言葉を紡ぐ #23.忘れられない夏が今、始まる。 | 太陽のように高く、そして、優しく

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小説書いてます。読んでばっかりで書いたことは無いですが、頑張ってます!! 下手ですが、よかったら読んでってください。

 8時30分。


 9時始業の俺の会社に、続々と社員が出勤してくる。


 俺はいつもは車で出勤するが、今日は電車で来た。


 もしかしたら、裕歌ちゃんに会えるかもしれないと思ったからだ。


 けれども、彼女には会えなかった。



 今日使う、メインの会議室に入ると、半分くらいのスタッフが集まっていた。


 近くにいた陽子さんに声をかけてみる。


 「陽子さん、裕歌ちゃんはまだ来てないの?」


 「社長、おはようございます。

 裕歌ちゃんなら、20分くらい前に来てると思いますよ。今はビルをぐるぐる回ってるはずですよ。

 昨日スカイさんに案内してもらった場所をもう1回確認してくるって、メモ残してますから。」


 「20分前!? 若い人は行動が早いね。」


 そう言って自分の席に着こうと思ったら、陽子さんに引き留められた。


 「そういえば、社長。裕歌ちゃんの言う『スカイさん』って、もしかして社長のことですか?」


 「良い名前だろ。彼女がつけてくれたんだ。

 彼女の好きな作家の作品に出てくる、空井っていう名前の奴のあだ名が『スカイ』っていうらしい。」


 「そうですか。まあ、私は『社長』って呼ばせていただきますよ。」


 陽子さんは作業をしながら、ふっと俺のほうを見て静かに笑った。


 そして、別室に忘れ物をしたのか、陽子さんは部屋を出て行った。



 8時50分。


 会議室に裕歌ちゃんが戻ってきた。


 彼女は、すれ違ったり目が合ったスタッフにお辞儀をしながら、自分の席に着いた。


 20分経ってほとんど集まったスタッフの視線が彼女に集まる。


 仕方がないといえば仕方がないことだ。彼女の事情はいろいろと複雑だ。


 彼女はパソコンをカタカタ打って、隣の席の陽子さんと打ち合わせをしているようだった。


 それが終わると、しきりに羽織っているシャツの右端のほうを気にしている。


 

 9時。


 夢人が座る5席を残して、会議室は満席になった。


 「起立!」


 俺が少し強めで号令をかけた。


 そして、一息入れてから、ふっと笑って言った。


 「みなさん、おはようございます。

 今から、夢人10周年記念アルバム制作、初の合同制作会議を始めます。よろしくお願いします。」


 すると、スタッフ全員が、「よろしくお願いします。」を息ぴったりに言い、深く一礼した。

 


 1か月間、ここでどんなことが起こるのだろう。


 裕歌はどんなことをしてくれるのだろう。


 そんなことを考えるだけで、楽しくなった。