電池
植え込み式
・リチウム電池
・特徴:軽い、小さい、容量が大きい、端子電圧が大きい、自己放電が小さい
・電池寿命:使用状況で異なるが、通常は6~7年、自発の心電図が多いケースではその分のペーシングに費やされるエネルギーが少なく済むので10数年もつこともある
・1100℃前後でリチウムは気体になる→火葬すると爆発
体外式
・9Vアルカリ電池
・本体とリードの一部が体外にある
・2~3週間の短い期間ペーシングすることが目的
ペースメーカの種類
固定レート型ペースメーカ
・患者の自発心拍の有無に関わらず、固定(設定)されたレートで刺激パルスを出す方式
・刺激がT波に乗る(競合調律)と心室細動を生じる危険がある
デマンド型ペースメーカ
・競合調律を回避する機能を備えたペースメーカ
・心電図検出回路と心電図アンプを内蔵し、自発心電図を監視している
抑制型デマンドペースメーカ
・自発心拍があれば出力せず(抑制)、自発心拍がないときのみ心筋を刺激する
・電池の消耗が抑えられる
同期型デマンドペースメーカ
・自発心拍があれば心電図上の絶対不応期にあわせて出力し(同期)、さらに自発心拍がない時のみ心筋を刺激する
プログラマブルペースメーカ
・ペーシングレートを変更できるペースメーカ
・植え込み式:電磁パルス(電磁結合)などにより体外から無線方式で信号を送り、ペーシングレートを変える
*体外式はつまみよって設定が容易に可能なので、プログラマブルペースメーカと言える。
マルチプログラマブルペースメーカ
・植え込み式でペーシングレート以外にパルス振幅、パルス幅、デマンド感度なども変更できるペースメーカ
*マルチプログラマブルペースメーカは通常のマルチプログラマブルペースメーカと一緒に取り扱われることが多い
生理的ペースメーカ
・心房心室ペースメーカ・デュアルチャンバペースメーカともいう
・心臓の動きをより通常の動きと同じようにコントロールするペースメーカ
例1心房同期型
・房室ブロックにより心房は正常、心室は除脈
↓
・固定レート型、デマンド型だったら
↓
・心室の拍動数は一定に保たれるが、心房と心室の動きは無関係
↓
・治療効果は得られるが、心拍出量は若干減る
↓
・非生理的拍出
・生理的ペースメーカなら
↓
・心房に電位検出機能(心電図検出)
↓
・生理的な心拍数を回復
↓
・身体の需要(運動、発熱、精神興奮など)に応じてペーシンググレートも変化
例2 洞不全症候群(sss・洞性徐脈)
・設定されたルートで心房を刺激
↓
・心房心室間の拍動を一定に保てる。しかし
↓
・将来的に房室伝導機能に若干の不安が残る
↓
・心室もペーシング
↓
・将来も生理的状況を維持する
レートレスポンス型ペースメーカ(レート応答型ペースメーカ)
・洞性徐脈の場合は運動しても自発P波が増えない。このような場合に体の状態を感知して心拍数をコントロールするペースメーカ
制御要素
・体動感知型(筋肉の振動)
・呼吸数・一回換気量感知型(胸郭インピーダンス)
・QT間隔感知型(心電図のQT間隔)
・体温感知型感知型(右室内静脈温)
ICHDコード
・ペーシングモードを簡単に表現するためのコード
・第1文字(刺激部位・ペーシング部位)
A:心房 V:心室 D心房・心室
・第2文字(検出部位・センシング部位)
A:心房 V:心室 D心房・心室 O:なし
・第3文字(応答様式・制御方式)
T:同期型・トリガ I:抑制
D:抑制・トリガ O:なし
・第4文字(プログラム機能)
R:心拍数対応
AAIペースメーカ
・ペーシング(刺激):心房
・センシング(検出):心房
・AAI型はAOOの機能を持つ
・P波を検出すると刺激を抑制する
・リード線は1本
VVIペースメーカ
・ペーシング(刺激):心室
・センシング(検出):心室
・VVI型はAOOの機能をもつ
・R波を検出すると刺激を抑制する
・リード線は1本
DDDペースメーカ
・ペーシング(刺激):心房、心室単独、または心房、心室を順次刺激
・センシング(検出):自発P波、R波を感知
・第3文字がDの場合は制御と抑制が同時に働くわけではなく心房同期と心室抑制で働く
取り付け方法
・右または左の胸部を切開
↓
・ペースメーカ本体を入れるポケットを作製
↓
・鎖骨下静脈より植え込み式ペースメーカ用カテーテル電極を挿入
↓
・X線透視下で適切と思われる位置に電極を留置
