こちら↑の記事に引き続いて、2024年のウォーターストーンズ児童文学賞をご紹介します。


今年のYA部門受賞作品はこちらです。


Thieves' Gambit (Thieves' Gambit #1)
by Kayvion Lewis
【怪盗ギャンビット 若き天才泥棒たち/ケイヴィオン・ルイス/廣瀬麻微訳/KADOKAWA】


ロス・クエストは若干17歳にして盗みのプロ。ことに脱出に関しては凄腕だ。しかし伝説の泥棒一族から抜けるための計画が思わぬ方向へ行ってしまい、母さんの命が危ういバランスの上に浮くことになった。
危険な賭けだが、ロスは「シーヴズ・ギャンビット」に参加することに。世界的な犯罪者たちが参加する危険なイベントで、勝つためには制限なく何をしてもいい。優勝者は世界のあらゆるものを報酬に望める。母さんを救うこともできる

アメリカのYA作家ケイヴィオン・ルイス(Kayvion Lewis)の作品。シリーズ1作目。ライオンズゲートで映画化の予定があります。KADOKAWAから邦訳が出ています。

 

 

 

 

 

この本と賞を争った今年のショートリスト作品は以下の通りです。



Promise Boys 
by Nick Brooks


アーバンプロミス私立校は少年を大人の男に教育することを約束していた。JB、ラモーン、トレイみたいな生徒たちは、一流の「プログラム」による厳しい校則に従うことを強いられる。彼らがきつく叩き込まれるのは、近所のほかの住人たちみたいな人生を過ごさず大学に入るための方法。ムーア学長のこのメソッドが、おそらくいくつもの人生を救うのだ。
でもそのムーア学長が殺され、警官たちがあたりを嗅ぎまわりはじめ、3人の少年は事件の容疑者になってしまった。お互いにお互いの無実を信じ、協力し、彼らは自分たちが逮捕される前に本当の犯人を見つけ出そうとする。

エリート校の非白人(黒人とラテン系)の男子3人を主人公にしたミステリのようです。アンジー・トーマス、ジェイソン・レノルズ、カレン・マクマナスのファンにオススメとのこと。
いくつかのショートフィルムを監督したり、ドラマ「マンダロリアン」にスタッフとして参加しているアメリカの若手映画監督ニック・ブルックス(Nick Brooks)による YA小説。
2023年ボストングローブ・ホーンブック賞フィクションと詩部門オナー作品。

 

 

 

 

What the World Doesn't See
by Mel Darbon


モーディとジェイクの家族はバラバラだ。父さんを失った日から悲しみ続けていた母さんはある夜失踪してしまった。ジェイクが施設に保護されてしまうと、モーディはもう耐えられなかった。それで家族をふたたびひとつにするための荒っぽい計画を立てた。ジェイクを誘拐する。
コーンウェルをふたりで逃げながら、ジェイクとモーディは思いがけないものを見出した。自由と愛だ。ふたりは母さんを探し出していっしょに傷を癒していくことができるのか。

イングランド在住の児童書作家メル・ダーボン(Mel Darbon)の作品。
2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。

 

 

 

 

Girl, Goddess, Queen
by Bea Fitzgerald


数千年前、神々は嘘をついた。ペルセポネがどのように神々の政治の道具になったのか。ハデスがどのようにペルセポネを誘拐して花嫁にしようとしたのか。ペルセポネの母デメテルがどのように取り乱し、地上に死をもたらしたのか。
本当の物語はそれよりずっと面白い。
ペルセポネは地獄へ連れ去られたのではなく、自分で飛び込んだ。妻になる相手よりも自分大好きな神と結婚することから逃れたくて。
それで彼女がするべきなのは、うざいほど色っぽくて傲慢で、正直無礼な冥界の王ハデスを自分の計画に協力するよう説得することだ。その計画はオリンポスの根幹を揺るがすはず。

イングランドの新人ビー・フィッツジェラルド(Bea Fitzgerald)のデビュー作品。ギリシャ神話をリ・イマジニングしたファンタジーのようです。

 

 

 

 

You Think You Know Me 
by Ayaan Mohamud


ハナンは常に良い子で物静かで揉め事を起こさない女の子でいるよう求められてきた。クラスの子たちに人種を理由にいじめられても、先生たちに典型的な「ムスリムの女の子」としてポスターに使われても、ニコニコして口を閉じてきた。みんなスカーフの下の彼女を見ようとしないが、ハナンは彼らに見えているよりずっと大きな自分が存在するのを知っている。
ある日、地元で男性が殺されて緊張が一気に高まり、ムスリムは攻撃の対象になってしまった。酷い襲撃の後、ハナンは自分の声が聞かれるべき時、世界を揺さぶる時が来たと心を決めた。

イギリス在住のソマリア系新人YA作家アヤーン・モハマド(Ayaan Mohamud)のデビュー作品。「ザ・ヘイト・ユー・ギブ」のファンにおすすめだそうです。
2024年カーネギー賞作家賞ノミネート作品。現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。

 

 

 

 

Friendship Never Ends
by Alexandra Sheppard


スニタ、ギフティ、ドーン、メイの4人は小学校からの親友。そのころからずっと夏休みは一緒に過ごしてきた。でも10年生になる前のこの夏は、6週間ずっと離れ離れで過ごすことに。進級パーティでの恥ずかしい大惨事の後、全員がこの夏を成長するために使わなければならないと気が付いたのだ。
でも成長するということは、離れていくということと同義じゃなきゃいけないのだろうか。

2019年にデビューした北ロンドン在住のYA作家アレクサンドラ・シェパード(Alexandra Sheppard)の2作目の長編作品。