愛する人に | ***Walk on the light side

***Walk on the light side

銀河に煌く星たちのように

行ってほしくなかった。
離れたくなかった。

まだまだ、ずっと一緒にいたかった。

一緒にごはんを食べたり
緑の道を歩いたり
陽の当たる庭で語ったり
手をつないで眠ったりしたかった。

だけれども、あなたはあっという間に
いなくなってしまった。

わたしたちをここに残して。
お別れの言葉もいわないで。

だからわたしは見捨てられた子どものように
暗やみのなかで目をこらし
あなたが帰ってくるかも知れないと
奇跡を祈る。

天に声が届かなくても。
地に声が響かなくても。

わたしは待っている。

あなたが帰るのを
ずっと待っている。



本当は行きたくなかった。
まだまだ、ずっと、ここにいたかった。

わたしを名を呼ぶ、あなたの声。

東風が運んでくる春の薫り。
きらきらと光がこぼれる夏の海。
黄金の穂が大地を染める秋の夕暮れ。
あなたと過ごす長くて深い冬の夜。

ずっと、あなたと一緒にいたかった。
ずっと、一緒にいられると思っていた。

わたしは行かなくてはならない。
あなたを置いて。

わたしは行かなくてはならない。
美しい土地を離れて。

わたしは還る。

魂は天へ、肉体は星へ。

わたしは失われ
わたしは消えてゆく。

だけれども、忘れないで。

わたしはあなたを見ている。
ずっとずっと、見ている。

素粒子のかけらとなっても
あなたをずっと憶えている。