↓
・(心室ペーシングなら右心室心尖部に固定するのが一般)
↓
・ペースメーカアナライザでペーシング闘値、心筋抵抗値、心内電位等を測定
↓
・適切ならペーシングリードの端子に本体を接続
↓
・退院後も定期的に通院
↓
・ペースメーカプログラマで植え込み後も設定変更が可能
体外式
・体外式ペースメーカ用電極を経静脈的に挿入
↓
・適切と思われる位置に電極を留置
↓
・体外式ペースメーカの電極端子に電極をプラス・マイナス間違えないように接続
↓
・ペーシングレートを高く設定、十分大きな出力(5mA程度)でペーシング開始
↓
・確実にペーシングされていることを確認
↓
・出力を徐々に小さくする
↓
・ついにペーシングされなくなる点を見つける
↓
・その直前の値がペーシング闘値(1mA以下)
↓
・ペーシング闘値より3倍程度以上にペースメーカ出力を設定
点検
・植え込み式:ペースメーカアナライザやペースメーカテスターを用いて行う
・体外式:ペースメーカアナライザやオシロスコープを用いて行う
測定項目
オシロスコープ
・ペーシングレート
・出力電圧
・パルス幅
・出力波形
ペースメーカアナライザ
・パルス幅
・ペーシング出力(出力電圧・出力電流)
・パルスレート
・デマンド感度
ペーシング出力
・ペースメーカには定電圧型・定電流型がある
・定電圧型:負荷抵抗の大きさによらず一定の電圧出力が可能
0,1~10V 1V以下が望ましい
・定電流型:負荷抵抗の大きさによらず一定の電流出力が可能
0,1~20mA 1mA以下が望ましい
・電圧測定の場合はオシロスコープにより振幅値を読み取り、電流測定の場合は測定した電圧値をオームの法則で求める
・オームの法則 V=IR
・500Ωの負荷抵抗で10mAの場合、出力電圧は
500Ω×10mA=5.0V
デマンド感度
・デマンド感度とは何mAの自発心電図でデマンド機構が作動するかを示す感度のこと
・感度を0.1mVに設定(デマンド感度最大、最も鋭くする)、自発心電図のR波が1.0mV以上の電位があれば検出する
・デマンド感度を最小に設定(最も鈍くする)と自発心電図を検出できずペースメーカは固定レートのペーシングをするようになる
・デマンド感度:1.0~8.0mV
点検方法
ペースメーカアナライザを使用
・信号発生器・点検用チェッカ・点検者の心電図をしよう(信号があればいい)
↓
・信号をペースメーカに入力
↓
・デマンド感度最高!
↓
・心電図のR波に同期して本体のセンシング用メータが振れるかランプが点灯するか確認
↓
・心電図R波が1.0mVの電位で正しくセンシングできれば正常
↓
・実際には1~3mV程度で使用している
波形
・定電圧型:微分波形(片屋根型)
・定電流型:矩形波(くけいは)
・ペースメーカの出力回路にはコンデンサが挿入されている
負荷抵抗
・メーカー指定
・500Ωの抵抗
出力エネルギー
・出力電圧5V、パルス幅1ms、負荷抵抗500Ωでは
V(2乗)/抵抗×時間=50μJ
マグネットレートパルス
・ペースメーカ植え込み部位と直上でマグネットを体外から当てるとデマンド機構が働かず固定レートになるようになっている。固定レートになると、基本レート+15パルス程度になるように設計されている
X線検査
*異常が確認できるもの
・電極移動
・リード線断線
・右室穿孔
・リード線皮膜破損
禁忌治療・検査
・ペースメーカは外部からの電磁波、磁気、電流などにより動作不良を起こすことがある
・電気メス:電磁波がデマンド機構に働き、電磁波を自発R波と誤解してペーシングパルスを出力しない恐れがある(偽抑制)→使用を避ける→使用する場合は固定レートに変更
・除細動器:使用可能、ただし体外式はリード線を本体からはずす
・使用できない:MRI、低周波治療器、ハイパーサーミア
・使用可能:X線CT、ポジトロンCT、X線機器、超音波診断装置、心電図モニター
外部電界の影響
・影響あるもの:携帯電話、電磁調理器、空港の金属探知システム、電磁式万引き防止監視システム、磁気治療器、全自動麻雀卓
・影響無し:電子レンジ、電気毛布、電気コタツ
注意事項
・ペースメーカ電極を介して心内心電図を測定するときはCF型装着部心電計を使用
・刺激電極リードを使うときは必ずゴム手袋装着
・体外式のパネル保護カバーは常に閉めておく