そして、放課後。
文化祭の準備で忙しくしている教室で、私は佐藤みなみを待っていた。
彼女は、終わりのショートホームルーム(SHR)が終わると急いでどこかへ行ってしまった。
まさか忘れているわけではないだろうと思いながら、帰るか待つか迷っていると、みなみがやってきた。
「裕歌ちゃん、お待たせ。
ここじゃ、ちょっとうるさいから、別の所で話そう。」
そう言った彼女は、私が返事をする前に、私の腕をつかんだ。
3階にある教室を出て、外階段を駆け下りて行く。
気を抜いていたら、足がもつれて、階段を踏み外してしまいそうだ。
そのまま訳も分からず1階まで行って、連れて来られた先は誰もいないテニスコートだった。
昨日しっかり雨が降ったからか、砂の地面はまだ湿っていた。
上靴のままだから汚れるのは嫌だな、と思っていても、彼女はそんなのお構いなしだった。
よく見ると彼女は運動靴に履き替えていた。
いつ!?って考えたら、階段を降り切った後、履き替えていたような気がする。
テニスコートに入って、やっと手を放してもらえたと思ったら、両手で思いっきり肩を押されて、私は後ろへ倒れてしりもちをついた。
顔を上げると、さっきまでいるはずのなかったみなみの友達集団が、私を囲んでいた。
見渡すと、みんな、私に恨みでもあるような恐い顔をしている。
そして、その表情を変えないまま、みなみが言った。
「あんた、夢人のアルバム作ってるって、ホント?」