はじめに
みなさん、こんにちは。本野鳥子です。今回は、小野不由美さんの「ゴーストハント」1巻についてです。角川文庫で文庫化されたばかりの新刊ですね。今まで読んだことがなかったので、とても楽しみにしています。それでは、小野不由美さんが書く、背筋の寒くなるようなホラーの世界に、さあ参りましょう。
「ゴーストハント 1 旧校舎怪談」小野不由美(角川文庫)
高校一年生の谷山麻衣は、祟りがあると目されている旧校舎の中に設置されていた、高額なカメラを壊してしまった。実はそのカメラは、渋谷サイキックリサーチという、心霊現象を調査する事務所の備品だという。所長を名乗る渋谷一也に、賠償代わりにこき使われることになった麻衣。いったい旧校舎には、どんな謎が隠されているのか……。
親しみやすい、話し言葉の文体で、とても読みやすかった。なんだか見たことある感じの文体だなあと思ったら、荻原規子さんの「これは王国のかぎ」「樹上のゆりかご」もこんな感じなのだ。考えてみれば、主人公の年頃も同じくらいで、書かれた時期もさして変わらないだろう。似た雰囲気を感じて当然かもしれない。物語は骨太なのに読みやすいという、実力がなければ両立しえない二つが、共存していることに、感嘆した。
それからもう一つ、荻原規子さんの作品と似たものを感じた。それは、超能力の受け止め方だ。かつては神力などと思われていたそれを、現代の科学の中に定義しなおす、という設定は、実は私の好みなのかもしれない。「レッドデータガール」がまさにそのような設定なのだ。今まであまり荻原規子さんと小野不由美さんの共通点に気づいたことはなかったが、この「ゴーストハント」は、かなり荻原規子さんんと似たものを感じた。
小野不由美さんのホラーは、「屍鬼」と「営繕かるかや怪異譚」の二つしか今まで読んだことがなかったが、その二つと比べても恐怖は劣らない。迫真に迫る描写は、文字を読んでいるとは思えぬほどで、物語の中で何かが起こると、私までびくっと身が震え、鳥肌が立った。
あるいは私が怯えすぎなのだろうか。「屍鬼」はともかく、「営繕かるかや怪異譚」の一巻で、雨の日に訪れてくる女はもはやトラウマである。それに比肩する恐怖が、いつ来るかいつ来るか、と怯えてばかりいるせいかもしれないが、本当に文章から伝わってくるとは思えぬ恐怖だった。
最近は、ずっと歴史ものを読んでいたので、一気読みするような作品からは離れていた。歴史ものだと、結末は全部分かっているので、ここまで物語にのめり込まないのだ。忘れていたこの感覚に、またどはまりした。
本当は、角川文庫で全てが出版されるまで待とうと思っていたのだが、二巻を買った帰りに図書館に寄ったところ、単行本が全巻揃っていて借りずにはいられなかった。続きが気になって、待ちきれない!
おわりに
というわけで、「ゴーストハント」一巻でした。書いた文章からも興奮が伝わってきていたら幸いです。本文中でも申し上げた通り、しばらくは「ゴーストハント」を読み進めていきたいと思います。それではまたお会いしましょう。最後までご覧くださり、ありがとうございました!