Mythopoeic Awards 2024: Finalists announced【Mythopoeic Society】
https://www.mythsoc.org/assets/awards/2024-Finalists-Press-Release.pdf

 

2024年 ミソピーイク賞のショートリストが発表されました。

ミソピーイク賞は、神話創作、ファンタジー、神話文学の研究を目的とした非営利団体「ミソピーイク・ソサエティ」によって選ばれるファンタジーの文学賞。
過去2年のあいだに発表された単品の文学作品、シリーズ作品、またはひとりの作者による短編集が対象で、賞のプロセスは、①ショートリスト(ファイナリスト)発表(5月~6月ごろ)→②受賞作品発表(7月~8月ごろ)の2段階です。


昨年まではこの賞では、YAは作品によって「児童書部門(Children’s Literature)」に入れられたり「一般書部門( Adult  Literature)」に入れられたりしていましたが、今年から「YA部門(Young Adult Literature)」が新設されて、すべてそちらで選考対象になります。


では今年新設のYA部門から。

YA部門ショートリスト作品は以下の通りです。
(このブログではほぼ児童書とYA部門のみのご紹介となりますので、全部門については上のリンク先などをご参照ください)



Unraveller 
by Frances Hardinge
【呪いを解く者/フランシス・ハーディング/児玉敦子訳/東京創元社】


人々の心から生まれた呪いが飛び交う奇妙な国ラディスに暮らす少年ケレンは、それを解く力を持っている唯一の存在。呪いで鳥に変えられてしまったのを元に戻してあげた少女ネトルを相棒に、呪いをかけられた人々を救う呪い解き屋として商売をしている。
そんなふたりの前に謎めいた片目の男ゴールが現れて保護を申し出た。かつて呪いを解かれて施設に送られた「呪い人」の中にケレンを恨んで狙っている者がいるらしい。秘密の多いゴールのことを信用できないながらも受け入れ、ふたりは呪いを解く旅を続けるが、彼らの行く手には巨大な陰謀が…

「嘘の木」、「ガラスの顔」のフランシス・ハーディングの最新作の異世界ファンタジー。すでに東京創元社から邦訳が出ています。
2023年ローカス賞YA部門最終候補作品。2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。現在2024年ロードスター賞最終候補作品。
当ブログにレビューあります。

 

 

 

 

 

 

Once There Was
by Kiyash Monsef


マーヤンが幼い頃、父さんはおとぎ話を聞かせてくれた。狩人の罠からユニコーンを逃がした少女の話に、シャーダル(グリフィン)を助けた遊牧民の少年の話。特別な獣たちの物語は好奇心とわくわくでマーヤンの心を満たしてくれた。
でも彼女はもう子どもじゃない。父さんが急死した後、なんとかすべてに対応しようとしているところだ。そんなある日、驚くような話を携えた訪問者がやってきた。マーヤンの父さんは実はただの獣医ではなかった。あのおとぎ話の生き物たちは実在していて、父さんはその治療のために世界を旅していたのだ。
父さんはもういない。代わりを務めるのは自分だ。

イラン系アメリカ人の新人作家キヤーシュ・モンセフ(Kiyash Monsef)のデビュー作品。
2024年ウィリアム・C・モリス賞最終候補作品。

 

 

 

 

Lion’s Legacy (Tennesee Russo #1)
by L.C. Rosen


17歳のテネシー・ルッソの人生は今爆縮中だ。彼氏には裏切られ、友だちは全員それを知ってる。しかも元彼の新しい恋を受け入れる優しい奴になることをみんなに期待されてる。だから考古学者でリアリティ番組の有名人の父さんと2年ぶりに会って冒険に誘われたとき、テネシーの選択肢はわずかだった。
1・行かない、それで落ち込んで過ごして永久に後悔する
2・行って、父さんと仲直りして、また助手として活動する
3・行って、自分の冒険をする。助手になるのは父さんの方
父さんの今回の冒険で探すのはテーベの神聖隊の指輪。断るにはあまりに魅惑的で、テネシーはギリシャへ旅立つことに。

ゲイのティーン男子を主人公にしたインディ・ジョーンズ風考古学冒険小説のようです。シリーズ1作目。

 

 

 

 

The Goodnight Agency (The Goodnight Agency#1)
by Tyler Tork


両親が刑務所にいる16歳のルビー・パークは親戚の間でアツアツのポテトみたいにポイポイやり取りされた末、変わり者の叔父サイモン・グッドナイトのもとにたどり着いた。
自分を受け入れてくれる最後に残った親族と仲良くやろうと決めたのに、ルビーは叔父さんがしている謎の依頼人との謎の仕事をどうしても探らずにはいられなかった。ただの探偵業?それとも…
ルビーはやがて、叔父さんの依頼人たちは自分で表に出て商売することできない不気味な姿の怪物たちだと知ることになる。

アメリカのYA作家テイラー・トーク(Tyler Tork)の作品。シリーズ1作目。

 

 

 

 

Lies We Sing to the Sea
by Sarah Underwood


イタケー島では毎年春に12人の少女が絞首刑にされる。何百年も前にオデュッセイアを裏切ったとしてその妻ペネローペが絞首刑にした12人の侍女たちの命の代価としてポセイドンから求められている犠牲だ。
でもいざその運命がレトのもとを訪れると、死は彼女が思っていたものとは違っていた。レトは謎の島で再び目覚め、みどりの瞳と海を操る力を持つ少女メラントーに出会い、「ひとりの死によって1000人を死から救える」と告げられた。島の人々全員が溺れ死ぬ運命を変えるために、イタケーの王子を殺す必要があると。

ギリシャ神話をリ・イマジニングした百合&ファンタジー作品のようです。イングランドの新人YA作家サラ・アンダーウッド(Sarah Underwood)のデビュー作品。Archery Picturesで映画化の予定があります。

 

 

 

 

以上です。

児童書部門については明日にでも。