稀代の経営者が通じ合った真理 | お金と心を動かす会話術 | 浅川智仁
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「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わんとあきまへんなあ」
(松下幸之助;『生き方』《稲盛和夫著》より引用)
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経営の神様と呼ばれた松下幸之助からの一言をご紹介します。
この言葉は、稲盛和夫氏の著書『生き方』から引用させていただきました。
今から40年以上も前、まだ松下幸之助がそれほど有名な経営者ではなかった頃、なんと稲盛氏は、その講演を聴く機会に恵まれたようです。
その際、松下幸之助は、景気の良い時にこそ悪い時に備えて蓄えをするという、有名な「ダム式経営」の話をされたようですが、何百人も集まった中小企業の経営者には不評だったようで、案の定、質疑応答の際に、一人の男性から不満をぶつけられました。
「我々が聞きたいのはそんな当たり前の話ではなく、どうしたらそのダムがつくれるのかだ!」
この質問に対する答えが、今日ご紹介した冒頭の言葉です。
失笑と失望が広がる会場内で、稲盛氏は一人「体に電流が走るような衝撃」を受け、「重要な真理」を突き付けられたと述懐しています。
多くの人が何かを行う際、「どうしたら?」という方法論に終始し、見つからないと諦めてしまいます。
一方、成功者と呼ばれる人たちは、この方法論よりもまず、結果を信じきります。
興味深いことに、『道順は分からないけど、達成できる』と無条件に結果を信じてしまうわけです。
「ダムをどう造るのか」を最初に考えた大多数と、「ダムを造ると決めること」を最初に考えた稀代の経営者二人。
この対比は非常に示唆に富んだ教訓として、私が大好きな逸話です。
心の持ち方や求めるものが、そのまま人生を現実に形作っていくという真理。
まずは「こうありたい」、「こうあるべきだ」を誰よりも強く、そして呆れられるほど熱意を持って願うことから全ては展開していきます。
~人生はデザインするもの~
ライフデザインパートナーズ株式会社
代表取締役 浅川 智仁