天官賜福は、お話の中の伏線も面白くて考察しがいがあって、まだまだ書き足りないのですが、今日は少し別の視点で書いてみたいと思います。

花城はなぜ城壁から落ちたのか?

花城が子供の時に城の壁から落ちて、それを謝憐が救ったことで全ての物語が始まるのですが、それではなぜ花城が城の上にいたのか、気になった方はいませんか?作者である墨香銅臭さんが明かしている部分を見ていきたいと思います。

花城は生まれつき右目が赤い瞳だったことから、子供の頃から不吉として周りから忌み嫌われていました。嫌がらせを受けたり、いじめられたり、叩かれたりすることは日常茶飯事でしたが、ある日いじめられすぎて「もう無理!自殺してやる!」と思ったんですね。

 

でも、普通に自殺するわけではなく、もうすぐ「祭天遊」という国の繁栄を願う一大イベントがあり、この日にもし何か大きな事故が起こって「祭天遊」が中断すれば、国の命運も最悪になるだろうと思って、この日を狙って決行しようとしたんです。

 

「自分は不幸だから、もう国ごと巻き添えにしたい」の精神ですよね。(謝憐は若い頃「万人を救いたい」という思いを持っていましたが、幼い頃から周りに忌み嫌われいじめられてきた花城にとって「万人」なんて大嫌いだったはずです)

 

それで当日、一番高い城の壁の上によじ登ったわけですが、謝憐が扮する「悅神武者」を一目見たらあまりの美しさに呆気に取られて、自殺することなんて忘れてしまったんですね。もう少しよく見てみたい、近くで見てみたいと思うあまり落ちてしまった、とのことです。

花城はなぜ謝憐が好きになったのか?

花城にとって周りからいじめられすぎて絶望して ’’死にたい’’ ’’周りもみんな不幸になればいい’’ と思ったタイミングで謝憐に救われました。

 

周りは、祭を中断したら国運が危ういぞ、と思っている中で、謝憐だけが ’’子供の命を救うことは祭なんかよりよっぽど大事だし、間違ったことをしたと思わない。’’ という姿勢を崩しませんでした。

 

花城は城から落ちたところを救われましたが、何よりも「心」を救われた方が大きいのではないかと思います。花城にとって、生きているということだけで差別を受け、いじめを受けていたのに、謝憐は初めて自分の存在自体を肯定してくれた人だったのです。

 

その後も花城は生きることが辛すぎて「何のために生きたらいいか分からない」と言った際に、謝憐だけが「私のために生きなさい」と道を示してくれました。絶望の淵にいる人にとっては、それだけで十分な理由だったはずです。

 

謝憐にとって花城を救うことは特別なことではなく、いつもしている人助けの一部なのですが、人生の全てが辛すぎる花城からすると謝憐は「生きる意味をくれた人」なのです。なので、もう好きとか通り越して、花城にとっては自分自身の存在意義なんだと思います。

 

(風信は謝憐を’’完璧視’’していたので、謝憐が逆境の中で盗みを働いたり、汚い言葉が口から出るようになると失望してそばを離れますが、花城にとっては「謝憐その人自身」が生きる理由だし、鬼になってでもそばにいたい理由なので、どんな謝憐でも受け入れられるし、謝憐の味方でいると思います)

 

花城のルーツ

花城の父親は仙楽人で、母親は邪悪な気をまとった異族の美人という設定です。(ということはハーフっぽい顔立ちなのかな?照れ

花城の設定上、銀蝶、赤い傘、服飾などはいろんな少数民族の要素を取り入れているそうです。(作者の墨香銅臭は、具体的にどの民族かの明記は避けていますが「苗族」ではないか?と言われています。)

 

「苗族」では蝶の図案が気に入られていて、服などによく使われているほか、お嫁に行く時に兄弟が見送り、花嫁に赤い傘を差すそうです。与君山でも花城は謝憐に傘をさしていました照れロマンチックですよね。

 

ハーフの顔立ちで異国情緒まとう花城、きっとかっこいいんだろうな。大好き過ぎてため息しか出ない笑い泣き