的に抑圧された自分自身の可能性を解き放ち、個々の持ち味が、才能が、在り様が、ひとりひとり異なる色彩と光を帯びて、表に出てくるときです。
自分にくつろぎ、信頼して、充分にのびやかにポテンシャルと資質のすべてを使いこなしていくほどに、外の世界もまた、それに応じて広がり、豊かに満ちていくでしょう。
流れにのってしなやかに、やって来たものに抵抗せず、それでいてしっかりと細やかに結果を出していくことで、柔軟宮のクロスがわたしたちを必要な場所へ導いてくれます。
しかし、正しいのか、間違っているのか、これでいいのか、認められるのかと、自分のおこないに迷いを持ち、信用できずにいると、限りなく不安定な心持ちとなり、どんどん自信を失わせていくのも、この柔軟宮クロスの特徴。
外からやって来る数多の情報から、取りこんでいくものを、賢く選別していきながら。
それよりも自分の内側にすでにあるもの…経験によって得られた最大のギフトを、自分なりの哲学や法則としてじっくり練り上げていき、それをまた吟味した言葉で表現していくときかも知れません。
思考し、言葉で表す。
それはわたしたちが自分の内側で、瞬きする間も惜しむように、自分の隅々まで向き合い、嘘偽りのない真のこころで紡ぎ出す行為。
それを自分にする者はまた、他者のそれを見出し、尊重することができるでしょう。
そうすることで、わたしたちは相互に尊重しあい、また相互に創り合うことができるようになります。
これはわたしたちにとって、古いパターンの世界からの分離のはじまり。
個々が自分らしさを発露させて、互いにそれを受け容れ合い、そして共に実践して生きる、水瓶座時代のあるべき姿の顕現です。
■新しい愛と関係がはじまる
わたしたちの内側から、本来のあるべき姿が目醒めようとしています。
さまざまなサインが、身体のあちこちから、心のなかから、現実のそこかしこから、やって来ているかもしれません。
いつもとは違うサインやメッセージにいち早く気づいて、自分らしさとズレている違和感がどこにあるのか、よく見ておきましょう。
わたしのなかをぽたりぽたりと流れ落ちている、経験によって培われた知恵の泉。
実際の世界がどうであったとしても、それはわたしのなかではまぎれもない事実です。
わたしたちは自分の内にあるものを外の世界に見出し、ある一定の法則のなかで生きているに過ぎません。
そのことに気づいたうえで、内側をクリアにクリアに磨きをかけて、余計なものを手放し、外からやって来る流れを信頼して、身をゆだねていきましょう。
過去から続いてきた大きな流れが変わりゆくとき。
新しい法則が生まれようとしているときです。
オリジナルの自分を表現する意志の力と、やって来たものを信頼して柔らかく身をゆだねていく受容の力と。
新しい時代の男性性と女性性の力が本格的に目醒めて、統合されていく初夏の季節です。
新しい愛と関係が、すでに地上のそこかしこで、はじまっています。