
遠い過去から受け継がれてきて、わたしたちがいま、この身体の内に宿している才能と資質。
それらを体験を重ねることで掘り起こし、磨き上げたものを、差し出し、与えることで世界がより豊かになっていくのでしょう。
人の営みの美しさと、もうすでにありあまるほど、地上にあふれている愛に目醒めていく牡牛座の季節です。
■行為にその人の哲学が表れる
今回の新月は牡牛座に太陽・月・水星・金星に上昇宮まで集まっています。
牡牛座は[与えるもの]と関係する星座。
I have 所有するもの、というキーワードを持つ牡牛座は、はじめからたくさんのものを持っていることを表しています。
わたしたちは肉体をもって生まれてくる存在ですが、この身体の内には、世界を生きるために必要なものが最初から備えられているでしょう。
この「すでに持っているもの」を惜しみなく使いこなし、与えていくことで、世界をより美しく豊かにしていくのが牡牛座の質。
世界が豊かになればなるほど、自分の住む場所が豊かで美しくなるのです

わたしたちは多くのものを持ち合わせて生まれてきますが、しかし、この内側に備えられた機能は使わなければ表には出てくることがありません。
多機能のガジェットをすべて使いこなすためには何かしらの目的とちょっとしたコツと反復が必要なように、わたしたちの内にある数多の才能も使うためには意識的に引き出す必要があるのでしょう。
今回の新月は、わたしたちがもうすでにありあまるほど持っている内なる資質を、日常的に歓びと共に育てていくことを示しています。
たっぷりと水をやり、充分に日にあてることで花が咲きほころぶように。
牡牛座は思考する星座で、みずからの体験によって学んでいきます。
たとえば生まれ星座が牡牛座の人は基本的に他者のいうことを信用しませんが、それはあくまでそれが[その人にとっての経験に基づいた話]でしかないからです。
牡牛座は地のエレメントに属する星座ですが、これは他者との境界を引き、決して交わることなく、干渉したりされたりしないことを示しています。
誰かに自宅に侵入されたらギョッとするし、みだりに他人の家に入ることもしないように。
思考と感覚の世界においても、それを貫くのが牡牛座の在り方です。
経験を重ね、そこで得た感覚から、自分なりの思考を練りこみ、独自の思想観をかためていく。
そうすることで、行為に、生き方に、哲学が表れる。
自分のそれを持っている人は、他者のそれを、その行為や在り方から見出すことができます。
同じ行動であっても、決して誰かと同じではない。
その人だけの色。
その人だけの奥行き。
わたしたちの内在する世界と外から受け取るイメージは、誰一人として同じではないから、練りこむほどに、わたしたちは自分だけの輝きを放ち、誰とも違う花を咲かせることになるのでしょう。
■錬金の季節
そのような独自の哲学を伴った在り方が、今期は更にパワーアップして進化するときです。
わたしたちが自分であり続けよう、自分自身を維持しようとするならば、そこには新陳代謝が必要です。
わたしたちが自分であり続けよう、自分自身を維持しようとするならば、そこには新陳代謝が必要です。
細胞が常に生まれ変わっているように。
季節や年齢に合わせて、身体が柔軟に変化しているように。
いまの時代や雰囲気に合わせたやり方で、自分らしさを貫く。
昨日創り出したものは、もう古くなっているかもしれない。
いま、この瞬間の風にはそぐわないかもしれない。
自分の感覚と哲学をもって、いまの時代の風を感じ、新しい瞬間毎に錬金する。
古いやり方に固執せず、思考と感性を止めることなく、内側から進化する。
そうして、わたしたちは日々変遷し、羽化し、変容する。
確固たる信念が内側にあるからこそ、外に対しては柔軟に。
中心からブレることなく、まっすぐに、変わりゆく世界を眺めてみる。
自分が揺れていると、どこが変わったのか見逃してしまうかもしれないし、小さな風の瞬きに気づけないかもしれません。
とても繊細な感覚がひらいて、わたしたちが進化することを助けてくれる時期です。
だからこそ、しっかりと腰をすえて、目を醒まし、思考をクリアに、感覚をひらいて、自分の内側と外側で起こっていることに気づいていましょう。
両手から黄金を生み出す錬金の春です

「こうありたい」と願っていることを、どんどん現実のなかで創り出していけるときです。
そのために「正直な自分らしさ」をひらいておきましょう。
他者という鏡のなかに、自分の投影しているものを、よく見ることができるときです。
その人を前にしたときに、動かされる感情がなんであれ、そこを見て、受け容れることが正直さのヒントとなるかもしれません。
中心からまっすぐに、ブレることなく、自分とその人とのあいだで行き交っているものを見つめて。
その境界はどうなっているのか、影響がどのようにあるのか、どこにどのように反応しているのか、心がどのように動くのか。
そこに気づいていることが、ヒントとなるでしょう。