アズサはよく私に話掛けてきた。
私は別に面白い事も言わないのに、何が楽しいんだろうと不思議に思っていた。
今思えば、いつも一人の私を見て可哀想に思ったのかもしれない。
もしそうだとすれば、その時のひねくれた私はその気持ちを知った途端、話すのを止めただろう。
私はまた一人でMDを聴きながら窓の外を眺めていた。
またビートルズを聴きながら。
すると意外な人達が私に話掛けてきた。
アリサとアヤだ。
この2人がグループから離れて別行動をとってるのは珍しい事だった。
面倒くさそうに私はMDのイヤホンを片方外した。
私はまたアイやミキに命令されて呼び出して来いとでも言われたのかと思っていた。
でもアイやミキが近くに見当たらない。
むしろアリサとアヤはグループの目を避けているように辺りをキョロキョロ見渡した。
アリサが口を開いた。
「今までの事で傷ついてたらごめんね。」
一瞬言っている意味が分からなかった。
アヤが続けて言った。
「ごめんなさい。」
私は何も言えなかった。
何か口にしたら、涙をこらえられないと思った。
2人はアイやミキ達がベランダに出るのを見て、慌てて「あ、待って」と言って後を追った。
いろんな思いが込み上げてきた。
近くにいたアズサが何かを察して『大丈夫?』と聞いてきた。
私は初めてアズサの質問に答えなかった。
私は黙って廊下に出た。
トイレに入って一人で声を殺して泣いた。
信じられない量の涙が溢れてきた。
『今更謝ってきたってもう遅すぎる』『結局アイやミキに逆らう事なんて出来ないんじゃない』『私の気持ちなんてなんにも知らないクセに』
どんなに2人を責めたって、涙を止める事が出来なかった。
どうにも説明のつかない涙がある。
どうにも説明がつかないから、こらえようとして自分に何を言い聞かせたところで、涙には逆らえない。
LIFE×××