横浜読書百貨展2016 | 図書館利用促進プロジェクト横浜・鎌倉版

図書館利用促進プロジェクト横浜・鎌倉版

永遠に残していかなければならない人類の知的所産「図書」。
さまざまな図書が集積する「図書館」のあり方が
近年、著しく変貌を遂げています。
図書館の魅力を再発見!
それが「図書館利用促進プロジェクト」の狙いです。

2016年11月23日(祝・水)。横浜市開港記念会館で開催された「横浜読書百貨展―横浜市読書活動推進ネットワークフォーラム―」(横浜市教育委員会主催)に行ってきました。

横浜市は11月を「市民の読書活動推進月間」と定め、読書活動の推進を図っています。

その一番大きなイベントである横浜読書百貨展は、「読む・知る・つながる~読書との出会い~」 と題して横浜市立図書館はじめ、読書活動の取り組みの紹介、ワークショップ、ビブリオバトル、読書活動団体や学校司書の活動紹介パネル展…等、読書を楽しむきっかけや実際の活動を知るイベントです。

 

会場の横浜市開港記念会館は、大正6(1917)年に横浜開港50周年を記念して市民の寄付金により創られた建物。平成29年7月1日には開館100周年を迎えます。寒々しい曇り空の下ながら、黄金色の銀杏並木続く横浜の美しい地区に読書好きが集まりました。

                             

                     入口正面の総合案内

 

1号室は絵本の紹介コーナー「誰でも楽しめる絵本の世界」と、まちライブラリー体験コーナー。まちライブラリー体験コーナーでは、各自が持ち寄った本について語り合う「植本祭」体験会やまちライブラリーの仕組みや作り方の紹介もありました。

              

             「まちライブラリー」提唱者礒井純充氏(前列中央)を囲んで

植本祭で持ち寄った本の紹介のあとも、まちライブラリーの実践者と作りたい人との交流もあり、それぞれのグループでトークが盛り上がっていました。

          

 

午後にはマイクロライブラリーサミットとして、礒井氏の講演に続き、実際にライブラリーを運営している方々の発表が行われました。ライブラリーを始めたきっかけやそれぞれの運営の仕方など、興味深いお話でした。  

                              

                          

 

2号室の前には中高生を中心に文豪好き?の若者の列が…。人気漫画「文豪ストレイドッグス」とのコラボ企画「文豪本に親しもう!」と館内をめぐる文豪クイズが開催されていました。

実際この漫画をきっかけに高校生の娘さんが文豪本を読むようになったとの親御さんの声も聞かれ、漫画の影響力を実感させられました。

 

 

3~5号室は展示コーナー。主に横浜市内の読書活動団体と学校司書の活動を紹介するパネルが展示されていました。身近なところで読書に関わる活動をしている多くの人の存在を知ることができます。 

                       

       NPO法人名著セミナー 専務理事の村上正さん  この活動から派生した読書会グループの展示も

NPO法人名著セミナーは2001年に開催された横浜市立大学での市民参加の講義グレートブックス・セミナーがその前身という読書会。毎月第2土曜日に横浜市中央図書館で開催しています。

 

 

          

左からよこはまライブラリーフレンド代表 依田和子さん、外国人学校の子どもたちの絵画展実行委員会代表 丸谷士都子さん(特定非営利活動法人地球の木理事長)、同実行委員会事務局長 加藤佳代さん(県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)外国人教育相談コーディネーター)

よこはまライブラリーフレンドは、図書館と市民がともにあることを願って活動を続け、昨年20周年を迎えた団体です。図書館職員と交流しながら、市民が図書館でできることを探り、実行してきています。

外国人学校の子どもたちの絵画展実行委員会は、絵を通じた多文化理解と図書館に親しみを感じてもらうことを願って2013年から中央図書館にて展示を始めました。

本に親しむこと、図書館に人が集うことを願って活動する依田さん、丸谷さん、加藤さんは、それぞれに長く活動を共にしてきたとか。お互いの活動を理解し協力し合う姿は、まさに本を介して人がつながる様子といえますね。

 

こうした展示によって、読書に関わる活動をしている市民の活躍が広く知られ、関心のある人に情報がわかりやすく届く機会が増えることは読書推進の基本かもしれません。

 

 

5号室では学校司書活動紹介パネルを展示。横浜市では平成 25 年度から 28 年度の4年間で、市立小・中・特 別支援学校全校に「学校司書」を設置。それぞれの活動の様子が展示されていました。

6・7号室では市内の区から推薦された代表者たちがアツく戦うビブリオバトル@横浜読書百貨展のほか、ビブリオバトルに関する情報や体験講座、絵本カバーを使った手提げバック作りのワークショップなど、参加型の催しが行われていました。

ビブリオバトル@横浜読書百貨展では、バトラーの応援団はもちろん区の予選で惜しくも敗れたライバルも応援に駆け付けるなど、盛り上がりを見せていました。

 

また、1号室の企画展示「誰でも楽しめる絵本の世界」のほか、おはなしの広場での活動団体による読み聞かせやブックトーク講座、講堂での16㎜フィルム上映会(アニメーションの上映)などなど絵本の魅力を伝えるコーナーも多数あり、幅広い年齢層への読書との出会いが用意されていた印象です。

 

横浜読書百貨展は午後4時で終了。多様な側面から横浜市民の読書活動の現状、促進、新たな取り組みを垣間見ることができた一日となりました。

暮れゆく秋の空と美しい銀杏並木の夜景も満喫。

横浜市図書館おすすめの絵本、ビブリオバトルで紹介された本、漫画の登場人物のモデルになっている文豪の本・・・あらたに読みたい本が増え、読書の楽しい季節は続きます。

 

 

取材_安木由美子