Waterstones Children's Book Prize Winner 2024【Waterstones】
https://www.waterstones.com/the-waterstones-childrens-book-prize

 

2024年 ウォーターストーンズ児童文学賞が発表されました。

ウォーターストーンズ児童文学賞はイギリスの児童文学賞。
対象は前年に出版された児童文学ですが、「才能ある児童文学作家を発見する」のが目的のため、「その年までに発表した作品が3冊以内」の新人作家の作品のみが賞の対象になるのが特徴です。

現在はYA対象のOlder Fiction部門、児童書(5歳~12歳対象)対象のYounger Fiction部門、絵本対象のIllustrated Book部門の3つがあります。

ショートリスト発表(2月ごろ/6作)→受賞作品発表(3月ごろ/1作)のスケジュールです。


今年のYounger Fiction(児童書)部門の受賞作品はこちらです。
(このブログではYA部門と児童書部門のみのご紹介になりますので、絵本については上のリンク先などをご参照ください)


Greenwild (Greenwild #1)
by Pari Thomson


11歳のデイジーは逃亡中だ。大きな秘密を抱えていた母さんは失踪してしまった。彼女を探し出すのは自分しかいないとわかっていた。ただし、ロンドン中を探してデイジーを追い、彼女が真実を解き明かすのを止めようとしている何者かがいる。安全な逃げ場を求めて謎めいた隠し扉をくぐったデイジーは、ロンドンから緑の魔法が実在する異世界グリーンワイルドへ行ってしまう。

ペルシアとイギリスにルーツを持つイギリスの新人児童書作家パリ・トムソン(Pari Thomson)のデビュー作品。シリーズ1作目。
現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。2024年カーネギー賞ロングリスト。
この作品はすべての部門の受賞作品から選ばれる総合部門も受賞しました。

 

 

 

この作品と賞を争った今年のショートリスト作品は以下の通りです。



The School for Thieves (Crookhaven #1)
by J.J. Arcanjo
【クルックヘイブン 義賊の学園/J.J.アルカンジョ/橋本恵訳/理論社】


13歳のガブリエルはずば抜けた才能のスリ。その才能はよく空っぽになりがちなお腹をやや空っぽじゃなくするために使われる。それである日、彼は捕まってしまった。
でも逮捕されるかわりに、彼は謎めいたキャプテン・クルックに招かれて、泥棒たちの学校「クルックヘイブン」に入学することに。

ポルトガルとイギリスにルーツを持つ作家J・J・アルカンジョの泥棒学園ファンタジー。シリーズ1作目。理論社から邦訳が出ています。

 

 

 

 

 

The Beasts of Knobbly Bottom: Attack of the Vampire Sheep!
by Emily-Jane Clark


レスターから史上最悪に退屈な村ノブリーボトムに引っ越すとママが決めたのは、マギー・マッケイにはぜんぜん嬉しくなかった。その村には屋内遊び場もおもちゃ屋もなく、ママがいると(っぽいようなことを)言った馬もいなかった。ここにあるのは畑と教会のパーティと退屈な羊の大群だけ。
でもマギーはすぐに、ノブリーボトムが秘密でいっぱいの場所だと知った。羊たちに牙が生えてきて、その眼が赤くなり、世界征服を狙っているのだ。
また作り話をしているとママに思われてしまったので、ノブリーボトムをヴァンパイア羊の襲撃から守る役目はマギーと妹のリリー、友だちのフレッドに託された。彼らの助っ人は、ニンニクを詰めたピストルを持った変なおばあちゃんナン・ヘルシングだ。

イギリスのTVコメディ番組の脚本家エミリー=ジェーン・クラーク(Emily-Jane Clark)の児童書作家デビュー作品。

 

 

 

 

Vivi Conway and the Sword of Legend 
by Lizzie Huxley-Jones


その湖はヴィヴィを呼んでいた。ふたりのママと一緒にロンドンからウェールズに越してきたその日、ヴィヴィはこっそり抜け出して、何が自分を呼んでいるのか調べに行った。そこで彼女が見つけたのは聖剣エクスカリバー(想像より小さかったけど)に、有名なモンスター(リアルだと神話の本で見るより怖かった)、新しい友だち(友だちは全然ほしくなかったけど)のダーラ、そして幽霊犬(でことばをしゃべる)のゲラルトだった。

ロンドン在住の児童書作家リジー・ハクスリー=ジョーンズ(Lizzie Huxley-Jones)の作品。現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト。

 

 

 

 

The Swifts: A Dictionary of Scoundrels (The Swifts #1)
by Beth Lincoln, Claire Powell (Illustrator)


スウィフト家の子どもたちは、生まれたその日に一族の神聖なる辞書の前に連れていかれ、そこから単語を選ばれて運命にふさわしい名前を与えられる。
親戚一同の集まりで、姉さんのフェノメナ(現象)とフェリシティ(至福)と一緒に古く大きなスウィフト館にやってきたシェナニガン(愚鈍、いたずら)・スウィフトは、ならず者の見本市のような親戚たちに会うのを楽しんでいた。ところがシャーデンフロイデ(悪意の喜び)おばさんが何者かに階段から突き落とされて死んでしまった。
仲良くなったいとこのエルフ(誤差関数)と姉さんたちと協力し、シェナニガンは犯人を見つけようとする。

珍名一族が登場する児童書ミステリのようです。イングランドの新人作家ベス・リンカーン(Beth Lincoln)のデビュー作品。シリーズ1作目。
2024年ネロ文学賞児童書部門受賞作品。現在2024年ブランフォード・ボウズ賞ロングリスト作品。2024年カーネギー賞ロングリスト。

 

 

 

 

My Name is Sunshine Simpson
by G.M. Linton


サンシャイン・シンプソンの伝説的なおじいちゃんは、いつも孫娘に外へ出て自分の冒険を探しなさいと言っていた。だけど残念ながら、その行く手には不運が引き寄せられてくるようになっている。
新しい友だちのエヴィーはすぐにフレネミーになってしまったし、家族に髪を切ってもらったら大惨事になったし、学校の発表はものすごくストレスだ。何もかもうまくいかないみたい。何より、おじいちゃんが週ごとに老いていく。
サンシャインには自分の声が必要だが、雲を突き抜けて、誇りを持ってまっすぐ立つことはできるのか。自分は輝けるのだと世界に示すことはできるのか。

ジャマイカ移民の両親を持つイングランドの新人作家G・M・リントン(G.M. Linton)の作品。