こちら↑の記事に引き続いて、2024年ニュージーランド児童及びYA図書賞のショートリストをご紹介します。

ノンフィクション対象のエルシー・ロック賞の今年のショートリストは以下の通りです。


Patu: The New Zealand Wars
by Gavin Bishop


1845年から1872年にかけてイギリス人入植者とマオリの間で起きたニュージーランド戦争(マオリ戦争)を描いた歴史ノンフィクション絵本。児童書「ヘビとトカゲ きょうからともだち」のイラストレーター・ガヴィン・ビショップによるソロ作品。「Atua: Māori Gods and Heroes」(未訳)という作品で2022年のこの賞を受賞している作家です。

絵本ですが対象年齢が高そうな作品で、たぶんYA以上向けです。

 

 



The Observologist: A Handbook for Mounting Very Small Scientific Expeditions
by Giselle Clarkson


観察学(オブザーヴォロジー)は見ることの学問だ。観察学者は科学的な探索を行い、ものすごくささいなものを毎日見る。彼らは身の回りの世界の面白い細部に目を止める。彼らは小さな生物を、植物を、菌類を発見するプロだ。
彼らは水中で暮らす巻貝が逆さになって移動するのを知っているし、羽根のないハエがいることも知っているし、地虫に毛皮があるのも知っているし、蝶が脚で味覚を感じるのも知っている。

挿絵と手書き文字で観察学の魅力を伝えるサイエンス絵本。ニュージーランドのコミックアーティスト・ジゼル・クラークソン(Giselle Clarkson)の作品。

 

 



Tuatara: A Living Treasure
by Katie Furze, Ned Barraud (Illustrations)


トゥアタラ(ムカシトカゲ)は古代の驚異で野生の宝、そして生き延びたる者だ。ドラゴンの赤ちゃんのような姿で、大昔の時代を生き抜いた彼らは、時に生きる驚異と呼ばれる。彼らともっとも近接の種たちは60万年前の恐竜時代に絶滅してしまっているのだから。

ニュージーランドの一部地域にだけ生息する希少種の大型爬虫類ムカシトカゲ(トゥアタラ)を描いたサイエンス絵本。ニュージーランドの児童書作家ケイティ・ファーズ(Katie Furze)の作品。この本は日本Amazonにありません。著者のHPを貼っておきます。

 

 



Ultrawild: An Audacious Plan to Rewild Every City on Earth
by Steve Mushin


ニュージーランドで活動するスコットランド出身のインダストリアルデザイナーで発明家スティーヴ・ムシン(Steve Mushin)が気候変動を食い止めるための発明や都市デザインを描いたグラフィックノベル作品。
中身見た方がわかりやすと思うので、著者の公式HPを貼っておきます。一部この絵本の中身と思われるものも見られます。なんかすごい。

 

 

アーティスト(芸術家)としても活動している人で、日本で個展をやったこともあるし今年の横浜トリエンナーレにも参加していたみたいです。

 

 



Wot Knot You Got: Mophead’s Guide to Life
by Selina Tusitala Marsh


「家でも学校でもあらゆる場所で何もかもが正しくないとき、あなたはどうする?」「みんなに嫌われてしまったときは?」「自分で考えたアイディアがまるでだめなときは?」「父さんをハグするには?」
ある朝セリーナはねじれてこんがらがってぐちゃぐちゃに絡まった問題を抱えて目が覚めた。問題はすべての人とあらゆるものを支配する。仕事、子ども、人生。このぐちゃぐちゃの塊からどうやって抜け出したらいい?

問題を抱える人たちに向けたセルフヘルプ本のようです。「Mophead」(未訳)という作品で2020年のこの部門を受賞している、サモアとツバルなどにルーツを持つニュージーランドの詩人セリーナ・ツシタラ・マシュ(Selina Tusitala Marsh)の作品。

 


以上です。