こちら↑の記事に引き続いて、2024年 ミソピーイク賞の最終候補をご紹介します。


児童書部門の最終候補は以下の通り。



Deephaven (Deephaven #1)
by Ethan M. Aldridge


グィネヴィア(ネヴ)・タロウはディープヘブン寄宿学校からの入学許可を受け取り、これが待ち望んでいた新たなスタートになると思った。
でも到着した瞬間からそこは奇妙だった。校舎は呼吸をしているようだし、生徒たちは暗い回廊で秘密をささやき合っている。そして東棟は完全に閉鎖されていて、誰もその理由を話そうとしない。ネヴ自身も、ボロボロの何かに回廊でつきまとわれ、壁を引っ掻いて自由になりたいと静かに泣く何者かの声を聞いた。ネヴは他の1年生の生徒と協力して、ディープヘブンの秘密を解き明かそうとするが…。

アメリカの児童書作家でイラストレーター・イーサン・M・アルドリッジ(Ethan M. Aldridge)によるゴシックミステリ&ホラー。シリーズ1作目。挿絵も著者が担当しています。主人公のネヴはノンバイナリー設定かな。

 

 



Just a Pinch of Magic 
by Alechia Dow


ウィニの一家は小さなパン屋を経営する魔法使い。でも魔法食材の高騰で経営難に。家業を救いたいウィニは危険を冒して、いちばん足りない魔法食材「愛」を集める(若干非合法な)魔法を使ったが、うまく発動しなかった。
やがてウィニは、魔法が発動しなかったのではなく、逆噴射したのだと気がついた。今や町全体が危機に陥り、魔法局は厄介な魔法を使ったのが誰かを探し回っている。


ドイツ在住のYA作家アレキア・ドウ(Alechia Dow)の初ミドルグレード作品。

 

 



The Moth Keeper
by Kay O'Neill


アーニャはついに蛾の守り人になれた。年に一度だけ夜の百合を咲かせる力を持つ「月の蛾」の守護人だ。村の繁栄にはその花が必要で、自分の価値を証明して仲間たちに行動で感謝を示せる機会が来たことにアーニャはわくわくしていた。でも蛾の守り人になることは、アーニャが思っていたのとは違った。
村から離れた冷たい砂漠の夜にカンテラひとつを持って蛾を守り続けるのはとても孤独で、アーニャは村や蛾を破滅させかねないあることを思いついてしまう。

宮崎駿や「とんがり帽子のアトリエ」のファンにおすすめの、コミュニティと成長をテーマにしたファンタジーグラフィックノベルだそうです。ニュージーランドのグラフィックノベル作家ケイ・オニール(Kay O'Neill)の作品。

 

 



The Lost Library
by Rebecca Stead, Wendy Mass


小さなマーティンヴィルの町に、夜のあいだ現れるようになった不思議なリトル・フリー・ライブラリー(茶トラの巨猫が守ってる)。11歳のエヴァンはそこから2冊の天気の本を持ち出した。それが自分の人生を変えてしまうとも知らずに。
エヴァンと親友レイフは、その古い本は大人たちが誰も語ろうとしない昔の出来事と何か関係していると気がついて、調査をはじめた。その答えが彼らの未来や町を変えてしまうことになる。

図書館にモッフモフの猫ちゃんにかわいいねずみのカバーが最高ですね。自分の真実を持つことと、自分の人生を選ぶことと、良い本(とそれを渡してくれる司書)の持つ力を描いた図書館ファンタジーだそうです。主人公の少年と幽霊司書と猫ちゃんが語り手とのこと。
「マンゴーのいた場所」のウェンディ・マス&「きみに出会うとき」のレベッカ・ステッドの共著。

 

 



Bea Wolf
by Zach Weinersmith, Boulet (Illustrator)


ありふれた郊外の町のどこかに、子どもたちの聖域ツリーハートがある。疲れを知らぬ子どもたちが、遊び、ソーダをこぼし、近づく成長の時を避けながら代々過ごしてきた場所だ。
しかしある日、彼ら勇猛なる戦士たちはこの楽しみが断ち切られることを知った。悪辣非道なる近所の人グリンドルは、その喜びに欠けた大人の生活に陽気な騒ぎ声が漏れ出してくることがもはや耐えがたくなったのだ。
陰鬱の守護者はツリーハートに包囲をしかけ、多くの子どもたちがにきびだらけのティーンや陰気な大人に変えられてしまった。この猛攻を生き延びた者たちは救い主を待ち望んだ。倒れることなく、飽くなきいたずら心を持つ英雄ベアウルフを。

北欧の英雄伝説「ベオウルフ」を田舎のツリーハウスにたむろす悪ガキ軍団と近所のおじさんの戦いの物語としてリテイリングした児童向けグラフィックノベルのようです。
「国境を開こう! 移民の経済と倫理」のザック・ウェイナースミスがストーリーを、フランスのコミック作家ブレ(Boulet)が作画を担当しています。

 

 



The Dark Lord's Daughter
by Patricia C. Wrede


カイラはごく平凡な女の子…と本人は思っている。でもステート・フェア(お祭り)の日に自分が「冥王」の娘だと知らされ、カイラと家族は異世界に飛ばされた。お腹いっぱいなほど魔法があって、科学技術がない世界に。
家族がこの地のファンタジー生物に現実世界のアイテムで立ち向かっている一方で、カイラは備えようもないことに備えなければならない。つまり自分が冥王の後継者「ザラドウィンの闇の娘」であることを受け入れるのだ。カイラは家に帰りたいばっかりなのに、そのためには魔法を学ばなければならない。

ファンタジー世界の悪役の娘を主人公にしたユーモアファンタジーのようです。「魔法の森」シリーズのパトリシア・C・リーデの作品。

 

 



Water Monster duology
(Healer of the Water Monster & Heroes of the Water Monster)
by Brian Young


夏休みをナヴァホ族のリザベーションにあるおばあちゃんのトレーラーハウスで過ごすことになったとき、ネイサンは何もすることがない夏を過ごすことになると思っていた。とはいえおばあちゃんやジェット叔父さんと過ごすのは好きだ。でも、おばあちゃんの家に来たジェット叔父さんは明らかに問題を抱えていた。
ある夜、砂漠の近くで道に迷ってしまったネイサンは、ナヴァホの創世神話に登場する聖獣ウォーターモンスターが助けを求めているのに出くわした。ネイサンはほかの聖獣たちと協力し、ウォーターモンスターと叔父さんを救うと心に決めた。

ナヴァホ族の作家ブライアン・ヤング(Brian Young)のYA作品。2部作セットで最終候補入りです。

 

 

 

 

 

以上です。